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8.2人きりでの取材(Side亮祐)
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トントントン
常務室のドアがノックされ、並木百合が中へ入ってくる。
俺と彼女は応接スペースの椅子に座り、向かい合った。
ーー彼女は相変わらず、あのなんとも表現できない恋情と憂いを混ぜた色を瞳に浮かべて俺を見ていた。
この日の午前中、俺は海外営業部との会議に出席していた。
参加している社員は直属の部下たちだ。
入社前にアメリカで会った長谷太一もいた。
「‥‥以上が直近のアメリカでの売上状況です」
各エリアの担当者が、それぞれの売上状況や販路の開拓進捗を報告してくれる。
資料に目を通しながら、部下の説明に耳を傾け、適宜質問や指摘をしていく。
ひと通り今日の議題を話し終えると、場の空気が緩やかになる。
部下と少し交流を図ろうと、俺は雑談を投げかける。
「お昼はみんないつもどうしてるんですか?」
「社員食堂を利用する社員が多いと思いますよ!社食は栄養バランスも考えられたものが提供されてますし、値段も手頃ですし」
「俺たち営業は外出していることが多いので、割と外で済ませることが多いです」
「亮祐常務はどうされているんですか?」
部下が次々に話しかけてくる。
今日この場に参加している海外営業部の部下は全員男性だ。
女性からの煩わしい視線を気にする必要がないので気が楽だった。
「まだ入社したばかりで予定がギッシリ詰まってるから、僕はなかなかゆっくりお昼を食べてる暇もなくって。デスクでもっぱらコンビニ飯ですね。本当は外に食べに行きたいんだけど」
「うわ~大変そうっすね」
「今日も予定ギッシリなんですか?」
「午前中はこの会議で終わりで、午後からは役員会議、広報部からの取材の予定ですね。まぁ今日は夕方はちょっと時間があくからまだマシな方かな」
そう答えると、長谷が反応した。
「広報部の取材って、もしかして百合‥‥あ、並木さんですか?」
その言葉に、先日挨拶をした並木百合の姿を思い出す。
長谷は彼女を下の名前で呼び捨てしているのかとなんとなく面白くない気分になる。
「そうです。並木さんともう1人来るって言ってたかな。長谷くんは並木さんと親しいの?」
「あ、俺同期なんっすよ。この前、常務を取材するって言ってたなと思い出して」
すると、他の社員たちも口々に並木百合について話し出す。
「並木さんと同期とか、長谷が羨ましいよな~」
「並木さん美しすぎるよな。目の保養だわ」
「あの儚げな微笑みが堪んないっすよね!なんかミステリアスな雰囲気もあるし」
「並木さんから取材受けるなんて、常務が羨ましいです」
「しかも、綺麗なだけじゃなくて仕事もできるしね。いつも早いし、細やかだし」
どうやら彼女は社員から人気があるようだ。
まぁ納得ではある。
話を聞いていると、並木百合は27歳で社会人5年目、独身で今は彼氏がいないらしい。
雑談を繰り広げる予定が、いつの間にか並木百合の話題ばかりになっていた。
キリの良いタイミングで話を切り上げると、会議をクローズし、俺は自室へと戻った。
ーーデスクで簡単にお昼を食べ、午後一から役員会議に出席し、そして今である。
俺の向かいに座った並木百合は、丁寧な口調で今日の取材の主旨について説明を始めた。
あらかじめメールをもらっていたので、内容については理解していた。
今日までの間に彼女とは何度かメールのやりとりをしたが、部下が言っていたとおり、レスが早い上に、読み手のことを考えた細やかな気配りが伺えた。
初対面の時に庇護欲をそそるタイプだなと思ったが、仕事の姿勢は真面目で自立している感じで少し意外だった。
俺は事前の連絡に礼を述べる。
「事前にメールで主旨や想定の質問事項も送ってもらっていたので把握してます。細やかにありがとう」
「とんでもないです!あと、すみません、当初は2名で伺う予定だったのですが、突発案件により広報部内で調整がつかなくなったため、本日は私のみでお伺いさせて頂きます」
あぁ、それで1人なのか。
2人が来る予定だったのに、一対一という状況になって彼女は少し緊張しているようだった。
俺は初対面の時同様、彼女から目が離せず気になっていたので、2人きりという思わぬ状況に心が浮き足立つのを感じた。
女なんてめんどくさいと距離をとる自分の感情とは思えない。
彼女はテキパキとICレコーダーを準備すると、さっそくインタビューに取り掛かり始めた。
最初は、常務就任の経緯や経歴、海外での経験など想定質問で事前にもらっていたことを尋ねられる。
ただ、彼女がすごいのは、型通りに質問をするのではなく、俺の答えに合わせて柔軟に質問の順番を入れ替えたり、追加質問を入れたりしてくるところだ。
こちらが話しやすいように配慮してくれている。
彼女のおかげで、言葉が自然と引き出されていく。
こういう対応を見ていても、彼女の仕事への姿勢が伺えて好感を持つ。
こんなに1人の女性が気になるのは初めてだった。
あの瞳といい、彼女は何もかもが他の女性とは違っていた。
だんだんと質問内容がプライベートなことに移行してくる頃には、俺は単純に彼女と会話をするのが楽しくなっていた。
ビジネス仕様の口調から、普段の口調になってしまう。
休みの日に何をするかという質問から、俺がお酒が好きだと話すと、彼女はどんなお酒を飲むのかと質問を重ねる。
「なんでも飲むよ。最近は特にウイスキーにハマってる。並木さんは?お酒飲める方?」
「私ですか?お酒を飲むこと自体は好きなんですが、残念ながらあんまり量は飲めなくて。お酒強い方が羨ましいです」
経験上、こういう話をすると、だいたいの女は「じゃあ今度一緒に飲みに行きませんか?」と隙あらばシナを作って誘ってくる。
それが仕事中であろうとなかろうと。
彼女には全くそんな素振りはなかった。
むしろ話の流れでこちらから誘おうかと口を開きかけ、会話を録音している事実を思い出し、口をつぐむ。
思わず自分から女性を誘おうとするなんて、自分で自分の行動に驚いた。
俺が内心で自分自身に驚いていると、彼女はチラッと手元の腕時計に目を向けた。
無意識にその行動を目で追う。
彼女の手首には、少しゴツめの革ベルトの腕時計がはめられている。
そのゴツさによって、かえって彼女の手首の細さが際立っていた。
(繊細なチェーンのブレスレットが似合いそうだな)
ふとそんなことをぼんやり思った。
その後、一眼レフを構えた彼女に写真を撮られる。
撮影にも慣れているのか、的確にポーズや立ち位置の指示を受け、言われるがままに対応する。
静かな部屋に、カシャッ、カシャッという音だけが響き渡った。
俺はもう少し彼女と話がしたい衝動に駆られ、一眼レフを構える彼女に話しかけた。
「そういえば、並木さんって、初めて会った時に俺を見て驚いてたよね。あれって何で?」
これはずっと気になっていたことだった。
あの日、彼女は明らかにビックリしていたのだ。
他の人と反応が違ったので記憶に残っている。
「‥‥えっと、あの、知り合いに似ていたので‥‥」
少し考えながら答えを述べる彼女は、憂いを帯びた微笑みを浮かべた。
知り合いってどんな?
そう聞いてみたかったけど、なんとなくそれ以上踏み込みずらい雰囲気だった。
「知り合いに?そうなんだ」
「‥‥ちなみに、常務はご自身に似ていらっしゃるご親戚とかいらっしゃいますか?」
すると、彼女の方から思わぬ質問が飛び出る。
なんでこんな質問をするのだろうかと少し疑問に思いながら、該当する人はいない旨を伝える。
それってどういう意味?と聞こうとすると、彼女は唐突に場を切り上げた。
「そうですか!あ、そろそろお時間ですね。写真も十分に撮れましたので、こちらで大丈夫です。本日はお忙しい中ご協力本当にありがとうございました。原稿ができましたら、後日お送りいたしますのでご確認どうぞよろしくお願い致します。では、私はこちらで失礼いたします」
初対面の時と同様に、背を向けて部屋を出て行く彼女の後姿を見つめる。
また目が離せなかった。
それだけではない。
もっと彼女と話したいし、彼女のことが知りたい。
ーーなんとなく気になるという感情以上の、今までにない気持ちが心の中で渦巻いていた。
常務室のドアがノックされ、並木百合が中へ入ってくる。
俺と彼女は応接スペースの椅子に座り、向かい合った。
ーー彼女は相変わらず、あのなんとも表現できない恋情と憂いを混ぜた色を瞳に浮かべて俺を見ていた。
この日の午前中、俺は海外営業部との会議に出席していた。
参加している社員は直属の部下たちだ。
入社前にアメリカで会った長谷太一もいた。
「‥‥以上が直近のアメリカでの売上状況です」
各エリアの担当者が、それぞれの売上状況や販路の開拓進捗を報告してくれる。
資料に目を通しながら、部下の説明に耳を傾け、適宜質問や指摘をしていく。
ひと通り今日の議題を話し終えると、場の空気が緩やかになる。
部下と少し交流を図ろうと、俺は雑談を投げかける。
「お昼はみんないつもどうしてるんですか?」
「社員食堂を利用する社員が多いと思いますよ!社食は栄養バランスも考えられたものが提供されてますし、値段も手頃ですし」
「俺たち営業は外出していることが多いので、割と外で済ませることが多いです」
「亮祐常務はどうされているんですか?」
部下が次々に話しかけてくる。
今日この場に参加している海外営業部の部下は全員男性だ。
女性からの煩わしい視線を気にする必要がないので気が楽だった。
「まだ入社したばかりで予定がギッシリ詰まってるから、僕はなかなかゆっくりお昼を食べてる暇もなくって。デスクでもっぱらコンビニ飯ですね。本当は外に食べに行きたいんだけど」
「うわ~大変そうっすね」
「今日も予定ギッシリなんですか?」
「午前中はこの会議で終わりで、午後からは役員会議、広報部からの取材の予定ですね。まぁ今日は夕方はちょっと時間があくからまだマシな方かな」
そう答えると、長谷が反応した。
「広報部の取材って、もしかして百合‥‥あ、並木さんですか?」
その言葉に、先日挨拶をした並木百合の姿を思い出す。
長谷は彼女を下の名前で呼び捨てしているのかとなんとなく面白くない気分になる。
「そうです。並木さんともう1人来るって言ってたかな。長谷くんは並木さんと親しいの?」
「あ、俺同期なんっすよ。この前、常務を取材するって言ってたなと思い出して」
すると、他の社員たちも口々に並木百合について話し出す。
「並木さんと同期とか、長谷が羨ましいよな~」
「並木さん美しすぎるよな。目の保養だわ」
「あの儚げな微笑みが堪んないっすよね!なんかミステリアスな雰囲気もあるし」
「並木さんから取材受けるなんて、常務が羨ましいです」
「しかも、綺麗なだけじゃなくて仕事もできるしね。いつも早いし、細やかだし」
どうやら彼女は社員から人気があるようだ。
まぁ納得ではある。
話を聞いていると、並木百合は27歳で社会人5年目、独身で今は彼氏がいないらしい。
雑談を繰り広げる予定が、いつの間にか並木百合の話題ばかりになっていた。
キリの良いタイミングで話を切り上げると、会議をクローズし、俺は自室へと戻った。
ーーデスクで簡単にお昼を食べ、午後一から役員会議に出席し、そして今である。
俺の向かいに座った並木百合は、丁寧な口調で今日の取材の主旨について説明を始めた。
あらかじめメールをもらっていたので、内容については理解していた。
今日までの間に彼女とは何度かメールのやりとりをしたが、部下が言っていたとおり、レスが早い上に、読み手のことを考えた細やかな気配りが伺えた。
初対面の時に庇護欲をそそるタイプだなと思ったが、仕事の姿勢は真面目で自立している感じで少し意外だった。
俺は事前の連絡に礼を述べる。
「事前にメールで主旨や想定の質問事項も送ってもらっていたので把握してます。細やかにありがとう」
「とんでもないです!あと、すみません、当初は2名で伺う予定だったのですが、突発案件により広報部内で調整がつかなくなったため、本日は私のみでお伺いさせて頂きます」
あぁ、それで1人なのか。
2人が来る予定だったのに、一対一という状況になって彼女は少し緊張しているようだった。
俺は初対面の時同様、彼女から目が離せず気になっていたので、2人きりという思わぬ状況に心が浮き足立つのを感じた。
女なんてめんどくさいと距離をとる自分の感情とは思えない。
彼女はテキパキとICレコーダーを準備すると、さっそくインタビューに取り掛かり始めた。
最初は、常務就任の経緯や経歴、海外での経験など想定質問で事前にもらっていたことを尋ねられる。
ただ、彼女がすごいのは、型通りに質問をするのではなく、俺の答えに合わせて柔軟に質問の順番を入れ替えたり、追加質問を入れたりしてくるところだ。
こちらが話しやすいように配慮してくれている。
彼女のおかげで、言葉が自然と引き出されていく。
こういう対応を見ていても、彼女の仕事への姿勢が伺えて好感を持つ。
こんなに1人の女性が気になるのは初めてだった。
あの瞳といい、彼女は何もかもが他の女性とは違っていた。
だんだんと質問内容がプライベートなことに移行してくる頃には、俺は単純に彼女と会話をするのが楽しくなっていた。
ビジネス仕様の口調から、普段の口調になってしまう。
休みの日に何をするかという質問から、俺がお酒が好きだと話すと、彼女はどんなお酒を飲むのかと質問を重ねる。
「なんでも飲むよ。最近は特にウイスキーにハマってる。並木さんは?お酒飲める方?」
「私ですか?お酒を飲むこと自体は好きなんですが、残念ながらあんまり量は飲めなくて。お酒強い方が羨ましいです」
経験上、こういう話をすると、だいたいの女は「じゃあ今度一緒に飲みに行きませんか?」と隙あらばシナを作って誘ってくる。
それが仕事中であろうとなかろうと。
彼女には全くそんな素振りはなかった。
むしろ話の流れでこちらから誘おうかと口を開きかけ、会話を録音している事実を思い出し、口をつぐむ。
思わず自分から女性を誘おうとするなんて、自分で自分の行動に驚いた。
俺が内心で自分自身に驚いていると、彼女はチラッと手元の腕時計に目を向けた。
無意識にその行動を目で追う。
彼女の手首には、少しゴツめの革ベルトの腕時計がはめられている。
そのゴツさによって、かえって彼女の手首の細さが際立っていた。
(繊細なチェーンのブレスレットが似合いそうだな)
ふとそんなことをぼんやり思った。
その後、一眼レフを構えた彼女に写真を撮られる。
撮影にも慣れているのか、的確にポーズや立ち位置の指示を受け、言われるがままに対応する。
静かな部屋に、カシャッ、カシャッという音だけが響き渡った。
俺はもう少し彼女と話がしたい衝動に駆られ、一眼レフを構える彼女に話しかけた。
「そういえば、並木さんって、初めて会った時に俺を見て驚いてたよね。あれって何で?」
これはずっと気になっていたことだった。
あの日、彼女は明らかにビックリしていたのだ。
他の人と反応が違ったので記憶に残っている。
「‥‥えっと、あの、知り合いに似ていたので‥‥」
少し考えながら答えを述べる彼女は、憂いを帯びた微笑みを浮かべた。
知り合いってどんな?
そう聞いてみたかったけど、なんとなくそれ以上踏み込みずらい雰囲気だった。
「知り合いに?そうなんだ」
「‥‥ちなみに、常務はご自身に似ていらっしゃるご親戚とかいらっしゃいますか?」
すると、彼女の方から思わぬ質問が飛び出る。
なんでこんな質問をするのだろうかと少し疑問に思いながら、該当する人はいない旨を伝える。
それってどういう意味?と聞こうとすると、彼女は唐突に場を切り上げた。
「そうですか!あ、そろそろお時間ですね。写真も十分に撮れましたので、こちらで大丈夫です。本日はお忙しい中ご協力本当にありがとうございました。原稿ができましたら、後日お送りいたしますのでご確認どうぞよろしくお願い致します。では、私はこちらで失礼いたします」
初対面の時と同様に、背を向けて部屋を出て行く彼女の後姿を見つめる。
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それだけではない。
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ーーなんとなく気になるという感情以上の、今までにない気持ちが心の中で渦巻いていた。
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