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第21話 三姉妹との会話を楽しむ

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 私はリザを追いかけ大きな扉を超え、図書室を後にした。

 扉を出た先には何やら紙を持ったリズが口を尖らせて待っていた。

 「ベルを鳴らしたのに出てくるのが遅いですよ、リザお姉様!」

 「フフ、貴方のことを少しからかおうと思っちゃって。
 それとレン様がいらっしゃるのに言葉遣いがなっていないわよ。」


 「それは姉さんも同じではないですか。全く…」

 私が驚き、声のした方向を見るとそこには額にシワの寄ったリジが長女と三女を睨んでいた。

 「レン様が遅いから様子を見てくるようにとアリシティア様から仰せつかりここへ来たものの…
 はぁ…全く。参りますよ。そろそろ夕食の時間です。
 お話なら歩きながらでもできるでしょう。」

 もうそんな時間だったのか…
 私はリジの提案に同意し、歩きながら話すことにした。

 ……

 「そう言えばリズの用は何だったの?」

 私はふと思い出したように問いかけるとリズも今まで忘れていたようで、あっと声を上げる。

 「そう言えばレン様にお渡しするものがあったのです。
 こちらをどうぞ。魔法省のミシェル・ロックハート様からレン様宛の書簡です。」

 ようやく来たか…私の魔法訓練…

 私は書簡をリズから受け取り、ふと考える。
 歩きながら封筒を裂くのはいかがなものだろうか?

 「これは今中身を見ても良いの?」

 私の問に周りのメイドたちは少し考えリジが答えを出してくれた。

 「…本来ならばあまりよろしくはありませんが、周りに人もおりませんし、急ぎのようだと困りますからね。
 よろしいと思います。」

 私はリジの許可が出たことを確認し、中身を取り出す。
 そこには長々とした文が連なっていたが、簡単に言うと明日の午後から魔法の扱い練習を始めたいから予定がなければ来てほしいというものだった。

 私が書簡の内容を伝えるとリジが驚いたように言葉を呟いた。

 「明日からなんて…そんないきなり…」

 そこまで驚くようなことがあるだろうか?
 明日の午後はやることがなかったはずだが。

 「明日で困るようなことがあるんですか?」

 私の質問に答えたのはリザだった。

 「リジが気にしているのは明日の事ではないわ。
 貴族の面会予約などは少なくとも3日前程に届くものだから、真面目なリジちゃんはびっくりしゃちゃったってわけ。
 でもしょうがないわよね。ミシェル様はお忙しい方だから時間をずらすのは難しいのよ。
 レン様がこの時間でよろしいならお返事を送りますけどよろしいですかね?」

 私がリザの問に、はいと回答すると、リザがリズに頼み書簡を送ってもらう。

 ………

 夕食を取る広間に着くと、そこにはすでにアルフレッドがいた。

 「やあ、レン。今日は何をしていたんだい?」

 「図書室に行っていました。
 少し調べたいことがあったので。」

 私が図書室に行っていたと伝えるとちらりと私の後ろに立っているリザを見て私に問いかけてくる。

 「リザが本を持っているという事は何かを借りたのかい?」

 その時私は借りた本をリザが持っていることに気づいた。
 本を持ってもらった事に気づかないなんて私が抜けているというか、リザの仕事が早いというか…
 って考えている場合じゃない。アルフレッドに返事をしなければ。

 「はい。前にこの世界に来たという異世界人が書いた物語集を。」

 私の答えに過去の記憶を探るように少し視界を上に向け、思い出したように答える。

 「異世界人が書いた物語集か…一度読んだことがあるけど少し難しかったかな。」

 「私の世界では子供向けの童話なのですが…」

 アルフレッドは少し目を見開き納得したように頷く。

 「父上がおっしゃっていたように、この世界とレンがいた世界では常識や価値観が違うようだ…」

 一人で納得しないでよ…

 ………

 王族一家が揃い食事が始まると、いつも通りの報告会だ。
 私は図書室から借りた本のことや、先程届いた書簡の内容を伝えると、反応したのは国王だった。

 「そうか。魔法の扱いを身に着けておいて損をすることは無いからよく学んでくると良い。
 ワシも明日は王族会議があるからの。」

 「王族会議!?一体どうして…」

 驚きの声を上げたのはアルフレッドだった。
 それをたしなめるかのようにアリシティアが口を開く。

 「レンちゃんがこの世界に来たでしょう?このようなことは珍しいから各国と情報共有をしておくのよ。
 他にもレンちゃんと同じ境遇の子がいるかもしれないでしょ?」

 私と同じ異世界人がいるかもしれないってこと?
 まあそれを考えるのは王族会議から帰ってきてからでいいか。
 そんなことよりも魔法の練習だ。たくさん練習して強くならないと。
 なぜって?そんなの理由必要?
 異世界無双するぞ~!

 夕食が終わり、自室に戻って私は弾む気持ちを抑えて眠りについた。
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