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Aルート月島

第10話 秋月×釘宮

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「これは『ホットドリンク』!この小瓶の中身を全部飲み干すと一時間は寒さを無効化してくれるぞ!」

「こっちの武器と防具は劣化しない仕様だ!自分の使っている武器や防具が不安なやつはこっちを持っていけ!」

「月島会印の回復薬だぞ!ポーションだぞ!飲んでよし傷口にかければ応急処置も出来るぞ!持ってけ持ってけ!」

「その匂い玉の扱いには気を付けろ!破裂して匂い嗅いだら場合によっては気絶しちまうぜ!」

ガヤガヤと慌ただしく動き回る冒険者ギルドの職員に月島会の構成員達。

「なあ、三日月武器はあれでよかったのか?やっぱり銃とかの方がよくない?」

「訓練もしてないのにこの吹雪の中で動きの速い標的に当てるなんて無理。それなら武器を新調してやった方がまだマシ」

「んんん?そうなのか?」

「それよりちょっと立って」

「はあ?こうか?」

釈迦峰に何かの機械を向ける三日月。

「この機械は戦闘能力を計る装置。これで計って部隊を振り分ける」

「なるほどなるほど!ふふふ、戦闘能力を計る装置か~俺は能力だし一般人より膂力あるしかなり高い数字が出るんじゃないか?」

「釈迦峰は・・・0ね。アンタは先鋒ね。次はそこの貴方は175、」

「待った待ったああああ!おかしいだろ!俺は能力者だぞなんでそいつが100越えてんだよ!装備品で明らかに新人じゃねーか!」

「・・・・だってアンタ童貞でしょ?」

ピシッ!

建物内の空気が外の気温より寒く感じ凍り付いた気がした。

「な、なななななに言ってんだ三日月?お、おおおれ、俺は」

無視して測定を続ける三日月。

「はい、そこの貴方はマイナス384、前線ね」

「ちょっと待ってマイナスって」

測定された男は何か文句を言うつもりだったが三日月の次の一言で完全に黙ってしまう。

「愛のないセックスばっかやってるからマイナス。しかもそこそこ高い数値だから結構頻繁にヤってる。娼館にでも通っているのかしら?」

パキパキパキパキ!

更に気温が下がり空気が凍り付いた気がした。

「先頭に立つのは危険が伴う、なら独り身から選出して特攻隊を、」

おおおおおおい!何気に戦力計る為に捨て石にしようとしてない?俺達が人狼の戦闘能力を計る装置ってか!
いや、それより集められた全員見るのか!
女の子もいるんですけど!
あっ、女の子に遠慮なく装置を向けたよ!

「680、貴女は後方ね、次」

680!さっきの384で結構高いって三日月言ってたからな彼氏とセックスしまくってんのかと周囲の男共が妄想しているが。

「マイナス857、アンタは前線ね、せいぜい恋人作るまで生き延びることね」

高くても低くてもどっちにしても恥さらしになるんですけどね!

「ははは、正満・・・俺らとんだ恥を晒しちまうな。だけど俺達親友だし絶対に笑ったりしない・・・だからそんなに震えなくてもいいんだぜ?」

用を済ませてきた秋月が合流して釈迦峰の隣に来たのだが建物内の様子を見て震えだした。

「・・・次はマサ・・・188、次は、」

「え?・・・正、満?正満さん?え?0でもなくマイナスでもなくプラス?ってことは・・・つまり、」

今度は釈迦峰がガクガクと震えだした。

「えっ、ちょっと、待って、これには!」

ピリリリリリリ!ピリリリリリリ!

「あっ、ちょっと待って連絡が!もしかしたら重要案件かもしれない!はい、こちら秋月です!」

「あっ、マサくん?私、シノノンだよ」

え?シノノン?誰?しかもかなり親密そうなんですけど!

「私用で通信機を使うのはダメだと思ったんだけどやっぱり私、君の事が心配で心配で」

「シノノン?さっきわかれたばかりじゃないか?」

「マサくん私と別れたいの!」

「いやいやそうじゃなくてさっきまで一緒にいたでしょ?それにシノノンの事は大好きだよ。けど今はちょっと取り込んでて」

「もしかして女?マサくん女と一緒にいるの?」

「違う!違う!そうじゃないよ!」

「なら側にいる人に変わって!私、マサくんの事を信じてるけど不安で不安で、」

「・・・・はあ、分かったよ、じゃあ変わるね」

秋月は通信機を釈迦峰に渡した。

「もしもし、かわっ、」

「マサくんに手を出したら殺すから!マサくんは私のだから!マサくんはマサくんは!」

「・・・・ッ!その声、まさか!釘宮志乃美か?」

「マサくんは!え?・・・・・代わりました釈迦峰様。どういったご用件でしょうか?」

「誤魔化せねーよ!何!なんで!お前ら付き合ってたの!いつからだ!というよりお前男に触れられないんじゃなかったのか!」

「確かに私は以前男性に酷いことをされてショックで男性に触られると蕁麻疹がでたり嘔吐や熱がで苦しんでましたが、秋月様だけは触っても何故か平気だったんです。手を擦ってもらうだけでも秋月様の優しさが伝わってきて私の心と身体を癒してくれて治っていくのが分かるんです」

「完全にのろけ話だよコレ!絶望した!俺は世界に絶望した!」

「秋月様に抱き締めてもらうだけでも幸せが、」

「いや、もういいから!これ以上聞いたら発狂しちゃうから」

「初めて一緒のベッドで寝たときも汚ならしい男共に犯され汚物の如く汚れきった私を秋月様の優しさが洗い流してくれるんです。キスをするだびに、胸を優しく揉んでくれるたびに、私と秋月様が繋がり一つになって溶け合う、ブツッン!」

釘宮志乃美の話は続いていたが耐えきれず釈迦峰は通信機の電源をオフにしていた。

「あのラカン、その、報告しなかったのは謝るよ。友達なのに黙っててごめん、」

「なに言ってやがる秋月正満」

「え?ラカン?」

「一人の、不幸のドン底にまで落ちた女を、お前は救ったんだぜ?なに謝ってンだよ!やるじゃねーか!」

バシバシ!

釈迦峰は秋月の背中を軽く叩きながら笑顔で答える。

「ラカンッ!ホント、に」

「って納得出来るかああああああああああああああ!!!」

「え?ちょっとラカン!どこ行くの!」

ラカンは火竜の鎧と大剣を召還して建物の外に駆け出した。それを追うように複数の男達も町の外に駆けて行く。

「友の裏切りの怒りを武器に乗せええええええ!出来たてカップルの嫉妬が俺の背を前へと押しやるううううううう!独り身の力ああああ!見せつけてやるぜええええ!!!!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

「ッ!三日月様!人狼が町に向かってきてます!まさか釈迦峰様はそれを見越して?」

「いや違うだろ、ただの醜い嫉妬だろアレは」

「・・・・三日月様は知ってたんですか?」

「隠したいなら廊下で隠れてキスをしないことね。あと匂いでセックスした後バレバレだからね入念に匂いを消さないと。あと腰つきが一ヶ月前よりエロチックになってるわよ」

「えええ!」

「ホント・・・・あと竜一から聞いた。マサと貴女に竜一が施したあの『呪い』のことも」

「ふふふ、三日月様、私は呪いだなんて思っていませんよ。むしろ幸せを感じています。離れていてもどこにいるのか分かるし何を考えているのかお互いに分かりますし・・・・どちらかが死んでしまったら片方も死ぬなんて、とてもロマンチックで素敵だと思います」

『マサ・・・・釘宮志乃美を救ってあげられるのはマサだけだよ。まだ心が壊れてるけど、いつか本当に救ってあげなよ』

「皆さん!人狼がやってきます!」
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