平穏な生活を望む美貌の子爵令嬢は、王太子様に嫌われたくて必死です

美並ナナ

文字の大きさ
上 下
24 / 30

21. 思いがけない来訪者(Sideフェリクス)

しおりを挟む
「最近シェイラ様とお会いになっていないようですが、よろしいのですか?」

「……ああ、うん。セイゲル語の授業の件も片がついたし、会う理由がなくなったからね」

「理由がなければ作り出すのがいつものフェリクス様では?」

王城内にある王太子用の執務室で、いつものように執務をこなす中、ふいにリオネルが問いかけてきた言葉に僕は苦笑いを浮かべる。

確かにリオネルの指摘する通りだ。

これまでの僕は自ら理由を作り出してシェイラと会う機会を作ってきた。

その様子を側で見ていたリオネルだからこそ疑問に思うのも無理はない。

「ここ最近のフェリクス様は、まるで数年前に戻られたみたいです。楽しげな顔をお見かけすることがなくなりました。退屈そうに日々を過ごしていらっしゃるように見えますね」

なかなか鋭い観察眼だ。

反応に困った僕は「そう?」と軽くはぐらかしながら、書類を捌くペンを動かす。

リオネルは僕がそれ以上何かを話すつもりがないのを察したのか、困ったように小さく溜息を吐くと口を閉ざして目線を書類へと戻した。

 ……本音を言えば僕だってシェイラに会いたいよ。だけどシェイラ本人が泣くほど嫌がっているんだからさすがに僕の気持ちを押し付けるわけにはいかないしね……。

あの日、学園会議の後、僕に抱きしめられたシェイラが大粒の涙を溢した時には本当に驚いた。

その前に王城で打合せをした際もどこか様子がおかしかったからずっと気になっていた。

体調が優れないと本人は口にしていたが、その時の口調がまるで以前に戻ったかのようでドキリとした。

他人行儀で慇懃な態度は、僕から距離を取りたいと物語るようで、せっかくデートを経て心を開いてくれたと思った矢先だったから戸惑った。

だが、学園会議で顔を合わせた時には、そのおかしな様子は鳴りを潜め、いつも通りのシェイラだった。

セイゲル語の授業についての報告も、しっかり準備してあり、シェイラの努力の跡が見えるようで引き込まれた。

イキイキとした表情で皆の前で報告する姿は、本当に魅力的でいつまでも見つめていられそうだった。

そんな会議の後にシェイラと二人で話がしたくて姿を探したわけだが、彼女は僕たちが最初に言葉を交わした場所――あの庭にいた。

この庭に来るのも実に久しぶりだ。

最初は息抜きの場所として、次第にシェイラを観察して楽しむ場所として、ここ数年よく足を運んでいたこの場所だが、シェイラと直接言葉を交わすようになったこの一年間はほぼ来ていない。

なぜなら、あの場所に行かなくても同じ効果をシェイラから得られるからだ。

つまりシェイラという存在自体が、僕が息抜きできる場所であり、楽しいと思う場所になっている。

「ああ、やっぱりここにいた。探したよ。生徒会長室にもいなかったから、ここかなぁとは思ったけどね」

シェイラの姿を認めるやいなや、切り株に座って一人で寛いでいる様子だったシェイラに僕はすぐに声を掛けた。

会議での様子を見る限りいつも通りだったが、やはり先日の急に距離を取るような態度になったことが気掛かりで、きちんと確認したかったのだ。

顔を覗き込むと、シェイラは恥じらうようにパッと目を逸らす。

うっすら頬に赤みが刺していて、僕に対して照れているように見えた。

 ……可愛い。抱きしめたい。

この時、こんな衝動に負けて僕は寒そうにしているシェイラを「温めてあげる」という口実で思わず抱きしめてしまった。

そんな唐突な言動がいけなかったのだろうか。

シェイラの柔らかい身体を腕の中に囲いながら、僕は会議での様子が素晴らしかったことを褒めた。

すると、次の瞬間、シェイラの澄んだ水色の瞳から涙が溢れ始めたのだ。

堰を切ったようにポロポロと瞼から筋を引いて涙がこぼれていく。

これには心臓が止まるかと思うほど驚いた。

嬉し涙というには無理がある表情を見て、「ああ嫌だったんだな」と悟ってしまった。

現に泣くほど僕に触れるのが嫌だったのかと問えば、シェイラは言葉を詰まらせた。

そして結局何も口にせず、唇をキュッと引き結んだだけだった。

 ……ああ、やっぱり心を許してくれなかった頃のシェイラに戻ったみたいだ。

ずっとシェイラが僕に嫌われようとして色々仕掛けてきていたのは知っていた。

だけど、まさか泣くほど苦しんでいるのだとは思わなかった。

いや、思いたくなかっただけだ。

それを認めてしまえばシェイラと関われなくなってしまうのだから。

「誤解だ」「違う」などなにか一言でも否定する言葉をくれないかと期待したが、シェイラは黙ってただ涙を流すだけだった。

その表情は何かに耐えるような苦しげなもので、それほど自分がシェイラに無理をさせていたのだと実感した。

そんな出来事があったのだから、たとえシェイラに会いたくても会いに行けるはずがない。

それはシェイラを苦しめる行為なわけで、苦しめるのは僕の本意ではないからだ。

 ……どう足掻いてもシェイラの心は手に入らないんだな。

その事実には打ちのめされた。

無敵王子と呼ばれることもある僕は、生まれながらにして多くのことに恵まれ、これまでなんでも労せず手に入れることができた。

王族という立場ゆえに大抵の物は得られるし、集中して鍛錬を積めば剣の腕も人並み以上になれたし、大概のものはサッと本に目を通せば理解できたのだ。

さほど努力せずとも何でも手に入れてきた自負があるが、本当に欲しいものが手に入らないとは皮肉なものだ。

 ……これからどうすればいいんだろう……? 僕が近づけば近づくほど苦しめてしまうのなら、諦めるしかない?

でも諦め方が分からない。

人は欲しいと思ったものが手に入らなかった時、どうやって気持ちの折り合いをつけるのだろうか。

シェイラへの想いに整理がつくとは思えないし、放っておいたら消えるとも思えない。

他の誰かに心変わりするなんてことこそ絶対ないだろう。

 ……じゃあ一体どうしたら……?

ただでさえここ数週間シェイラの顔を見れなくて心が荒んでいるというのに、答えの出ない問いに頭がおかしくなりそうだ。

書類に視線を落としながら、つい盛大な溜息を吐いてしまった。

じとっとした眼差しのリオネルの目がこちらに向く。

その時だ。

いきなり執務室の扉がバンとうるさく開け放たれ、予想外の人物が中に飛び込んできた。

僕の執務室に来ることなど初めてではないだろうか。

ウェーブのかかった豊かな髪を振り乱し、その人物は脇目も振らず僕のデスクまで来ると、ドンっと机に手をついた。

「ちょっとどうなっているのか説明してくださるかしら?」

「マルグリット、ノックもなしに入ってくるなんて無作法じゃないか」

「あら? 以前同じことをどなたかがされていたと記憶していますが? わたくしは真似しただけですわよ?」

ハンッと鼻で笑いながらマルグリットは挑戦的な目を投げかけてくる。

確かに以前僕がノックなしに生徒会長へ押し掛けたことがあったが、それも随分と前の話だ。

それを今になって持ち出してくるとは、やはりマルグリットは底意地が悪い。

 ……それにしても何の用だ? マルグリットがわざわざ王城の執務室まで訪ねてくるなんて。

なにかしら重要な用件があるのだろうことは態度から察せられた。

なにしろこの部屋の中にリオネルがいるというのに、そちらをチラリとも見ようとしない。

そのことからマルグリットの本気度が窺える。

真っ直ぐに僕を見据える目が不満と怒りを帯びていた。

「それでマルグリットは僕に何の用かな? 何を説明して欲しいの?」

「シェイラのことですわ」

マルグリットが放ったただその一言で僕の意識が一瞬にして切り替わる。

先程まで適当にあしらう気満々だったのに、一転して真剣な目でマルグリットを見つめ返した。

「わたくしは怒っているの。あなたがわたくしのお友達を悲しませるのだもの」

「僕がシェイラを悲しませてる……? 何の話?」

「ストラーテン侯爵令嬢と随分仲良くしているようですわね? あちらこちらで噂になってますわよ」

「……ああ、そのことね。別に仲良くはしてないけど。一方的に纏わりつかれているだけ」

「でもいつものあなたならそういう女は軽くあしらって以後関わり合いにならないでしょう? それなのにストラーテン侯爵令嬢へは随分甘い対応ですこと。王城への日参を許し、噂になるなど脇が甘いのではなくて?」

やや痛いところを突かれ、ぐっと言葉に詰まる。

脇が甘いのは否定できない。

噂になってしまったのは僕にも瑕疵がある。

あまりに煩わしくて投げやりになっていたゆえのことであるのは否めない。

だが、別に対応を甘くしているわけではない。

それはこちらにも言い分がある。

「好き勝手言ってくれるね。こちらにも理由があるんだよ。わざとそうしてるってわけ」

「ワザとですって? 一体どんな理由があるのかぜひお聞かせ願いたいわね。シェイラを悲しませるに値する内容なのかしら?」

「まあマルグリットに知られたところで困らないから教えてあげるよ。端的に言うと様子見だ。どうやらカトリーヌ嬢はシェイラに対して相当歪んだ感情を抱えているようでね。諜報部に探らせたところ、よからぬ者と接触の兆しがあることが分かったんだよ。だから監視しつつ油断させて尻尾を掴もうとしてる」

「つまりシェイラを守るため、だと?」

「そういうこと」

マルグリットは僕の言葉を吟味するように黙り込んでなにやら考えを巡らせている。

どうやらこちらの言い分は伝わったようだ。

だが、逆にこちらからも聞きたいことがある。

「さっきからマルグリットは僕がシェイラを悲しませているって発言してるけど、それどういう意味? ……シェイラに拒絶されて落ち込んでるのは僕の方なんだけど」

「えっ? シェイラに拒絶されたですって?」

「そうだよ。泣くほど僕のことが嫌いみたい」

思わずポロリと泣き言を漏らせば、マルグリットは信じられないと目を見開いた。

そして今度は馬鹿にするような目を向けてくる。

「あなたがこんなに女心に鈍い頭の弱い方だとは思わなかったわ。無敵王子などと呼ばれているくせに肝心なことには気付かないのですわね」

「……ひどい言いようだね。僕が何に気付いていないって?」

「シェイラの気持ちですわ。なぜ分かりませんの? シェイラはあなたのことを想っているのですわよ!」

「………………え?」

マルグリットの口から放たれた衝撃的な台詞に僕は目を見張る。

驚きすぎて王太子らしからぬあまりにも間抜けな声が漏れてしまった。

そんな僕の様子に構うことなく、勢いづいたマルグリットはさらに言い加える。

「先程わたくしに聞きましたわよね? シェイラがなぜ悲しんでいるのかって。そんなの分かりきったことではございませんこと? 好きな殿方とストラーテン侯爵令嬢が仲睦まじくしているのを噂で聞いたり、実際に目にして、悲しんでいるのですわよ」

「な……。というか今実際に目にしたって言った?」

「ええ。シェイラによるとお二人が応接室へ消えて行くのを目の前で目撃したらしいですわよ。本当に脇の甘いことですこと」

もしかして王城に打合せに来た時のことだろうか。

 ……だからあの日シェイラの様子がおかしかった? 僕とカトリーヌ嬢の姿を見て動揺して……?

本当にシェイラも僕を想ってくれているというのが事実なら嬉しすぎてたまらない。

だが、まだ手放しには喜べない。

「でもシェイラは泣くほど僕が嫌いなんだよ? だからこれ以上シェイラを苦しめないために、あえて距離を置くようにしてるくらいだし……」

「なぜシェイラが泣いたのかはわたくしにも正確には分かりませんわ。でも推測することくらいは可能ですのよ」

「推測?」

「ええ。それこそカトリーヌ嬢との仲を嫉妬して苦しさから涙が出たですとか。あとはあなたに好意を抱いたこと自体に悩んでいる様子でしたから感情が乱れただけかもしれませんわよ?」

「そんな、まさか……」

「そもそもその時シェイラからハッキリ嫌いだと言われたんですの? あなたの勘違いの可能性が濃厚だと思いますわよ」

僕には理解できなかったシェイラの心情を淡々とマルグリットは紐解いていく。

最後に誤解ではないかと言われた時には隠しきれない歓喜が訪れた。

 ……じゃあ僕が今まで通りシェイラに近づいても苦しめることはない? シェイラを諦めなくていいってこと?

先程まで悩んでいたことに解決の糸口が示され、途端に目の前が明るく開けた気がする。

それをもたらしたのがマルグリットという点が癪ではあるが、感謝せざるを得ない。

「あら、少しは見れる顔になったではありませんこと。その調子でわたくしのお友達であるシェイラを悲しませないようにお願いしますわね」

「ああ、分かったよ。助言に感謝する」

「少々わたくしも興奮しておりましたようで、勢い余ってシェイラの気持ちを暴露してしまいましたわ。……なのでその点はわたくしが話したことは秘密ですわよ? 推測の部分もありますからご自分できちんとシェイラから気持ちを聞いてくださいな」

どうやらマルグリットは多少喋りすぎたと反省しているらしい。

今回は喝を入れてもらったことに感謝して秘密は守ることにしよう。

シェイラ本人の口から気持ちが聞きたいのは僕も同じなのだから。

「リオネル、悪いんだけど僕は出てくる。戻ってから残りの執務は必ずやるから残しておいて。あとマルグリットのことよろしくね」

今すぐシェイラに会いたい気持ちに駆られた僕は席を立ち上がる。

マルグリットへは謝礼も兼ねてリオネルとの時間を贈ることにした。

「お待ちください、フェリクス様。今しがた諜報部から連絡が入りました。……“動きあり”とのことです」

だが、浮かれ気味だった気持ちがリオネルから告げられたこの一言で一気に引き締まる。

僕は諜報部からの連絡内容を確認すると、シェイラのもとへ急ぐべく執務室を飛び出した。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

処理中です...