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外伝 城内での会話
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時は遡り、レンが冒険者ギルドへ向かった後。
エルメイア王と王妃は執務室の窓から密かにレンを見送っていた。
和やかな空気から一変して、厳しめな女性の声が聞こえてくる。
「本当に良かったのですか?
彼女は…大切な"召喚者"ですよ。
この国、いいえこの世界をも変える力を持っているのではないですか?」
空気が変わり、男の低い声が空気を震わす。
「良いのだ。
"召喚者"は元より戦う定めにある。
今は力を蓄え、最後は彼女の意向に従えば良い。」
「彼女にこの世界の全てを託すというの!?
それはとても酷ではないかしら?
私達が彼女を導いて差し上げればいいじゃない…」
「それでは意味がなかろう。
それに、彼女の意志は神のものと言っても過言ではない。
我々に滅びを欲するのならばそれに従うまでだ。」
重く語られた言葉により、室内がシンと静まり返る。
「そう…
貴方がそう言うなら私もそれに従うわ。
けれど、もしあの子が間違った道へ進むようなら…」
『コンッコンッコンッ…』
木を軽く叩く音が響いた。
「……入れ。」
『ギギッ』っと、扉が重く開く。
「父上、母上今戻りました。
なんのお話をしていたのですか?」
「なに、ただの世間話じゃ。
…そんなことより仕事じゃ、仕事。
このままだとまたマイクロフトに怒られるわい。」
「グロウシア王国の件で最近忙しいんですよね。
私も手伝います。」
「じゃあ私は自室に戻ろうかしら。
二人共頑張ってね
後でリザに紅茶を届けてもらうように頼んでおくから。」
フフッと笑いながらアリシティアが部屋から出ていく。
「よし、ワシらも始めるとするかの!」
こうして、家族の日常は過ぎてゆく…
エルメイア王と王妃は執務室の窓から密かにレンを見送っていた。
和やかな空気から一変して、厳しめな女性の声が聞こえてくる。
「本当に良かったのですか?
彼女は…大切な"召喚者"ですよ。
この国、いいえこの世界をも変える力を持っているのではないですか?」
空気が変わり、男の低い声が空気を震わす。
「良いのだ。
"召喚者"は元より戦う定めにある。
今は力を蓄え、最後は彼女の意向に従えば良い。」
「彼女にこの世界の全てを託すというの!?
それはとても酷ではないかしら?
私達が彼女を導いて差し上げればいいじゃない…」
「それでは意味がなかろう。
それに、彼女の意志は神のものと言っても過言ではない。
我々に滅びを欲するのならばそれに従うまでだ。」
重く語られた言葉により、室内がシンと静まり返る。
「そう…
貴方がそう言うなら私もそれに従うわ。
けれど、もしあの子が間違った道へ進むようなら…」
『コンッコンッコンッ…』
木を軽く叩く音が響いた。
「……入れ。」
『ギギッ』っと、扉が重く開く。
「父上、母上今戻りました。
なんのお話をしていたのですか?」
「なに、ただの世間話じゃ。
…そんなことより仕事じゃ、仕事。
このままだとまたマイクロフトに怒られるわい。」
「グロウシア王国の件で最近忙しいんですよね。
私も手伝います。」
「じゃあ私は自室に戻ろうかしら。
二人共頑張ってね
後でリザに紅茶を届けてもらうように頼んでおくから。」
フフッと笑いながらアリシティアが部屋から出ていく。
「よし、ワシらも始めるとするかの!」
こうして、家族の日常は過ぎてゆく…
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