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第21話 目標の側に(釈迦峰視点)
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「そこまでにしとけ光ヶ丘」
「・・・・・・・」
光ヶ丘の腕を掴んで聖剣を振り下ろすのを阻止する釈迦峰。そして無言で両腕を氷の大剣に変化させ光ヶ丘の首に突き付ける碧海氷狐と同じく刀を首に突き付ける七瀬万桜。
「さ、三人共目を覚ますんだ!俺はお前達を斬りたくない!」
「おいおい光ヶ丘、その言い草は俺等がてめえより格下だって言いてえのか?」
「嘗められたものでね。なんなら私が次相手をしてあげようか?光ヶ丘君?」
「釈迦峰、七瀬、碧海さん、君等を救う為に俺は戦っているんだ!俺の邪魔をするな!」
「いい加減にしろ光ヶ丘!クラスの奴等はお前の物じゃない!好きに選ばせてやればいいだろ!どうせ今すぐは元の世界に帰れないんだから!」
「分かっていないのは君等だ!まだ能力や魔法に目覚めてないクラスメイトが帰れる手段を手に入れる可能性の方が高い!帰れる方法を探すなら国に所属すれば!」
「光ヶ丘君、君の話は前提から間違ってる」
「何?」
釈迦峰、七瀬、碧海は確め合うように頷く。
「私達は元の世界に帰る気がないんだよ。今の所はだけど」
「何だと!何で?ここは異世界だぞ!七瀬!君は両親や友人がいる地球に帰りたくないのか?」
七瀬は答える。
「私の家の人達はそんな事はあまり気にしないよ。『仕事柄』帰ってこなくなる事はよくあるからね」
釈迦峰は答える。
「俺は元々捨て子だ。寺が運営している孤児院で育ったからな。あんまり思い入れはないわ」
碧海は答える。
「私の家族は、両親と妹は亡くなりました。私の大切な人は『地球』にはいません」
三人の答えに光ヶ丘は納得がいかないようだ。
「なら、俺の元にいればいいだろ!何でそいつにわざわざついていくんだ!」
その光ヶ丘の質問には誰も答えなかったが、三人はそれぞれ思い返していた。
月島竜一との出会い?を。
月島竜一自身は覚えていないだろう彼、彼女等しか知らない過去を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
釈迦峰の場合・・・・
「おらっ!釈迦峰!立てよ!おらっ!おらっ!」
バキッ!ドカッ!ゴスッ!バキッ!ドカッ!
今日も田島獅子王丸(タノシマ シシオウマル)率いる不良グループに囲まれ十人がかりでボコられる。
「さっさと学校辞めろよ!気に食わねえんだよ!」
「ぐっ、てめえ、タイマンはれよ、卑怯者が、大勢で来なきゃ、俺の所に来れないくせに、」
「タイマンなんてダセー事言ってる、てめえを!なんで!正々堂々とやってやらなきゃいけねえんだよ!」
いつも決まって大勢で俺をボコって弱らせてから田島の奴がトドメをさしにくる。
そして俺が気を失うまで殴り続ける。
それが高校入学して一年間以上続き、それは二年に進級しても変わらなかった。
いや、日にちが経つごとに田島は戦力を手下を増やしていった。
二年の春には学校のトップになり三年も口出し出来なくなっていた。
俺だけが田島に逆らい毎日ボコられていた。
けど負けたくなかった。
入院させられようが動けるようになったら勝手に退院して学校に行った。
抵抗するが十人以上に一気に囲まれボコボコにされ、一対一で相手をしてやると言ってくれば手下にやらせ、そいつが負けると次は違う手下と一対一のエンドレス。始めから俺とやり合う気がないのは見え見えだったが負けたくないと受けて結局最後はボコられる。
それは二年生になって2ヶ月間続いたある日突然終わりを告げた。
この学校にはもう一人、喧嘩が強いと言われている男がいた。
そいつの名は『月島竜一』だ。
田島はそれが気に入らなかったらしいく、月島竜一を狩ると宣言。月島の首に50万円の賞金までかけた。
が、誰も月島を襲おうとはしなかった。
皆が田島に言うアイツには手を出さない方がいいと。
月島竜一は中学時代に100対1の喧嘩で勝ったらしい。しかも全員から財布を抜き取り、慰謝料も請求してきたらしい。
月島竜一は中学時代にヤクザの罠に掛かって足をコンクリートで固められ海に沈められたが、自力で脱出して自分を沈めたヤクザに報復したらしい。
月島竜一は中学時代にヤクザが仕切る賭場に出入りしていてヤクザとも懇意にしているらしい。
月島竜一は中学時代に・・・・・と、ヤバい噂ばかり流れていて中には実際に見たと言う奴が現れた。
誰も月島には関わり合いたくないと口にする。
田島はだったら全校生徒の前でぶっ飛ばして恥かかせてやると言い出した。
そして翌日、あの馬鹿は朝からあった全校集会の最中に月島に襲いかかった。
しかも後ろからの跳び蹴りを背中にくらわし倒こんだ所を仰向けにして田島は月島の顔面に拳を振り下ろす。
バキッ!ゴスッ!ドッゴ!バキャ!バギッ!
「おらあ!くたばれ!月島!」
皆は止めようとしない。突然の事で混乱して動けないでいた。
田島に30発以上顔面を殴られても月島は防ごうともせず手足を大きく広げて大の字になって倒れ込んでいる。
気絶したのか?そう思った時、信じられない光景を見た。
月島は爆睡していた!!
ええええええ!嘘だろ!何で殴られてんのに寝れるんだよ!
よく見たらアイマスクしてる!完全に人を小馬鹿にした白目むき出しアイマスクしてるううう!
「けっ!寝た振りしても無駄なんだよ!」
更に田島は一発顔面に入れるが、まだ寝息が止まない。
そこに月島の彼女と噂の三日月友が彼を起こそうとする。
「起きて、竜一。さっきから殴られてる」
三日月さんもっと声張った方がよくない!!
周囲の人間の考えは一致していたが、月島は三日月の声に反応して起きたのかアイマスクを外す。
「おいおい、嫁よ。今日は日曜日だぜ。おっちょこちょいだなあ。まあ、そういう所も大好きだが、後でしこたま種付けしてやっから寝かせてくれよ、眠い」
今日月曜日ですから!しかもまだ朝だよ!一限目すら過ぎてねえよ!ていうか嫁かよ!母ちゃんじゃなくて嫁かよ!しかも、え?君等そういう関係!三日月さん下手したら小学生にすら見えるから犯罪に思えるぞ!
三日月さん満更じゃないって顔してるう!顔を真っ赤にさせて照れてる。
「ん?誰だてめえ?男に跨がられる趣味はねえぞ」
やっと田島の事に気が付いた月島はパンチを繰り出す。
田島は咄嗟にガードしたようだが、見ただけでもわかる。
一撃で腕の骨を折りやがった!しかも背中が地面に完全に密着した状態、ただの腕力だけで!
だが月島は起き上がらない。
もしかしてダメージが残ってンのか?
「やべえな、地面が思いのほかヒンヤリしていて気持ちいい!」
「起き上がれないからって、そんな適当な理由つけ、」
「竜一、制服汚れるから起きて」
「はいはい」
月島は三日月の言葉で即立ち上がった。
「やれやれ立って寝てたはずが、いつの間にか横になりたくて大地を求めちまったみたいだな。ははははは」
いや、蹴られたんだよ!それよりあんだけ殴られたのに何で無事なんだよ!
「ちっ!クソっ!やっちまえ!」
「うわあああああああああああ!!」
危ない後ろ!!
ガツッン!
田島の合図で金属バットを持った男が走ってきて、そのままの勢いで月島の後頭部をバットで殴った。
周囲から悲鳴が上がる。
「痛い!だからなんだ?」
ええええええええええええ!!痛いで済むの!
月島は微動だにせずに立っていた。見た感じ無傷。
ゴシャア!!!
月島は金属バットで殴ってきた男の顔面に拳を叩き込みぶっ飛ばした。
※この金属バット君は歯を総入れ歯されて自主退学する事になった。
「で?てめえ誰だ?」
月島は田島に問いかける。
「俺はこの学校最強の男!田島獅子王丸だぞ!知らねえとは言わせねえぞ!」
「いや知らん」
「・・・・へ?」
「知らん」
「・・・・・・」
月島の答えに校庭がシーンと静まり返る。
ぶふふふ!ふふふ!
誰かが堪えきれずに笑うと校庭中に笑いの渦が広がっていった。
「全く相手にされてねえじゃん!」
「笑ってやるなよ!自称最強君が顔赤くしてんじゃん!」
「『いや、知らん』って、ダメだ!笑いが止まらねえ!」
田島は怒りで顔を真っ赤にさせていた。
『知らねえだと!俺はてめえより格下と思ってんのか?許さねえ!許さねえ!許さねえ!俺の方が強いんだ!』
「ちっ!くそっ!てめえ等手を貸せ!ひよって逃げた奴は明日から毎日追い込みかけるからな!」
田島と五十人ほどの不良が月島に突っ込んでいった。
結果、一番の重傷者・田島はボコボコのぐしゃぐしゃにされ入院。他の奴等はワンパンですんだ。田島の処分は月島もやりすぎとの事二人共に停学を言い渡された。
ちなみに月島が停学の間、三日月さんも休んでいたので色々な噂が飛び交っていた。
田島は求心力を失い、田島のグループは空中分解した。俺はこれまでの仕返しをしようかとも考えたがやめた。
なぜなら田島の事なんてどうでもいいと思ってしまう事件が起きた。
月島の停学明けから二日後に、隣のクラスに転校生がやってきた。
そいつの名は『銀月 大虎(ギンゲツ タイガ)』だ。
毛先から少し黒色が混じった銀髪にアイドルばりの超美形の高身長の男が突然に月島のいるクラスに来て勝負を挑んで来た。
いつもの月島なら無視してるが、その日は場所と時間を指定していた。
場所は人気があまりないスクラップ工場だ。
二人の喧嘩を見ようと多くのギャラリーが集まった。
その中には七瀬万桜の姿があった。わざわざ見に来て険しい顔をしていたのはなぜだろうか?
そして二人が決闘の場に現れ、喧嘩が始まった。
いや喧嘩じゃなかった、『殺し合い』だった。
俺等不良がやってきた喧嘩なんて赤ん坊の戯れ程度に思える。
二人の拳はコンクリートの壁を簡単にぶち抜き、二人の蹴りは鉄骨すらも変形させるほどの威力があった。二人共加速装置でもついてるのか!とツッコミを入れたくなるほど動きが速すぎる。
月島が『普通車』を持ち上げ銀月に向かって投げつけ、銀月はよけれないと判断したのかパンチのラッシュで普通車の破壊を試みる。月島は反対側からパンチのラッシュを繰り出し車を押し込み銀月を押し潰そうとする。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
車かどんどんバラバラに砕けていく。
※二人共素手でやり合ってます。
「ぶっつぶれろおおおおおおおお!!!!」
ズドーーーン!!!
だが、月島がパワーで押し切り銀月は廃棄された建物と廃車に挟まれた。
「はははははははは、俺に勝てると思ってんのか!ああん!」
月島は勝利を確信していたようだが、
ドガーーーーーン!!!
車が粉々に砕け散る。
「思っているが何か?」
服が所々破れてはいたが目立った傷は負っていなかった。
二人共凄すぎて、さっきから銀月の体から『光輝いている眩い白銀のオーラ』、月島の体から『引きずり込まれそうな暗い金色のオーラ』みたいのが見えるんだが。そして、なぜか七瀬万桜の顔は恍惚の笑みを浮かべ、他所様には見せれない顔をしてたのは見なかった事にしよう。
「さっさとくたばれ!!!」
「お前がな!!!」
二人のオーラ?が拳に集まっていく気がする。
「消えろおおおおおおおおお!!」
「お前を『超えていく』!!」
この一撃で決着がつくのか?と思った矢先突然二人の動きが止めた。
どうしたんだ?
「「8時から『渡る世間は悪魔しかいない』があるから帰る」」
えっ?えっ?ええええええええええええ!!
マジで!ここまで来てドラマがあるから帰るって!マジで帰ったよアイツ等!!
それから二人の決着がついたのかは分からない。もしかして誰も見てない所で決着をつけたのか?まだやり合っていないのか?
まあ、結果は本人達の問題だからいいか?
二人の喧嘩?を見た後、俺は思った。
俺も二人みたいに強くなりたいと。
それから俺は体を鍛えに鍛えたが全く追い付ける気がしない。
だが負けたくないと研鑽を重ね、その間にも『二人』に戦いを挑むがボコボコにされる。
そんな日々を送り、そして今回の異世界に転移した時俺は歓喜した。あの二人に追い付ける手段『能力』を手に入れたと。
そしていつの日か二人に追いつく為に目標のすぐ側にいた方が強さを学べるかもしれないから。それが外道の道だろうが行ってやる。
俺は強くなりたい!その気持ちしかない。
「俺は月島についていく」
「・・・・・・・」
光ヶ丘の腕を掴んで聖剣を振り下ろすのを阻止する釈迦峰。そして無言で両腕を氷の大剣に変化させ光ヶ丘の首に突き付ける碧海氷狐と同じく刀を首に突き付ける七瀬万桜。
「さ、三人共目を覚ますんだ!俺はお前達を斬りたくない!」
「おいおい光ヶ丘、その言い草は俺等がてめえより格下だって言いてえのか?」
「嘗められたものでね。なんなら私が次相手をしてあげようか?光ヶ丘君?」
「釈迦峰、七瀬、碧海さん、君等を救う為に俺は戦っているんだ!俺の邪魔をするな!」
「いい加減にしろ光ヶ丘!クラスの奴等はお前の物じゃない!好きに選ばせてやればいいだろ!どうせ今すぐは元の世界に帰れないんだから!」
「分かっていないのは君等だ!まだ能力や魔法に目覚めてないクラスメイトが帰れる手段を手に入れる可能性の方が高い!帰れる方法を探すなら国に所属すれば!」
「光ヶ丘君、君の話は前提から間違ってる」
「何?」
釈迦峰、七瀬、碧海は確め合うように頷く。
「私達は元の世界に帰る気がないんだよ。今の所はだけど」
「何だと!何で?ここは異世界だぞ!七瀬!君は両親や友人がいる地球に帰りたくないのか?」
七瀬は答える。
「私の家の人達はそんな事はあまり気にしないよ。『仕事柄』帰ってこなくなる事はよくあるからね」
釈迦峰は答える。
「俺は元々捨て子だ。寺が運営している孤児院で育ったからな。あんまり思い入れはないわ」
碧海は答える。
「私の家族は、両親と妹は亡くなりました。私の大切な人は『地球』にはいません」
三人の答えに光ヶ丘は納得がいかないようだ。
「なら、俺の元にいればいいだろ!何でそいつにわざわざついていくんだ!」
その光ヶ丘の質問には誰も答えなかったが、三人はそれぞれ思い返していた。
月島竜一との出会い?を。
月島竜一自身は覚えていないだろう彼、彼女等しか知らない過去を。
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釈迦峰の場合・・・・
「おらっ!釈迦峰!立てよ!おらっ!おらっ!」
バキッ!ドカッ!ゴスッ!バキッ!ドカッ!
今日も田島獅子王丸(タノシマ シシオウマル)率いる不良グループに囲まれ十人がかりでボコられる。
「さっさと学校辞めろよ!気に食わねえんだよ!」
「ぐっ、てめえ、タイマンはれよ、卑怯者が、大勢で来なきゃ、俺の所に来れないくせに、」
「タイマンなんてダセー事言ってる、てめえを!なんで!正々堂々とやってやらなきゃいけねえんだよ!」
いつも決まって大勢で俺をボコって弱らせてから田島の奴がトドメをさしにくる。
そして俺が気を失うまで殴り続ける。
それが高校入学して一年間以上続き、それは二年に進級しても変わらなかった。
いや、日にちが経つごとに田島は戦力を手下を増やしていった。
二年の春には学校のトップになり三年も口出し出来なくなっていた。
俺だけが田島に逆らい毎日ボコられていた。
けど負けたくなかった。
入院させられようが動けるようになったら勝手に退院して学校に行った。
抵抗するが十人以上に一気に囲まれボコボコにされ、一対一で相手をしてやると言ってくれば手下にやらせ、そいつが負けると次は違う手下と一対一のエンドレス。始めから俺とやり合う気がないのは見え見えだったが負けたくないと受けて結局最後はボコられる。
それは二年生になって2ヶ月間続いたある日突然終わりを告げた。
この学校にはもう一人、喧嘩が強いと言われている男がいた。
そいつの名は『月島竜一』だ。
田島はそれが気に入らなかったらしいく、月島竜一を狩ると宣言。月島の首に50万円の賞金までかけた。
が、誰も月島を襲おうとはしなかった。
皆が田島に言うアイツには手を出さない方がいいと。
月島竜一は中学時代に100対1の喧嘩で勝ったらしい。しかも全員から財布を抜き取り、慰謝料も請求してきたらしい。
月島竜一は中学時代にヤクザの罠に掛かって足をコンクリートで固められ海に沈められたが、自力で脱出して自分を沈めたヤクザに報復したらしい。
月島竜一は中学時代にヤクザが仕切る賭場に出入りしていてヤクザとも懇意にしているらしい。
月島竜一は中学時代に・・・・・と、ヤバい噂ばかり流れていて中には実際に見たと言う奴が現れた。
誰も月島には関わり合いたくないと口にする。
田島はだったら全校生徒の前でぶっ飛ばして恥かかせてやると言い出した。
そして翌日、あの馬鹿は朝からあった全校集会の最中に月島に襲いかかった。
しかも後ろからの跳び蹴りを背中にくらわし倒こんだ所を仰向けにして田島は月島の顔面に拳を振り下ろす。
バキッ!ゴスッ!ドッゴ!バキャ!バギッ!
「おらあ!くたばれ!月島!」
皆は止めようとしない。突然の事で混乱して動けないでいた。
田島に30発以上顔面を殴られても月島は防ごうともせず手足を大きく広げて大の字になって倒れ込んでいる。
気絶したのか?そう思った時、信じられない光景を見た。
月島は爆睡していた!!
ええええええ!嘘だろ!何で殴られてんのに寝れるんだよ!
よく見たらアイマスクしてる!完全に人を小馬鹿にした白目むき出しアイマスクしてるううう!
「けっ!寝た振りしても無駄なんだよ!」
更に田島は一発顔面に入れるが、まだ寝息が止まない。
そこに月島の彼女と噂の三日月友が彼を起こそうとする。
「起きて、竜一。さっきから殴られてる」
三日月さんもっと声張った方がよくない!!
周囲の人間の考えは一致していたが、月島は三日月の声に反応して起きたのかアイマスクを外す。
「おいおい、嫁よ。今日は日曜日だぜ。おっちょこちょいだなあ。まあ、そういう所も大好きだが、後でしこたま種付けしてやっから寝かせてくれよ、眠い」
今日月曜日ですから!しかもまだ朝だよ!一限目すら過ぎてねえよ!ていうか嫁かよ!母ちゃんじゃなくて嫁かよ!しかも、え?君等そういう関係!三日月さん下手したら小学生にすら見えるから犯罪に思えるぞ!
三日月さん満更じゃないって顔してるう!顔を真っ赤にさせて照れてる。
「ん?誰だてめえ?男に跨がられる趣味はねえぞ」
やっと田島の事に気が付いた月島はパンチを繰り出す。
田島は咄嗟にガードしたようだが、見ただけでもわかる。
一撃で腕の骨を折りやがった!しかも背中が地面に完全に密着した状態、ただの腕力だけで!
だが月島は起き上がらない。
もしかしてダメージが残ってンのか?
「やべえな、地面が思いのほかヒンヤリしていて気持ちいい!」
「起き上がれないからって、そんな適当な理由つけ、」
「竜一、制服汚れるから起きて」
「はいはい」
月島は三日月の言葉で即立ち上がった。
「やれやれ立って寝てたはずが、いつの間にか横になりたくて大地を求めちまったみたいだな。ははははは」
いや、蹴られたんだよ!それよりあんだけ殴られたのに何で無事なんだよ!
「ちっ!クソっ!やっちまえ!」
「うわあああああああああああ!!」
危ない後ろ!!
ガツッン!
田島の合図で金属バットを持った男が走ってきて、そのままの勢いで月島の後頭部をバットで殴った。
周囲から悲鳴が上がる。
「痛い!だからなんだ?」
ええええええええええええ!!痛いで済むの!
月島は微動だにせずに立っていた。見た感じ無傷。
ゴシャア!!!
月島は金属バットで殴ってきた男の顔面に拳を叩き込みぶっ飛ばした。
※この金属バット君は歯を総入れ歯されて自主退学する事になった。
「で?てめえ誰だ?」
月島は田島に問いかける。
「俺はこの学校最強の男!田島獅子王丸だぞ!知らねえとは言わせねえぞ!」
「いや知らん」
「・・・・へ?」
「知らん」
「・・・・・・」
月島の答えに校庭がシーンと静まり返る。
ぶふふふ!ふふふ!
誰かが堪えきれずに笑うと校庭中に笑いの渦が広がっていった。
「全く相手にされてねえじゃん!」
「笑ってやるなよ!自称最強君が顔赤くしてんじゃん!」
「『いや、知らん』って、ダメだ!笑いが止まらねえ!」
田島は怒りで顔を真っ赤にさせていた。
『知らねえだと!俺はてめえより格下と思ってんのか?許さねえ!許さねえ!許さねえ!俺の方が強いんだ!』
「ちっ!くそっ!てめえ等手を貸せ!ひよって逃げた奴は明日から毎日追い込みかけるからな!」
田島と五十人ほどの不良が月島に突っ込んでいった。
結果、一番の重傷者・田島はボコボコのぐしゃぐしゃにされ入院。他の奴等はワンパンですんだ。田島の処分は月島もやりすぎとの事二人共に停学を言い渡された。
ちなみに月島が停学の間、三日月さんも休んでいたので色々な噂が飛び交っていた。
田島は求心力を失い、田島のグループは空中分解した。俺はこれまでの仕返しをしようかとも考えたがやめた。
なぜなら田島の事なんてどうでもいいと思ってしまう事件が起きた。
月島の停学明けから二日後に、隣のクラスに転校生がやってきた。
そいつの名は『銀月 大虎(ギンゲツ タイガ)』だ。
毛先から少し黒色が混じった銀髪にアイドルばりの超美形の高身長の男が突然に月島のいるクラスに来て勝負を挑んで来た。
いつもの月島なら無視してるが、その日は場所と時間を指定していた。
場所は人気があまりないスクラップ工場だ。
二人の喧嘩を見ようと多くのギャラリーが集まった。
その中には七瀬万桜の姿があった。わざわざ見に来て険しい顔をしていたのはなぜだろうか?
そして二人が決闘の場に現れ、喧嘩が始まった。
いや喧嘩じゃなかった、『殺し合い』だった。
俺等不良がやってきた喧嘩なんて赤ん坊の戯れ程度に思える。
二人の拳はコンクリートの壁を簡単にぶち抜き、二人の蹴りは鉄骨すらも変形させるほどの威力があった。二人共加速装置でもついてるのか!とツッコミを入れたくなるほど動きが速すぎる。
月島が『普通車』を持ち上げ銀月に向かって投げつけ、銀月はよけれないと判断したのかパンチのラッシュで普通車の破壊を試みる。月島は反対側からパンチのラッシュを繰り出し車を押し込み銀月を押し潰そうとする。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
車かどんどんバラバラに砕けていく。
※二人共素手でやり合ってます。
「ぶっつぶれろおおおおおおおお!!!!」
ズドーーーン!!!
だが、月島がパワーで押し切り銀月は廃棄された建物と廃車に挟まれた。
「はははははははは、俺に勝てると思ってんのか!ああん!」
月島は勝利を確信していたようだが、
ドガーーーーーン!!!
車が粉々に砕け散る。
「思っているが何か?」
服が所々破れてはいたが目立った傷は負っていなかった。
二人共凄すぎて、さっきから銀月の体から『光輝いている眩い白銀のオーラ』、月島の体から『引きずり込まれそうな暗い金色のオーラ』みたいのが見えるんだが。そして、なぜか七瀬万桜の顔は恍惚の笑みを浮かべ、他所様には見せれない顔をしてたのは見なかった事にしよう。
「さっさとくたばれ!!!」
「お前がな!!!」
二人のオーラ?が拳に集まっていく気がする。
「消えろおおおおおおおおお!!」
「お前を『超えていく』!!」
この一撃で決着がつくのか?と思った矢先突然二人の動きが止めた。
どうしたんだ?
「「8時から『渡る世間は悪魔しかいない』があるから帰る」」
えっ?えっ?ええええええええええええ!!
マジで!ここまで来てドラマがあるから帰るって!マジで帰ったよアイツ等!!
それから二人の決着がついたのかは分からない。もしかして誰も見てない所で決着をつけたのか?まだやり合っていないのか?
まあ、結果は本人達の問題だからいいか?
二人の喧嘩?を見た後、俺は思った。
俺も二人みたいに強くなりたいと。
それから俺は体を鍛えに鍛えたが全く追い付ける気がしない。
だが負けたくないと研鑽を重ね、その間にも『二人』に戦いを挑むがボコボコにされる。
そんな日々を送り、そして今回の異世界に転移した時俺は歓喜した。あの二人に追い付ける手段『能力』を手に入れたと。
そしていつの日か二人に追いつく為に目標のすぐ側にいた方が強さを学べるかもしれないから。それが外道の道だろうが行ってやる。
俺は強くなりたい!その気持ちしかない。
「俺は月島についていく」
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※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
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異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
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