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8 友人になりたい
しおりを挟む私がクリスティーナを探して走っていると、リュカ先輩と話しているクリスティーナを見つけた。
「クリスティーナ様!!」
「リン…!」
私の声を聞いたクリスティーナがパッとこちらを見る。
「おお、良かった。捜し人は見つかったようだな」
「リュカ先輩、ありがとうございます」
「いいよいいよ。お、リン、久しぶりだな」
クリスティーナは、先輩に私の行方を尋ねていたようだ。
それにしても相変わらず気さくな先輩だな。
「久しぶりです、また喋りたいと思ってました」
「俺もだぞ」
そう言って私の頭をわしゃわしゃしてくる。私の扱いが完全の近所のガキンチョと同じ扱いなんだが。
「リン、この先輩とお知り合いなの?」
「はい、この人は偶々知り合った先輩なんです。同じ平民だったんで、何かと気が合って」
「そう…」
それを聞いたクリスティーナは、私と先輩を見て少し頬を膨らませる。
あ、若干羨まんでる。
クリスティーナも先輩と仲良くなりたいのかな?
そうだ、なら私が先輩にクリスティーナを紹介したらいいんだ。
「先輩、クリスティーナは私の上司みたいな人です。」
私がそう言うと、少しシーンとした後に先輩が吹き出した。
「はははっ、そうか。上司か」
「リン……」
「え?」
何故か、私の気遣いが良くなかったようだ。
クリスティーナに残念な者を見る目で見られた。
「私はリンを雇っていますものね。確かにあっていますわ。ですが、その紹介は無いと思います。せめて、友人だとか友人だとか友人だとか」
クリスティーナが態度の意味を教えてくれた。
ていうか、友人を凄い強調してくるじゃん。
「リンの友人になりたいのか?」
「……ま、まぁ…今までこんなに一緒にいることがあったのはリンくらいだったし…」
じゃあ、クリスティーナは私と友人になって気軽に話したいと言う事か。確かに、出会ってからかなりの日を一緒に過ごしたし、前世があるって言う共通点があるけど、それは流石に
「流石に身分の違いがあるんで…」
「この学園では、関係ありませんわ」
「うーん、そうは言っても」
クリスティーナがここぞとばかり詰め寄って来る。ウメのあの詰め寄りは育ての親似かぁ
突然、先輩が時計を見て呟く。
「ん?……おっと、用事が出来ちまった。じゃあここらで。また会おうな、リン」
そそくさと先輩が帰って行った。酷い、同じ立場として一番の理解者だと思ってたのに……
「とりあえず、帰りながら話ませんか?私からも報告したい事がありますし」
◆
「私はせっかくだから、リンと気さくに話たいのよ。この世界では身分関係が重視されてるから今まで気軽に話せる人がいなかったもん」
「そうは言われても、一緒にいるだけでも結構無理している所はありますからね」
学園といえど、身分は完全に無くなるわけでは無い。身分を気にしなくて良いと言えるのは、クリスティーナぐらいだ。
これは、結構長引く気がする。そう言うときは、話題転換だ。
「私、とても大事な話があるんでした」
「…何?」
ちょっと嫌そうだが、聞き返してくる辺り聞く気がありそうで良かった。
「王子から聞いたんですけど」
王子という言葉を聞いたクリスティーナは、即座に態度を変える。
「断罪をするそうです。ゲームのストーリーよりも早く」
「え?」
困惑するクリスティーナをそのままにして、とりあえずさっきまでの事を話した。
クリスティーナは、ちゃんと聞いてくれたが分からない所が多いだろう。
「えっと…、つまり私が今まで会って来たクソな王子は私達と同じ世界から来た転生者で、元の主人公である王子が私達に忠告してくれたのですのね?」
「そうですね」
「で、私は卒業パーティーで断罪される予定だと」
「はい」
「でも、私何も断罪されるような事はしておりませんのに…」
「王族のコネでも使うんじゃないですかね」
うーん、と悩むクリスティーナに少し聞いてみる。
「断罪されたくないですか?」
「ええ。私に何かあると、ウメや貴方にも被害が及ぶ。上に立つものですもの。なので、私は大切な人を危険な目に晒したくありませんの」
確かに、その通りだ。高位貴族であり次期王妃として育てられて来ただけあって、意識が根本から違う。
「ちょっと、私に考えがあります。ちょっと待っててもらう事は出来ますか?貴方を助けられるかもしれない」
いつも読んでいただき、ありがとうございます!
誤字、脱字等があれば言ってくださるととても作者が助かります!!お願いしますヽ(;▽;)
応援ありがとうございます!
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