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#24. Side Haruomi ⑦
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……なんでよりにもよってこの病院なんだ。縁起が悪すぎる……。
香澄が急患として運び込まれたのは、あの東都大学病院だった。
そう、母が亡くなった病院であり、かつて東條清隆が勤めていた、俺にとっては嫌な思い出しかない場所だ。
窓口で知り合いの旨を伝えると手術待合室へ案内される。
そこへ足を運べば、中には白衣を着た一人の男が佇んでいた。
顔を合わせるのは初めてだが、写真で顔を見たことがあったからすぐに相手が誰だかは分かった。
香澄の婚約者――片桐恭吾だ。
向こうも俺が誰なのか名乗らずとも分かったようで、ただ冷たい視線を寄越すだけだった。
何もかもを知っていると物語るようなその態度に、「ああ、香澄はこの男から俺のことを聞いたのだな」と察する。
おそらく片桐恭吾は、俺が香澄の身辺調査をしたように、俺のことを調べたのだろう。
「初めまして、久坂さん。ここを教えて来てもらったのは他でもない。あなたと話がしたかったからです」
「それより香澄の容態は……?」
「予断を許さないと言えるでしょう。だが、今の私たちにできることはない。手術はまだもうしばらくかかりますから、その間にあなたとは話をしておかなければ」
医師の彼が言うならばそうなのだろう。
香澄の安否を考えると気が気でないが、確かに今俺にできることは祈るくらいだ。
それにしても、と俺は辺りを軽く見回す。
……なぜ片桐恭吾しかいないんだ……?
香澄の家族、つまり東條清隆やその妻の姿が見当たらないのだ。
ここに来るにあたり、あの男と顔を合わすかもしれないとは覚悟していた。
正直まだ心の整理を付けたばかりだからこのタイミングで会うのは避けたい気持ちもあったが、それ以上に香澄の側に駆けつけたい想いが優った。
とはいえ、東條清隆との対面に多少緊張を孕んでいたのは事実で、だからこそ拍子抜けする心地だった。
「ああ、彼女のお父上とお母上は今どうしても手が離せずまだ来られていないだけですよ。代わりに私が立ち会っている次第です。なにしろ私はここの病院勤務なのですぐ駆けつけられますからね」
「……そうですか」
「あなたも東條先生とは顔を合わせたくないでしょう? 東條先生が来られる前に話を終わらせてしまいましょう」
彼はまるで俺の気持ちを見透かしたようにサラリとそう述べると、改めて冷え切った目を俺に向けた。
「久坂さん、あなたのことは調べてさせてもらいました。あなたが意図的に香澄に近づいたことも把握しています。彼女はそれを知ってひどく傷ついていましたよ」
彼の口から香澄が傷ついていた事実を客観的に聞かされて胸が痛くなる。
その時香澄は一体どんな気持ちだっただろう。
先程の電話での声を思い出すと、香澄を利用しようとした過去の自分の行いに後悔で顔が歪む。
「それに彼女は心だけでなく、物理的にも傷つけられた。それもある意味あなたのせいだ」
「……それは私に会いに来る途中でこんな事態になったから、という意味ですか?」
心を傷つけたというのはまぎれもなく事実だから反論のしようがない。
……だが、物理的にも傷つけた? 確かに俺が今日香澄と会う約束をしていなければこんなことにはならなかったというのは事実だが。
若干彼の言葉に違和感を覚えた俺はそう問いかける。
すると次の瞬間、彼は思いもよらなかったとんでもない事実を俺に告げた。
「香澄を刺した女があなたの知り合いだからですよ。あなたを取られたから香澄を恨んで刺したと言っているらしい」
「……………………え?」
青天霹靂とはまさにこのことだ。
一瞬、自分の耳を疑った。
彼の言葉が上手く咀嚼できない。
知らされた事実があまりにも衝撃的すぎて、頭の中がしびれて目の前の現実が受け入れられなかった。
だが、彼の言う俺の知り合いの女というのが誰かは直感的にすぐピンと来た――ゆかりだ。
俺のことは諦めてくれたと思っていたのになぜ……とやりきれない気持ちが押し寄せてくる。
「つまりあなたと関わらなければ、こんなことにはならなかった。彼女が刺されることなんてなかった。久坂さん、あなたのせいだ」
彼は追い打ちをかけるようにそう言い募った。
そのどれもがもっともすぎでぐうの音も出ない。
……彼の言う通りだ。すべては俺のせいだ。俺のせいで香澄は……。
絶望的な気持ちが胃の底から頭まで広がっていく。
自分と出会わなければ、
自分と関わらなければ、
香澄はこんなことにはならなかった。
自分が意図的に近づかなければ、
香澄は幸せにこの男と結婚していたはず。
俺の嘘に傷つくことも、見当違いな恨みを向けられてゆかりに刺されることもなかったのだ。
……香澄の人生をめちゃくちゃにしてしまったのは俺だ。俺のせいだ。
「もうこれ以上、彼女に関わらないで頂きたい」
これが本題だと言わんばかりに片桐恭吾が厳しい眼差しで俺を見据えて言い放つ。
香澄の婚約者である彼の立場からしたらもっともな台詞だ。
「……分かりました」
それに対して俺は静かに同意した。
絶望感から声も出せないほど打ちのめされていた俺は、もうそう答える他なかったのだ。
たとえ香澄と離れたくないと本音では思っていたとしても、彼女を傷つけた元凶が自分であると認識した今、それ以外の答えを持ち合わせてはいなかった。
◇◇◇
香澄が一命を取り留めたと片桐恭吾から連絡を受けたのは翌朝のことだった。
病院での話し合いを終えた俺は、彼からこの場を去るようにと言い渡され従わざるを得なかったのだ。
もう関わらないと約束はするが「せめて香澄の無事だけは確認させて欲しい」と最後の願いを述べ、それを彼が認めて電話をくれた形だった。
……良かった。本当に良かった……!
気が気でない状態で眠れぬ夜を過ごした俺は、その連絡に心の底から安堵した。
信仰心なんて普段は全くないのに、香澄を生かしてくれたことを神に心から感謝したくなる。
だが、容態は安定しているものの、まだ意識は戻っていないとのことで、香澄が目覚めたら最後にもう一度それだけ片桐恭吾が知らせてくれることとなった。
たとえ香澄に会えなくても、彼女が無事目を覚ましてくれればそれでいい。
知らせてくれるというだけありがたい。
香澄の無事を知り、俺は一晩中緊迫感で強張っていた身体を少し緩ませ、大きく吐息を洩らした。
Rururururu……
その時再びスマホから着信音が鳴り出す。
まさか香澄の容態が急変したのではと嫌な予感が駆け巡った。
なにしろ俺の母も手術翌日に悪化して亡くなったのだ、あの病院で。
不吉さを感じずにはいられない。
だが、着信元を見るとそれは無用な心配だったと分かった。
相手は香澄とは何の関係もない、義父だったからだ。
「もしもし、春臣か? 朝早くにすまないな」
電話に出るといつも冷静な義父の声に珍しく慌てた響きが滲んでいた。
「春臣はもう聞いたかい? うちで働いてくれている佐々木さんが昨夜遅くに人を刺したと……。佐々木君は確か春臣を担当している職員だっただろう? しかもつい最近担当を外したいと言っていた」
……ああ、そうだった。ゆかりのことがあった。
義父からの電話でゆかりが犯したという罪を思い出す。
香澄の容態にのみ意識が集中していて、そこまで気が回っていなかった。
ゆかりが俺を理由に香澄を害したというのだから無関係ではいられない。
「ああ、佐々木さんが殺人未遂を起こしたことは俺も聞いた」
「殺人未遂? ということは被害者は一命を取り留めたのかい? 私が仕入れた情報では重体で予断を許さないと聞いていたが」
「まだ意識は戻っていないけど、幸いなことに命は無事だったらしいよ」
「それは良かった……」
香澄の生存を知って義父は胸を撫で下ろすようにホッと息を吐いた。
殺人と殺人未遂では大きく違う。
経営者として義父は自分の事務所の職員から殺人犯が出なかったことに安堵したのだろう。
「春臣がそのことを知っているということは……やはり春臣は被害者と近しい関係なのだな? 現行犯逮捕された直後から佐々木君は春臣を取られたから刺したと供述していると聞いている」
義父によると、ゆかりは香澄を刺した後、周囲にいた人々によってその場で取り押さえられたらしい。
多数の目撃者や凶器などの物証があったことから、現行犯逮捕となったそうだ。
興奮していたものの抵抗する様子はなく、素直に自供しているという。
俺は義父に被害者である香澄と関係があったこと、そしてゆかりからは好意を寄せられていたが断っていたことを正直に告げた。
隠してもいずれ捜査の過程で明らかになることだったからだ。
「……そうか。とりあえず佐々木君のもとへは刑事事件に強い池君を向かわせた。うちの事務所の職員がしでかした事だから最低限は面倒を見るつもりではいる。春臣が絡んでいるのなら尚更だな」
「………」
人格者である義父らしい判断だった。
だが、非常に複雑な気持ちになって俺は口をつぐんだ。
理不尽な理由で香澄を害したゆかりのことを俺は許せない気持ちでいる。
一歩間違えれば香澄は死んでしまっていたのだ。
だから弁護なんてする必要はないのではと心のどこかで思っている。
一方でこんな事件を引き起こすことになってしまったのには俺にも原因があると思う部分もあった。
俺がゆかりの異変に気が付いていれば、面倒がらずにゆかりと向き合って丁寧に言葉を重ねていれば、こんなことにはならなかったのではないかと罪悪感が疼く。
俺にも非があったのだとすれば、ただでさえ身寄りもなく苦労して生きてきたゆかりに弁護をつけてあげるべきだろう。
「春臣もこんな事態になってさぞ困惑しているだろう。今日は仕事を休むか? 調整が付くなら落ち着くまでしばらく休んでもいいぞ?」
「……いや、仕事はするよ。その方が気が紛れる」
「そうか」
「義父さん、それより一つ相談したいことがある」
「相談? なんだ?」
それから俺は義父にある相談を持ちかけ、それが終わると無理やり気を奮い立たせていつも通りに事務所へ出勤した。
事務所ではすでにゆかりが犯したことが広まり始めているのか、皆がヒソヒソと囁いている様子が見受けられる。
事件については東條家が持てるコネを使って根回ししたようで、殺人未遂だったこともありマスコミに大々的に報じられることはなかった。
被害者も加害者も双方の実名が伏せられた状態で新聞に小さく載っただけだ。
だが、こういった話が身近なところで漏れ広まるのは早いものだ。
詳しい事情までは知らなくても、同情めいた視線を俺に送ってくる者も多かった。
そんな視線を黙殺して、俺は自身の執務室へ一人引き籠る。
「久坂先生! どういうことですか……!」
そこへノックもなしにズカズカと突然入室してきた女性がいた。
香澄の友人であり、ゆかりの同僚でもある西織眞帆だ。
被害者と加害者の両方を知り、尚且つ加害者の弁護人である池先生を担当しているパラリーガルのため、他の職員より詳しい事情を見聞きしているのだろう。
西織さんは執務室へ入ってくると俺の目の前まで歩み寄ってきて説明を求めるような目を向けてきた。
「香澄が……香澄が……刺されたって……! しかもゆかりさんに、ですよ? ゆかりさんは香澄に久坂先生を取られたからって言ってるっていうじゃないですか……! もう訳が分かりません!」
香澄は友人である西織さんには俺とのことを話していなかったのだろう。
それはそうだ、香澄には婚約者がいて、彼女はずっと罪悪感に苛まれていたのだから。
そういう状況を強いたのは、もともと香澄を堕とすために意図的に近づいた俺だ。
「どういうことか説明してください……! 久坂先生は香澄と知り合いなんですか⁉︎ しかもただの知り合いじゃなくゆかりさんが言うように男女の関係だったって言うんですか⁉︎」
「……そうだよ」
いずれ分かることだから俺は否定せずに潔く認めた。
信じられないと言うように西織さんは目を大きく見開く。
「でもだって香澄は婚約者いますよ……? それに香澄が取ったって……? 久坂先生は香澄とゆかりさんを二股してたんですか⁉︎」
「断じて二股はしてない。佐々木さんからの好意は分かっていたけど、本人にきちんとその気はないと伝えていたから。……こんなことになるとは思わなかったけどね」
「あ……すみません。私混乱して取り乱してしまって。久坂先生だって昨日の今日でまだ困惑されているのに……」
興奮気味だった西織さんは、俺の心境にも考えが至ったのかトーンダウンする。
そして感情の行きどころが見つからず、やりきれない表情を浮かべた。
「……一つだけ西織さんには知っておいて欲しい。今回のこと、香澄は何も悪くないんだ。本当にただ巻き込まれただけ。そもそも香澄に近づいたのは俺だから。俺がすべての元凶で、すべては俺の責任だ。だから香澄を責めないであげて欲しい」
俺はもう香澄に関わらないと約束してしまったが、西織さんは違う。
彼女はこれからも香澄と友人関係が続いていくだろう。
その時に婚約者がいながら不貞をしていた香澄を責めないであげて欲しいと思った。
「あと、香澄の容態だけど一命を取り留めたみたいだ。まだ目覚めてないけど容態は安定しているらしいよ」
「香澄……! 良かった……! 本当に本当に良かった……!!」
西織さんもやはりまだ安否は知らされていなかったらしく、待ち望んでいた吉報に目を潤ませている。
それで随分と落ち着きを取り戻したのか、彼女は一言二言話すとそのまま執務室を去って行った。
それから俺は気を紛らわせるようにいつも以上に仕事に精を出し、馬車馬の如く働いた。
手を止めてしまうとどうしても香澄のことが頭に浮かんできてしまうからだ。
母のように容態が急変してしまうのではと心中穏やかでいられなかった。
……早く目を覚まして欲しい。そしてまたあの弾けるような笑顔を見せて欲しい。たとえそれを俺が見ることができなくても構わない。
ただ香澄が生きていて、健やかでいてくれるならそれでいい。
そんな俺の願いは神に届いたようで、翌日に片桐恭吾から電話がかかってきた。
香澄の意識が戻ったという待ち侘びた連絡だった。
「目は覚ましたんですけどね。ただ……」
喜ばしい話のはずなのに、どうにも彼の歯切れが悪い。
何かを言うべきか言わざるべきか悩んでいる雰囲気だ。
「……何かあったんですか?」
そんな様子に嫌な胸騒ぎがした俺は先を促すように問いかけた。
「もう彼女と関わらないとはいえ、あなたも知っておくべきでしょうね」
彼はそう結論を出したようで、先程口籠った内容を話し出した。
それは予想だにしないもので、俺は激しい衝撃を受ける。
「実は彼女、解離性健忘――いわゆる記憶喪失になりました。どうやら大学卒業後から今日までの約1年8ヶ月程の記憶が失われているようです。……つまりあなたのことを彼女は覚えていません」
「記憶、喪失……」
「ええ。ですから仮にどこかで彼女に偶然出会したとしても知らないふりをしてください。もう彼女にはあなたと関わって欲しくないですから。……では私はこれで。もう二度と連絡することはないでしょう」
驚きに思考が停止している間にいつのまにか電話は切れていて、俺の耳にはツーツーという音だけが鳴り響いていた。
……香澄が記憶喪失? 俺のことを覚えていない……?
それはまるでお膳立てされたように、俺が香澄の前から去るのにうってつけの状況だった。
香澄が覚えていないのならば俺が離れれば、いとも簡単に関係を断つことができるのだから。
……あたかも神が香澄とはもう関わるなと言っているかのようだ。
香澄とのあの日々はもう戻ってこない。
彼女の中ではなかったことになっている。
でもこれで良かったのかもしれない。
俺なんかと関わる前に戻れば、何事もなかったように香澄はきっと幸せになれる。
そのことに一抹の寂しさを感じてしまうのはこの世で俺だけだ。
……これは復讐のために自分勝手に香澄を利用しようとして彼女を傷つけた報いなのかもな。
俺は苦い思いを胸に抱きながら、口元を歪め力なく笑った。
香澄が急患として運び込まれたのは、あの東都大学病院だった。
そう、母が亡くなった病院であり、かつて東條清隆が勤めていた、俺にとっては嫌な思い出しかない場所だ。
窓口で知り合いの旨を伝えると手術待合室へ案内される。
そこへ足を運べば、中には白衣を着た一人の男が佇んでいた。
顔を合わせるのは初めてだが、写真で顔を見たことがあったからすぐに相手が誰だかは分かった。
香澄の婚約者――片桐恭吾だ。
向こうも俺が誰なのか名乗らずとも分かったようで、ただ冷たい視線を寄越すだけだった。
何もかもを知っていると物語るようなその態度に、「ああ、香澄はこの男から俺のことを聞いたのだな」と察する。
おそらく片桐恭吾は、俺が香澄の身辺調査をしたように、俺のことを調べたのだろう。
「初めまして、久坂さん。ここを教えて来てもらったのは他でもない。あなたと話がしたかったからです」
「それより香澄の容態は……?」
「予断を許さないと言えるでしょう。だが、今の私たちにできることはない。手術はまだもうしばらくかかりますから、その間にあなたとは話をしておかなければ」
医師の彼が言うならばそうなのだろう。
香澄の安否を考えると気が気でないが、確かに今俺にできることは祈るくらいだ。
それにしても、と俺は辺りを軽く見回す。
……なぜ片桐恭吾しかいないんだ……?
香澄の家族、つまり東條清隆やその妻の姿が見当たらないのだ。
ここに来るにあたり、あの男と顔を合わすかもしれないとは覚悟していた。
正直まだ心の整理を付けたばかりだからこのタイミングで会うのは避けたい気持ちもあったが、それ以上に香澄の側に駆けつけたい想いが優った。
とはいえ、東條清隆との対面に多少緊張を孕んでいたのは事実で、だからこそ拍子抜けする心地だった。
「ああ、彼女のお父上とお母上は今どうしても手が離せずまだ来られていないだけですよ。代わりに私が立ち会っている次第です。なにしろ私はここの病院勤務なのですぐ駆けつけられますからね」
「……そうですか」
「あなたも東條先生とは顔を合わせたくないでしょう? 東條先生が来られる前に話を終わらせてしまいましょう」
彼はまるで俺の気持ちを見透かしたようにサラリとそう述べると、改めて冷え切った目を俺に向けた。
「久坂さん、あなたのことは調べてさせてもらいました。あなたが意図的に香澄に近づいたことも把握しています。彼女はそれを知ってひどく傷ついていましたよ」
彼の口から香澄が傷ついていた事実を客観的に聞かされて胸が痛くなる。
その時香澄は一体どんな気持ちだっただろう。
先程の電話での声を思い出すと、香澄を利用しようとした過去の自分の行いに後悔で顔が歪む。
「それに彼女は心だけでなく、物理的にも傷つけられた。それもある意味あなたのせいだ」
「……それは私に会いに来る途中でこんな事態になったから、という意味ですか?」
心を傷つけたというのはまぎれもなく事実だから反論のしようがない。
……だが、物理的にも傷つけた? 確かに俺が今日香澄と会う約束をしていなければこんなことにはならなかったというのは事実だが。
若干彼の言葉に違和感を覚えた俺はそう問いかける。
すると次の瞬間、彼は思いもよらなかったとんでもない事実を俺に告げた。
「香澄を刺した女があなたの知り合いだからですよ。あなたを取られたから香澄を恨んで刺したと言っているらしい」
「……………………え?」
青天霹靂とはまさにこのことだ。
一瞬、自分の耳を疑った。
彼の言葉が上手く咀嚼できない。
知らされた事実があまりにも衝撃的すぎて、頭の中がしびれて目の前の現実が受け入れられなかった。
だが、彼の言う俺の知り合いの女というのが誰かは直感的にすぐピンと来た――ゆかりだ。
俺のことは諦めてくれたと思っていたのになぜ……とやりきれない気持ちが押し寄せてくる。
「つまりあなたと関わらなければ、こんなことにはならなかった。彼女が刺されることなんてなかった。久坂さん、あなたのせいだ」
彼は追い打ちをかけるようにそう言い募った。
そのどれもがもっともすぎでぐうの音も出ない。
……彼の言う通りだ。すべては俺のせいだ。俺のせいで香澄は……。
絶望的な気持ちが胃の底から頭まで広がっていく。
自分と出会わなければ、
自分と関わらなければ、
香澄はこんなことにはならなかった。
自分が意図的に近づかなければ、
香澄は幸せにこの男と結婚していたはず。
俺の嘘に傷つくことも、見当違いな恨みを向けられてゆかりに刺されることもなかったのだ。
……香澄の人生をめちゃくちゃにしてしまったのは俺だ。俺のせいだ。
「もうこれ以上、彼女に関わらないで頂きたい」
これが本題だと言わんばかりに片桐恭吾が厳しい眼差しで俺を見据えて言い放つ。
香澄の婚約者である彼の立場からしたらもっともな台詞だ。
「……分かりました」
それに対して俺は静かに同意した。
絶望感から声も出せないほど打ちのめされていた俺は、もうそう答える他なかったのだ。
たとえ香澄と離れたくないと本音では思っていたとしても、彼女を傷つけた元凶が自分であると認識した今、それ以外の答えを持ち合わせてはいなかった。
◇◇◇
香澄が一命を取り留めたと片桐恭吾から連絡を受けたのは翌朝のことだった。
病院での話し合いを終えた俺は、彼からこの場を去るようにと言い渡され従わざるを得なかったのだ。
もう関わらないと約束はするが「せめて香澄の無事だけは確認させて欲しい」と最後の願いを述べ、それを彼が認めて電話をくれた形だった。
……良かった。本当に良かった……!
気が気でない状態で眠れぬ夜を過ごした俺は、その連絡に心の底から安堵した。
信仰心なんて普段は全くないのに、香澄を生かしてくれたことを神に心から感謝したくなる。
だが、容態は安定しているものの、まだ意識は戻っていないとのことで、香澄が目覚めたら最後にもう一度それだけ片桐恭吾が知らせてくれることとなった。
たとえ香澄に会えなくても、彼女が無事目を覚ましてくれればそれでいい。
知らせてくれるというだけありがたい。
香澄の無事を知り、俺は一晩中緊迫感で強張っていた身体を少し緩ませ、大きく吐息を洩らした。
Rururururu……
その時再びスマホから着信音が鳴り出す。
まさか香澄の容態が急変したのではと嫌な予感が駆け巡った。
なにしろ俺の母も手術翌日に悪化して亡くなったのだ、あの病院で。
不吉さを感じずにはいられない。
だが、着信元を見るとそれは無用な心配だったと分かった。
相手は香澄とは何の関係もない、義父だったからだ。
「もしもし、春臣か? 朝早くにすまないな」
電話に出るといつも冷静な義父の声に珍しく慌てた響きが滲んでいた。
「春臣はもう聞いたかい? うちで働いてくれている佐々木さんが昨夜遅くに人を刺したと……。佐々木君は確か春臣を担当している職員だっただろう? しかもつい最近担当を外したいと言っていた」
……ああ、そうだった。ゆかりのことがあった。
義父からの電話でゆかりが犯したという罪を思い出す。
香澄の容態にのみ意識が集中していて、そこまで気が回っていなかった。
ゆかりが俺を理由に香澄を害したというのだから無関係ではいられない。
「ああ、佐々木さんが殺人未遂を起こしたことは俺も聞いた」
「殺人未遂? ということは被害者は一命を取り留めたのかい? 私が仕入れた情報では重体で予断を許さないと聞いていたが」
「まだ意識は戻っていないけど、幸いなことに命は無事だったらしいよ」
「それは良かった……」
香澄の生存を知って義父は胸を撫で下ろすようにホッと息を吐いた。
殺人と殺人未遂では大きく違う。
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「春臣がそのことを知っているということは……やはり春臣は被害者と近しい関係なのだな? 現行犯逮捕された直後から佐々木君は春臣を取られたから刺したと供述していると聞いている」
義父によると、ゆかりは香澄を刺した後、周囲にいた人々によってその場で取り押さえられたらしい。
多数の目撃者や凶器などの物証があったことから、現行犯逮捕となったそうだ。
興奮していたものの抵抗する様子はなく、素直に自供しているという。
俺は義父に被害者である香澄と関係があったこと、そしてゆかりからは好意を寄せられていたが断っていたことを正直に告げた。
隠してもいずれ捜査の過程で明らかになることだったからだ。
「……そうか。とりあえず佐々木君のもとへは刑事事件に強い池君を向かわせた。うちの事務所の職員がしでかした事だから最低限は面倒を見るつもりではいる。春臣が絡んでいるのなら尚更だな」
「………」
人格者である義父らしい判断だった。
だが、非常に複雑な気持ちになって俺は口をつぐんだ。
理不尽な理由で香澄を害したゆかりのことを俺は許せない気持ちでいる。
一歩間違えれば香澄は死んでしまっていたのだ。
だから弁護なんてする必要はないのではと心のどこかで思っている。
一方でこんな事件を引き起こすことになってしまったのには俺にも原因があると思う部分もあった。
俺がゆかりの異変に気が付いていれば、面倒がらずにゆかりと向き合って丁寧に言葉を重ねていれば、こんなことにはならなかったのではないかと罪悪感が疼く。
俺にも非があったのだとすれば、ただでさえ身寄りもなく苦労して生きてきたゆかりに弁護をつけてあげるべきだろう。
「春臣もこんな事態になってさぞ困惑しているだろう。今日は仕事を休むか? 調整が付くなら落ち着くまでしばらく休んでもいいぞ?」
「……いや、仕事はするよ。その方が気が紛れる」
「そうか」
「義父さん、それより一つ相談したいことがある」
「相談? なんだ?」
それから俺は義父にある相談を持ちかけ、それが終わると無理やり気を奮い立たせていつも通りに事務所へ出勤した。
事務所ではすでにゆかりが犯したことが広まり始めているのか、皆がヒソヒソと囁いている様子が見受けられる。
事件については東條家が持てるコネを使って根回ししたようで、殺人未遂だったこともありマスコミに大々的に報じられることはなかった。
被害者も加害者も双方の実名が伏せられた状態で新聞に小さく載っただけだ。
だが、こういった話が身近なところで漏れ広まるのは早いものだ。
詳しい事情までは知らなくても、同情めいた視線を俺に送ってくる者も多かった。
そんな視線を黙殺して、俺は自身の執務室へ一人引き籠る。
「久坂先生! どういうことですか……!」
そこへノックもなしにズカズカと突然入室してきた女性がいた。
香澄の友人であり、ゆかりの同僚でもある西織眞帆だ。
被害者と加害者の両方を知り、尚且つ加害者の弁護人である池先生を担当しているパラリーガルのため、他の職員より詳しい事情を見聞きしているのだろう。
西織さんは執務室へ入ってくると俺の目の前まで歩み寄ってきて説明を求めるような目を向けてきた。
「香澄が……香澄が……刺されたって……! しかもゆかりさんに、ですよ? ゆかりさんは香澄に久坂先生を取られたからって言ってるっていうじゃないですか……! もう訳が分かりません!」
香澄は友人である西織さんには俺とのことを話していなかったのだろう。
それはそうだ、香澄には婚約者がいて、彼女はずっと罪悪感に苛まれていたのだから。
そういう状況を強いたのは、もともと香澄を堕とすために意図的に近づいた俺だ。
「どういうことか説明してください……! 久坂先生は香澄と知り合いなんですか⁉︎ しかもただの知り合いじゃなくゆかりさんが言うように男女の関係だったって言うんですか⁉︎」
「……そうだよ」
いずれ分かることだから俺は否定せずに潔く認めた。
信じられないと言うように西織さんは目を大きく見開く。
「でもだって香澄は婚約者いますよ……? それに香澄が取ったって……? 久坂先生は香澄とゆかりさんを二股してたんですか⁉︎」
「断じて二股はしてない。佐々木さんからの好意は分かっていたけど、本人にきちんとその気はないと伝えていたから。……こんなことになるとは思わなかったけどね」
「あ……すみません。私混乱して取り乱してしまって。久坂先生だって昨日の今日でまだ困惑されているのに……」
興奮気味だった西織さんは、俺の心境にも考えが至ったのかトーンダウンする。
そして感情の行きどころが見つからず、やりきれない表情を浮かべた。
「……一つだけ西織さんには知っておいて欲しい。今回のこと、香澄は何も悪くないんだ。本当にただ巻き込まれただけ。そもそも香澄に近づいたのは俺だから。俺がすべての元凶で、すべては俺の責任だ。だから香澄を責めないであげて欲しい」
俺はもう香澄に関わらないと約束してしまったが、西織さんは違う。
彼女はこれからも香澄と友人関係が続いていくだろう。
その時に婚約者がいながら不貞をしていた香澄を責めないであげて欲しいと思った。
「あと、香澄の容態だけど一命を取り留めたみたいだ。まだ目覚めてないけど容態は安定しているらしいよ」
「香澄……! 良かった……! 本当に本当に良かった……!!」
西織さんもやはりまだ安否は知らされていなかったらしく、待ち望んでいた吉報に目を潤ませている。
それで随分と落ち着きを取り戻したのか、彼女は一言二言話すとそのまま執務室を去って行った。
それから俺は気を紛らわせるようにいつも以上に仕事に精を出し、馬車馬の如く働いた。
手を止めてしまうとどうしても香澄のことが頭に浮かんできてしまうからだ。
母のように容態が急変してしまうのではと心中穏やかでいられなかった。
……早く目を覚まして欲しい。そしてまたあの弾けるような笑顔を見せて欲しい。たとえそれを俺が見ることができなくても構わない。
ただ香澄が生きていて、健やかでいてくれるならそれでいい。
そんな俺の願いは神に届いたようで、翌日に片桐恭吾から電話がかかってきた。
香澄の意識が戻ったという待ち侘びた連絡だった。
「目は覚ましたんですけどね。ただ……」
喜ばしい話のはずなのに、どうにも彼の歯切れが悪い。
何かを言うべきか言わざるべきか悩んでいる雰囲気だ。
「……何かあったんですか?」
そんな様子に嫌な胸騒ぎがした俺は先を促すように問いかけた。
「もう彼女と関わらないとはいえ、あなたも知っておくべきでしょうね」
彼はそう結論を出したようで、先程口籠った内容を話し出した。
それは予想だにしないもので、俺は激しい衝撃を受ける。
「実は彼女、解離性健忘――いわゆる記憶喪失になりました。どうやら大学卒業後から今日までの約1年8ヶ月程の記憶が失われているようです。……つまりあなたのことを彼女は覚えていません」
「記憶、喪失……」
「ええ。ですから仮にどこかで彼女に偶然出会したとしても知らないふりをしてください。もう彼女にはあなたと関わって欲しくないですから。……では私はこれで。もう二度と連絡することはないでしょう」
驚きに思考が停止している間にいつのまにか電話は切れていて、俺の耳にはツーツーという音だけが鳴り響いていた。
……香澄が記憶喪失? 俺のことを覚えていない……?
それはまるでお膳立てされたように、俺が香澄の前から去るのにうってつけの状況だった。
香澄が覚えていないのならば俺が離れれば、いとも簡単に関係を断つことができるのだから。
……あたかも神が香澄とはもう関わるなと言っているかのようだ。
香澄とのあの日々はもう戻ってこない。
彼女の中ではなかったことになっている。
でもこれで良かったのかもしれない。
俺なんかと関わる前に戻れば、何事もなかったように香澄はきっと幸せになれる。
そのことに一抹の寂しさを感じてしまうのはこの世で俺だけだ。
……これは復讐のために自分勝手に香澄を利用しようとして彼女を傷つけた報いなのかもな。
俺は苦い思いを胸に抱きながら、口元を歪め力なく笑った。
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※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
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