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悪魔の手下
5 悪魔の手下
しおりを挟む俺は、"悪魔の手下"と言われている。
そう言われる理由は、俺が副騎士団長なのと深く関係している。
俺はとある侯爵家の3男として産まれ、家を継ぐ事がほぼ無いに等しかったので、文官か騎士になるしか無かった。その為、産まれつき、身体能力が良かったので騎士になる事にしたのだ。
俺がまだ下っ端騎士の時からの同期に、とてつも無く強い奴がいた。そいつは、入隊して約3ヶ月で模擬戦で先輩を倒し、才能を疎んだ先輩の嫌がらせを全員再起不能にして返り討ちにした。周りから見ても、格の違いはヒシヒシと伝わって来たので、才能というのを早いうちにから見せつけられた。
入隊から約5年くらいだろうか?魔物が多発する時期に、偶然ワイバーンが現れた。
ワイバーンが出現するのは建国以来初めてだそうで、かなり話題になった。この話題のなかワイバーンを倒したのなら一躍有名になれると騎士の中で話題になり、自分の出世を狙う人間は全員こぞってワイバーンに挑んだ。
しかし、討伐は失敗。次々に上司や先輩、同期、後輩が亡くなった。
そんな中、ワイバーンを単独で倒した奴がいた。それが、俺の同期であるアレインだ。俺もまさかそこまで強いとは思っていなかったので、驚いた。
その後はもう、びっくりするくらいのお祭り騒ぎが国全体で起こり、アレインは一時期勇者とまで言われた。
まあ、そんなムードも1年過ぎれば終わり、アレインは上の死んでしまった人間の代わりに騎士団長に任命されたという訳である。
俺が大変だったのはその後、副騎士団長に任命されてからである。
薄々気づいていたが、アレインは他人に興味を示さない。才能こそあれ、上に立つ人間の才覚は持ち合わせていなかった。彼は彼の家族にさえ塩対応を突き通していた。
確かに強さに憧れるものの、教えはめちゃくちゃ、顔は覚えないし、配属先も適当。訓練は地獄並にハードで、俺達くらいの能力がついていけるものではないときたもんだ。
まぁ、だからと言って騎士団長の任命の取り消しを王が承認するわけが無く、騎士団が頭を悩ませた後、副騎士団長の俺が騎士団を取り仕切ることになった。
幸い、俺は人に好かれやすい体質だったので、団員を纏める事は周りの能力を借りながらもする事が出来た。そこまではいい。厄介だったのは、騎士団長のフォローだ。
もう、毎日のように付き纏って助言したり手助けしたり、団員との仲を取り持ったり…。
そうこうしている内に、俺はいつしか"悪魔の手下"と呼ばれるようになっていた。いや、勇者どこ行った?
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