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第70話 ペコちゃんこと天導誠(テンドウマコト)登場

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「・・・で?銀月君、その幻界の幽鬼について話せるかい?」

「俺もよく知らん。俺が知っているのは射光矢の母親と月島の父親が二人で滅ぼしたはずが生き残りがいてお前等のクラスは意図的にこの世界に送り込まれたようだ。射光矢の母親の『大天使』がお前等のことを『駒』だと言っていた。月島と射光矢が狙いなのは間違いないだろう。『駒』というのは、盤上に存在し動かしていくものだ。『駒』というからには、何かをさせるつもりなんだろ。命が欲しいなら『生け贄』という言葉を使うだろ?」

「つまり他は巻き添えをくっただけって事かい?」

「分からん。時間がなくて詳しくは聞けなかった。とにかく奴等に最低でも二人は渡せない。月島と俺に力はそれほど差はなかった。この世界には、漆黒の獅子クラスがまだいるなら敵側にもいるかもしれない。気をつけた方がいい」

「ん?あれは逃げ遅れか?」

月島組+銀月は王都の出口に向け走っていると青い炎を纏った鬼と戦う人間と出会う。戦っている人間の後ろには数人の民間人らしき者がいた。

「ちっ、お前等は先に行け!」

銀月は集団から外れて助けに向かう。

銀月は日本刀を片手に鬼の大群に突っ込む。

「銀月君、君って本当に悪魔かい?」

「先に行けと言ったはずだが?」

銀月に続き、七瀬も野太刀で鬼共に斬りかかる。

「これから先、この鬼共と殺り合う可能性があるなら今の内に戦力分析しときたいのさ」

 二人の加勢により鬼の大群は瞬く間に全滅した。

「ありが、」

「礼はいいから死にたくない奴は私達について来い!この王都は20分もせずに消滅する!残りたい奴は勝手に残りたまえ!」

七瀬と銀月は再び走り出した。

二人の後を追うように人々は走り出した。

「あ、あの!七瀬さんと銀月さん。助太刀ありがとうございます!」

先ほど民間人を守り戦っていた人間が話し掛けてきた。

「俺達についてきながら喋る余裕があるとは中々やるな」

七瀬と銀月は、後ろの連中がそのまま走り抜けられるように進行方向の建物や鬼共を斬りながら進んでいる。それでも一般人より断然速い。
しかし、後ろから走ってついてくる『少年』は走っているだけだが二人に追い付ける身体能力を持っていた。少なくとも一般人ではあり得ない。

「ん?君は『ペコちゃん』かい?」

「知り合いか?」

「この子はウチのクラスの天導 誠(テンドウ マコト)君だよ」

「男か、ソイツ?」

「見た目が女の子ぽいけど男の子だよ」

黒髪黒目の、女の子のような可愛らしい顔で体が小さく細い。ちなみに、いつも何かしらペコペコ頭を下げて謝っている姿が目撃されているので『ペコちゃん』というアダ名がついていた。

「どうも七瀬さん、お久し振りです。さっきは、」

「いいって!それより君、『能力に目覚めた』のかい?」

「そうなんです!僕、さっき目覚めたんです!」

「さっきかよ!じゃなくて、ちなみにどんな能力だい?」

「えっと、僕の能力は、」



天導誠(テンドウマコト)の能力は『ロンギング・オブ・ザ・ヒーロー(憧れの主人公)』

1、ラッキースケベ(運気上昇)。

2、マッサージの才能獲得(器用値上昇)。

3、モテ期到来(魅力値上昇)。

4、ポジティブ(鈍感力上昇)。

5、無色剣×8。
能力者の成長に合わせて一本の剣につき、一つ能力がつく。

(現在)
①加速剣 自身か任意の対象の速度を上げる。
②重力剣 自身か任意の対象の重力を操作できる。



「・・・とりあえずペコちゃん、君は仮面をつけることを推奨するよ。君の顔を見るとちょっとだけドキッとする。あと2m以内には私に近づかないように」

「・・・おい、ペコちゃんとやら俺の女に手を出したら殺すからな」

「あひっん!」

「「は?」」

ゴロゴロゴロゴロ!バキッ!

銀月の殺気が多少含まれた怒気を受けてペコちゃんこと天導誠が気絶。スピードが乗りすぎていたため地面を転がり瓦礫にぶつかり停止した。

「おいいいい!ちょっと脅しただけだろ!」

銀月は慌てて停止して天導誠を拾いに行く。そして首根っこを掴むと再び走り出す。

「後ろの人達、速度落ちてないかい?ひょっとしてペコちゃんが能力使ってたんじゃ」

「おいいいい!起きろ!ペコ!起きろ!」

銀月は走りながら天導に往復ビンタをする。

「・・・いっ!いたいですうううう!」

「ペコちゃん!能力解けてる!後ろの人達が遅れだしてる!」

「大変じゃないですか!えいっ!」

気の抜けそうな掛け声と共に、後ろにいる一般人の走る速度が上昇する。

「加速に重力操作か・・・意外に使える能力だな」

「そ、そうですか!えへへ、いったっ!」

「どうした?」

「ちょっと足を痛めたみたいで」

「ちっ!仕方がない、このまま俺が運んでやる」

そういうと銀月は天導を背中におぶる。

「・・・銀月さん(ポッ!)」

天導は顔を赤らめて銀月の背中に身を委ねる。

「・・・・私は何も見てない、見てないから」
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