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第54話 結界維持装置破壊担当『碧海氷狐』
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本来、月島女子組の計画では闘技場に突入するのは、フォルテとアプリコットに兵隊を相手にするのは真智子とアニスとラクシャータの役目だったが闘技場に駆けつけたのはアプリコット一人であった。
それには勿論理由がある。
いや、むしろ闘技場よりも大混戦を極めていた。
結界維持装置破壊担当の碧海氷狐の場合、
「・・・?維持装置が破壊されてる?違う装置を外されただけ?それに死体の山?一体何があったの?」
氷狐が教会に突入した時には、事が既に終わった後であった。
維持装置である鐘がなく、教会内部は死体の山が出来ていた。
「・・・・うっ・・か・・・」
その中に辛うじて息のある人間がいたので氷狐は『月島特製回復ポーション』を飲ませ治療してあげた。
「痛みが、それに、あの傷が・・・貴方は神の使いか?」
「そんな事はどうでもいい。何があったの?」
「ッ!そうだ!『ドミニオン共和国の特殊部隊』が現れて鐘が!結界維持装置が!持ち去られた!」
「持ち去られた?」
「部隊の中に『触れた物質を小さくする能力』を持った奴がいてソイツが鐘に触れたら巨大な鐘がポケットに入る位のサイズにまで小さくされて持ち去られたんだ!」
「この王都の結界は維持された状態なの?」
「いいや、もう解けてる」
『一応、任務達成って事でいいのかな?結界は解除されたし』
ドゴオン!ドカアアン!チュドオオン!
あちこちで爆発音が鳴り響いた。
氷狐は教会の屋根に跳び、王都の状況の確認する。
「・・・・何が起こっているの?」
王都のあちこちで火の手が上がり、今なお爆発が続いており人々の悲鳴が王都中から聞こえてくる。
氷狐は教会の屋根から跳び降りた。
「王都は!辺りはどうなってるんですか!」
「貴方の名前は?」
「はい?」
「貴方の名前を聞いてるの!」
「ぺテロです!ぺテロ=テレサテンです!」
「テレサテンさん!貴方は王都にいる人々を避難させなさい!一刻も早く!」
「えっ?私がですか?」
「いいから!行きなさい!普段お布施で御飯を食べてるようなもんでしょ貴方達は!神の名を語って人々から金巻き上げてるんだからこんな時くらい率先して動きなさい!天罰下るわよ!」
「へえ、えらいべっぴんさんがおるなあ~、ワシとパコパコしない?なあんて」
突然教会の屋根の上から二人の前に降りてきたのは、見た目30代位のどこにでもいそうなオッサンだった。
「ッ!ソイツです!ソイツが結界維持装置を持ち去った能力者です!」
「ん~、残念、あの鐘はもう王都の外に待機していた部隊に渡して本国に持ち帰ってる最中だよ」
「そんな!何でここまでして手に入れようとするんだ!同盟国なんだから交渉するなり他に幾らでもやりようはあったんじゃ!」
「・・・・勇者とかいう武力を背景にか?帝国だけで満足するような人間達じゃないだろ?この国の上層部は、あとこの騒ぎは俺等『ドミニオン共和国の人間』の仕業じゃない」
「結界維持装置だけ奪っても意味は、」
「だあかあら!今、王宮にも向かってるよ~『クギミヤ=シノミ』の確保にね」
氷狐はドミニオン共和国とユステリカ王国の争いなんて興味はなく、戦う気なんてなかったが釘宮慈乃美の誘拐は話は別。月島竜一が釘宮慈乃美を連れてこいと言われているから。
「それは聞き捨てならないわね。あの子は渡さない!(貴方達ではなく、私達が誘拐するのよ!)」
その時、ぺテロは碧海氷狐の共和国兵士に立ち塞がる姿を見て感涙していた。
『う、美しい!なんて美しいんだ!まるで聖女だ!国の危機に立ち上がり、民を救おうとする姿!そして自身が盾になり敵に立ち塞がる姿はまるで戦乙女!格好は娼婦のようなで少しはしたないけど!』
「お嬢ちゃん、冗談を言う時は相手を選ぶ事だ!」
共和国の兵士が氷狐に襲い掛かる。
「避けて!ソイツに触れられたら、」
「もう遅い!お嬢ちゃんを小さくしてお持ち帰りしてやるよ!」
共和国の兵士が碧海の肩を掴む。
「さあ、『小さくなれ』」
が、何も起きない。
「は?何で小さくならない!能力は発動しているはずなのに!」
「私の能力は肉体を水や氷に変化させる、それが私の能力。そして自身の体積以上の水すら出せる私にとって貴方の能力は、例えるなら『大海の水を桶で必死に掻き出そう』としているようなものよ」
信じられないと驚愕する兵士。
「あと・・・私の肌に直接触れていい異性は月島竜一という男だけ」
氷狐はゴミを見るような目で、
「いつまで私の肩に手を置いているの!」
氷狐の狐の尾が、感情の昂りに呼応して九本になる。
「貴方のような『矮小』な男が、私に触れるな!」
全ての狐の尾が氷に変化し、九本の氷の尾が共和国の兵士の体を抉る。
まずは、触れていた腕を片方ずつ抉り、次に逃げ出そうとしたので足を片方ずつ抉り、そして最後は『水球』に閉じ込め溺死させた。
溺死したのを確認して『水球』を解除。そして九本の氷の尾を水の尾に変化させて伸ばしていく。その水の尾は建物を避けていき、王都の外まで伸びていった。
「テレサテン!!もうすぐ王都は、火の海になるわ(月島の爆撃機による爆弾攻撃で)!王都の住人をこの『水の道』を使って逃がしなさい!水の中に入ったら自動で滑っていけるから!」
「貴女はどうするんですか!」
「いいから早く行きなさい!住人達が言う事聞かないなら『水の道』に投げ込むなり、投げ込むなり、投げ込んだりしなさい!」
ぺテロは今の氷狐の状態を見る。
能力を使って、尻尾で道を作り出しているため移動が出来るようには見えない。王都には未だ爆音が鳴り響いている。こんな場所に護衛もなしに一人でいるなんて危険すぎる。なのに、この少女は!民の為に犠牲になるのも厭わないというのかあああ!
この少女は神の使いではない!・・・女神だ!!!
「分かりました!お任せ下さい『レウコテア様』!!!」
「・・・???うん、分かったからさっさと行きなさい」
ぺテロは全力疾走で駆けて行き、大声で避難を呼び掛けていく。
「ところで『レウコテア』って何だったのかな?ま、いっか」
碧海氷狐は、この時の事を後になって後悔する事になる。
『レウコテア』とはこの世界において、海を司る女神の名であるが、この『レウコテア』は悪神の一面もある神様なので、あまり信仰する者がいなかったが、ぺテロが新教祖となり数年後、全世界に教えを広め信者30万人以上の宗教団体を作り出す。
そして信仰の象徴、大海の女神『レウコテア』の姿は、
翠色の髪に、花魁のような派手な柄の着物風のマイクロミニドレスで、肩を出し胸部を大きくはだけさせて、太腿をかなり露出させ、高下駄を履いている、狐の耳、九本の狐の尾の碧海氷狐だった。
それには勿論理由がある。
いや、むしろ闘技場よりも大混戦を極めていた。
結界維持装置破壊担当の碧海氷狐の場合、
「・・・?維持装置が破壊されてる?違う装置を外されただけ?それに死体の山?一体何があったの?」
氷狐が教会に突入した時には、事が既に終わった後であった。
維持装置である鐘がなく、教会内部は死体の山が出来ていた。
「・・・・うっ・・か・・・」
その中に辛うじて息のある人間がいたので氷狐は『月島特製回復ポーション』を飲ませ治療してあげた。
「痛みが、それに、あの傷が・・・貴方は神の使いか?」
「そんな事はどうでもいい。何があったの?」
「ッ!そうだ!『ドミニオン共和国の特殊部隊』が現れて鐘が!結界維持装置が!持ち去られた!」
「持ち去られた?」
「部隊の中に『触れた物質を小さくする能力』を持った奴がいてソイツが鐘に触れたら巨大な鐘がポケットに入る位のサイズにまで小さくされて持ち去られたんだ!」
「この王都の結界は維持された状態なの?」
「いいや、もう解けてる」
『一応、任務達成って事でいいのかな?結界は解除されたし』
ドゴオン!ドカアアン!チュドオオン!
あちこちで爆発音が鳴り響いた。
氷狐は教会の屋根に跳び、王都の状況の確認する。
「・・・・何が起こっているの?」
王都のあちこちで火の手が上がり、今なお爆発が続いており人々の悲鳴が王都中から聞こえてくる。
氷狐は教会の屋根から跳び降りた。
「王都は!辺りはどうなってるんですか!」
「貴方の名前は?」
「はい?」
「貴方の名前を聞いてるの!」
「ぺテロです!ぺテロ=テレサテンです!」
「テレサテンさん!貴方は王都にいる人々を避難させなさい!一刻も早く!」
「えっ?私がですか?」
「いいから!行きなさい!普段お布施で御飯を食べてるようなもんでしょ貴方達は!神の名を語って人々から金巻き上げてるんだからこんな時くらい率先して動きなさい!天罰下るわよ!」
「へえ、えらいべっぴんさんがおるなあ~、ワシとパコパコしない?なあんて」
突然教会の屋根の上から二人の前に降りてきたのは、見た目30代位のどこにでもいそうなオッサンだった。
「ッ!ソイツです!ソイツが結界維持装置を持ち去った能力者です!」
「ん~、残念、あの鐘はもう王都の外に待機していた部隊に渡して本国に持ち帰ってる最中だよ」
「そんな!何でここまでして手に入れようとするんだ!同盟国なんだから交渉するなり他に幾らでもやりようはあったんじゃ!」
「・・・・勇者とかいう武力を背景にか?帝国だけで満足するような人間達じゃないだろ?この国の上層部は、あとこの騒ぎは俺等『ドミニオン共和国の人間』の仕業じゃない」
「結界維持装置だけ奪っても意味は、」
「だあかあら!今、王宮にも向かってるよ~『クギミヤ=シノミ』の確保にね」
氷狐はドミニオン共和国とユステリカ王国の争いなんて興味はなく、戦う気なんてなかったが釘宮慈乃美の誘拐は話は別。月島竜一が釘宮慈乃美を連れてこいと言われているから。
「それは聞き捨てならないわね。あの子は渡さない!(貴方達ではなく、私達が誘拐するのよ!)」
その時、ぺテロは碧海氷狐の共和国兵士に立ち塞がる姿を見て感涙していた。
『う、美しい!なんて美しいんだ!まるで聖女だ!国の危機に立ち上がり、民を救おうとする姿!そして自身が盾になり敵に立ち塞がる姿はまるで戦乙女!格好は娼婦のようなで少しはしたないけど!』
「お嬢ちゃん、冗談を言う時は相手を選ぶ事だ!」
共和国の兵士が氷狐に襲い掛かる。
「避けて!ソイツに触れられたら、」
「もう遅い!お嬢ちゃんを小さくしてお持ち帰りしてやるよ!」
共和国の兵士が碧海の肩を掴む。
「さあ、『小さくなれ』」
が、何も起きない。
「は?何で小さくならない!能力は発動しているはずなのに!」
「私の能力は肉体を水や氷に変化させる、それが私の能力。そして自身の体積以上の水すら出せる私にとって貴方の能力は、例えるなら『大海の水を桶で必死に掻き出そう』としているようなものよ」
信じられないと驚愕する兵士。
「あと・・・私の肌に直接触れていい異性は月島竜一という男だけ」
氷狐はゴミを見るような目で、
「いつまで私の肩に手を置いているの!」
氷狐の狐の尾が、感情の昂りに呼応して九本になる。
「貴方のような『矮小』な男が、私に触れるな!」
全ての狐の尾が氷に変化し、九本の氷の尾が共和国の兵士の体を抉る。
まずは、触れていた腕を片方ずつ抉り、次に逃げ出そうとしたので足を片方ずつ抉り、そして最後は『水球』に閉じ込め溺死させた。
溺死したのを確認して『水球』を解除。そして九本の氷の尾を水の尾に変化させて伸ばしていく。その水の尾は建物を避けていき、王都の外まで伸びていった。
「テレサテン!!もうすぐ王都は、火の海になるわ(月島の爆撃機による爆弾攻撃で)!王都の住人をこの『水の道』を使って逃がしなさい!水の中に入ったら自動で滑っていけるから!」
「貴女はどうするんですか!」
「いいから早く行きなさい!住人達が言う事聞かないなら『水の道』に投げ込むなり、投げ込むなり、投げ込んだりしなさい!」
ぺテロは今の氷狐の状態を見る。
能力を使って、尻尾で道を作り出しているため移動が出来るようには見えない。王都には未だ爆音が鳴り響いている。こんな場所に護衛もなしに一人でいるなんて危険すぎる。なのに、この少女は!民の為に犠牲になるのも厭わないというのかあああ!
この少女は神の使いではない!・・・女神だ!!!
「分かりました!お任せ下さい『レウコテア様』!!!」
「・・・???うん、分かったからさっさと行きなさい」
ぺテロは全力疾走で駆けて行き、大声で避難を呼び掛けていく。
「ところで『レウコテア』って何だったのかな?ま、いっか」
碧海氷狐は、この時の事を後になって後悔する事になる。
『レウコテア』とはこの世界において、海を司る女神の名であるが、この『レウコテア』は悪神の一面もある神様なので、あまり信仰する者がいなかったが、ぺテロが新教祖となり数年後、全世界に教えを広め信者30万人以上の宗教団体を作り出す。
そして信仰の象徴、大海の女神『レウコテア』の姿は、
翠色の髪に、花魁のような派手な柄の着物風のマイクロミニドレスで、肩を出し胸部を大きくはだけさせて、太腿をかなり露出させ、高下駄を履いている、狐の耳、九本の狐の尾の碧海氷狐だった。
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