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第四章 魔法使いと大会
第五十五話 いばら姫
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「はあああああっ!」
気合いの咆哮をあげながらナナカはヒラルに突っ込んだ。
その手の中には、魔法剣が握られている。
ヒラルは呪文を唱えた。
「植物よ…全てに絡む壁となれ!スオンウォール!」
「何っ」
ナナカの剣にいばらが巻きついた。
動きが封じられ、慌てるナナカにヒラルが一発。蹴りを腹部に叩き込んだ。
「あぐっ」
ぐらり、と傾きかけた体を起こしてキッとヒラルを睨んだ。
「へえ、ボクの蹴りに倒れないなんて…やるね!ナナカ!」
「痛…結構苦しいんだけどね。風よ!圧縮せよ!ショットガン!」
剣の先から、パン!と風の玉が飛び出した。
それをヒラルが蹴りではじく。が、
「あがっ!」
「…この魔法、追尾型なのよ!」
背後から迫ったショットガンに反応が遅れ、見事その一撃をくらう。
「すげぇな…」
その様子を見て、思わず声をもらす。
「だろ?元標的サン」
「タイルっ!?いつの間に…」
「このひとだれ!?」
「お前を気絶させた奴だ!」
「!」
ガーンと衝撃を受けたスカーレット。が、すぐに立ち上がりわめいた。
「あのばくおんほんとにうるさかった!もうやめてっ!」
「そ、そんな…無茶なぁ」
少女に怒られガックリとうなだれるタイル。
でも、コイツ…気配無かった。
恐っ…
「ヒラルはなー、別名なんて呼ばれてるか知ってる?」
「二つ名があるのか?」
「そうそう!スオン・プリンセスっていう二つ名!」
「スオン・プリンセス…?」
『いばら姫という意味です』
取得の助太刀。
スオン・プリンセス…やたらファンタジーなあだ名。
ひょっとして、タイルにもあるのか?
「なあ、タイルって二つ名ある?」
「ない」
即答だった。
何故ドヤ顔。
「でも…その二つ名はヒラルを苦しめてるみたいだな」
「え?」
「そもそも「スオン・プリンセス」なんて呼ばれることになったの、呪いのせいだし」
「…ええええええっ!?」
「いやー、知らないの当たり前だよね。ほんと」
カッカッカッと笑うタイル。
いや、笑い事じゃないからっ。
「昔ヒラルが7歳の時、魔法が暴走して家がいばらだらけになっちゃってねー。そもそも呪いのせいなんだけど」
「その呪いって…?」
「生まれつき、魔力コントロールが出来なかった。それだけでもう呪いと言うしかないだろ?」
「!?でも今こうやって…」
スクリーンに映し出された二人が戦う様子を見ると、ヒラルはいばらの魔法を使っている。
「それは呪いが解かれたから。強力ないばら魔法が使えるようになったけど…元々、その魔力の暴走のせいで失われた命もある。それしか使わないのは戒めでもあるんだって」
「………」
「ヒラルのせいじゃないのにな」
「呪いってどうやって解かれたんだ?」
「俺オレ」
「…?」
「俺が呪い解いた」
「はあああああっ!?」
いや、さすがにそれはない!
てか、いばら姫だろ…?
どうやって助けたんだ!?
コイツ、音の魔法使いだろ?
「いやあ、ドラゴンショットでいばら勝手に崩れてなっ」
「………」
すごいなドラゴンショット。
なんせあの爆音。
もはやドラゴンが爆音製造機にしか見えない…
「で、眠ってたヒラルを見つけて…」
「どうしたんだ?」
「ぶっ叩いた」
「ぶっ!!?」
思わず吹き出した。
いや、この人アホすぎるでしょ!
何故にてぶっ叩く!?
「そしたら…」
「で?」
「叩き返された」
「………元気だな」
いやー、あの顔は怖かったわ。とゲラゲラ笑うタイル。
何気に修羅場…
「でも、そっから俺への感謝として《青龍の逆鱗》に入ったって訳」
「へー」
深かったような深くなかったような。
改めてスクリーンに注目する。
二人とも、必死だ。
もつれ合い、どちらが馬乗りになるか。
今のところ、ナナカが有利…と。
「しょうがない…!最終手段出しますか…!」
「え?」
突然ヒラルの言った言葉に戸惑う。
すー…と息を深く吸うヒラル。
「!そんな隙、与えないわよ!」
その魔法の放つ気配に気がつき、慌てて立ち向かう。が、
「呪いのいばらよ…その身を蝕め。スオン・スペル!」
「あっ…!?」
カシャン、と剣を落とすナナカ。
何があったんだ…?
「ヒラルの呪い魔法だよ。魔力コントロール不可になる」
「え…!?」
と、いうことは…
魔法が使えない…!?
「う、ぐぁ」
「ごめんねっ!オリャアアアアッ!」
渾身の一撃。
その鋭い蹴りを深く受け、ナナカはどさりと倒れた。
「勝者、ヒラル!!」
「イエーイ!」
ナナカがやられた…
いや、そもそも村出身の女の子だ。
よくぞここまで。
「呪いってどこまで続くんだ?」
「せいぜい5分だよ」
なら、今後の支障は無いだろう。
さて…次は俺の番だ。
「行ってくる」
「いい試合、期待してるぜ?」
「がんばって!」
二人の返事を聞き入れ、俺は舞台へと向かった。
気合いの咆哮をあげながらナナカはヒラルに突っ込んだ。
その手の中には、魔法剣が握られている。
ヒラルは呪文を唱えた。
「植物よ…全てに絡む壁となれ!スオンウォール!」
「何っ」
ナナカの剣にいばらが巻きついた。
動きが封じられ、慌てるナナカにヒラルが一発。蹴りを腹部に叩き込んだ。
「あぐっ」
ぐらり、と傾きかけた体を起こしてキッとヒラルを睨んだ。
「へえ、ボクの蹴りに倒れないなんて…やるね!ナナカ!」
「痛…結構苦しいんだけどね。風よ!圧縮せよ!ショットガン!」
剣の先から、パン!と風の玉が飛び出した。
それをヒラルが蹴りではじく。が、
「あがっ!」
「…この魔法、追尾型なのよ!」
背後から迫ったショットガンに反応が遅れ、見事その一撃をくらう。
「すげぇな…」
その様子を見て、思わず声をもらす。
「だろ?元標的サン」
「タイルっ!?いつの間に…」
「このひとだれ!?」
「お前を気絶させた奴だ!」
「!」
ガーンと衝撃を受けたスカーレット。が、すぐに立ち上がりわめいた。
「あのばくおんほんとにうるさかった!もうやめてっ!」
「そ、そんな…無茶なぁ」
少女に怒られガックリとうなだれるタイル。
でも、コイツ…気配無かった。
恐っ…
「ヒラルはなー、別名なんて呼ばれてるか知ってる?」
「二つ名があるのか?」
「そうそう!スオン・プリンセスっていう二つ名!」
「スオン・プリンセス…?」
『いばら姫という意味です』
取得の助太刀。
スオン・プリンセス…やたらファンタジーなあだ名。
ひょっとして、タイルにもあるのか?
「なあ、タイルって二つ名ある?」
「ない」
即答だった。
何故ドヤ顔。
「でも…その二つ名はヒラルを苦しめてるみたいだな」
「え?」
「そもそも「スオン・プリンセス」なんて呼ばれることになったの、呪いのせいだし」
「…ええええええっ!?」
「いやー、知らないの当たり前だよね。ほんと」
カッカッカッと笑うタイル。
いや、笑い事じゃないからっ。
「昔ヒラルが7歳の時、魔法が暴走して家がいばらだらけになっちゃってねー。そもそも呪いのせいなんだけど」
「その呪いって…?」
「生まれつき、魔力コントロールが出来なかった。それだけでもう呪いと言うしかないだろ?」
「!?でも今こうやって…」
スクリーンに映し出された二人が戦う様子を見ると、ヒラルはいばらの魔法を使っている。
「それは呪いが解かれたから。強力ないばら魔法が使えるようになったけど…元々、その魔力の暴走のせいで失われた命もある。それしか使わないのは戒めでもあるんだって」
「………」
「ヒラルのせいじゃないのにな」
「呪いってどうやって解かれたんだ?」
「俺オレ」
「…?」
「俺が呪い解いた」
「はあああああっ!?」
いや、さすがにそれはない!
てか、いばら姫だろ…?
どうやって助けたんだ!?
コイツ、音の魔法使いだろ?
「いやあ、ドラゴンショットでいばら勝手に崩れてなっ」
「………」
すごいなドラゴンショット。
なんせあの爆音。
もはやドラゴンが爆音製造機にしか見えない…
「で、眠ってたヒラルを見つけて…」
「どうしたんだ?」
「ぶっ叩いた」
「ぶっ!!?」
思わず吹き出した。
いや、この人アホすぎるでしょ!
何故にてぶっ叩く!?
「そしたら…」
「で?」
「叩き返された」
「………元気だな」
いやー、あの顔は怖かったわ。とゲラゲラ笑うタイル。
何気に修羅場…
「でも、そっから俺への感謝として《青龍の逆鱗》に入ったって訳」
「へー」
深かったような深くなかったような。
改めてスクリーンに注目する。
二人とも、必死だ。
もつれ合い、どちらが馬乗りになるか。
今のところ、ナナカが有利…と。
「しょうがない…!最終手段出しますか…!」
「え?」
突然ヒラルの言った言葉に戸惑う。
すー…と息を深く吸うヒラル。
「!そんな隙、与えないわよ!」
その魔法の放つ気配に気がつき、慌てて立ち向かう。が、
「呪いのいばらよ…その身を蝕め。スオン・スペル!」
「あっ…!?」
カシャン、と剣を落とすナナカ。
何があったんだ…?
「ヒラルの呪い魔法だよ。魔力コントロール不可になる」
「え…!?」
と、いうことは…
魔法が使えない…!?
「う、ぐぁ」
「ごめんねっ!オリャアアアアッ!」
渾身の一撃。
その鋭い蹴りを深く受け、ナナカはどさりと倒れた。
「勝者、ヒラル!!」
「イエーイ!」
ナナカがやられた…
いや、そもそも村出身の女の子だ。
よくぞここまで。
「呪いってどこまで続くんだ?」
「せいぜい5分だよ」
なら、今後の支障は無いだろう。
さて…次は俺の番だ。
「行ってくる」
「いい試合、期待してるぜ?」
「がんばって!」
二人の返事を聞き入れ、俺は舞台へと向かった。
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