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4 ゲームの強制力?

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「……というわけなの」

私達は、前世の記憶を思い出してからの事やこの世界のことについて話あった。

「私が攻略対象…」
「そうなの」

自分がまさかそのような登場人物だとは思いもしなかった。
それならちゃんと覚えておけばよかった。

「でも、実は小説版で番外編があって…」
「番外編…あ、それ覚えてるかも」

確か、悪役令嬢として殺された侯爵令嬢の救済措置みたいなものだったはず。

「その番外編では、私を主人公が更生?させてハッピーエンドになるの」
「じゃあ、クリスティーナ様はそれを目指して…ってのも違いそうですね」
「そうね、でも私が生き残る道はこれしかないと思うの。だから出来るだけ、そのルートの更生した私を目指して来たのよ。結局、貴方以外は皆王子を好いているからゲームの強制力のようなものがありそうだし。」

流石に王子があんなクソ野郎ならクリスティーナが可哀想だ。
だから、ゲームと違った周りからの評判良しの令嬢になってたのか。

「私が王子に惚れる事はまずないです。例え、貴方が断罪されたとしても私がいますから」

ゲームのイレギュラーになった私がと変にお茶けて言う。

「ふふっ、そうね」

クリスティーナが少し安心したように微笑んでくれた。
若干、クリスティーナの顔が曇っていたのが心配だったが大丈夫そうで安心した。

「そこでなのだけど、貴方に前世がある者のよしみでお願いしたい事があるわ」
「お願い…ですか」

流石にこの状況で断ることはしないが…何だ?

「私のお助けキャラになって欲しいの」

お助け…キャラ。あれだよな、ゲームでさりげなくルールを教えてくれたり、攻略対象の好感度を見れたりする…

「お助けキャラというのになれるか心配ですが、いいですよ」

私が承諾したからかは分からないが、その言葉にクリスティーナの顔がパァっと明るくなる。
私のお茶けよりも効果絶大じゃん…そりゃそうか。

「そう…お助けキャラ。貴方にピッタリだと思ってたのよ!承諾してくれて嬉しいわ。ありがとう!!」

勢いに押されてしまう。確かに、味方を手に入れたって事だもんな。



3日もすれば1騒動もいい感じに鎮まり、普通に学園生活を送れている。一つ違うと言うと、学園内では極力クリスティーナといるようになった事と、クラスの人から憐れみの目を向けられる事くらいだ。
てっきり嫉妬の目を向けられると思っていた私には驚きだった。

王子はあれ以降も、周りにクリスティーナが~~嬢に嫌がらせをしたやら、自分がクリスティーナに足を引っ掛けられたやら好き勝手言っているらしい。その為、私とクリスティーナは迷惑している。
周りの同級生等は薄々状況を把握しているらしく、私達を憐んでいるのだ。私が男だと言われたことで可哀想に思っている…訳ではないはずだ。

「ねぇ、リン。今日、王都にお買い物に行きたいのだけれどついて来てもらえないかしら」

学園から歩いて15分程度の場所に商店街みたいな所があったはず。きっとそこだろう。

「いいですよ」

基本的にあまりクリスティーナの頼み事は断らないようにしている。殆どが王子絡みだからだ。
今回もクリスティーナは買いたいものがあるのだろうが王子が王都を連れとほっつき歩いているせいで、一人で行きにくいのだ。

「じゃあ、今日の授業終わりに門の前で集合ね!」

授業が終わってすぐに寮へ帰る。靴を履き替える為だ。
流石にハイヒールはキツイ。
ふと、出る前に鏡を見る。そこにはいつもと変わらない私が映るが、その私がお出かけの時にクリスティーナの隣に立つのは何だか場違いに感じる。

「……そうだ」

机の引き出しを開け、母からもらったバレッタが入った箱を取り出す。小さい頃に貰ってからずっと付けていたが、父が失踪してからは付けることをやめていたのだ。

「つけるか」

箱の中には昔と変わらない赤いバレッタが入っていた。
それは、未だに宝石で作られたかのように綺麗だった。
昔を思い出しながら髪につける。

「……よし」

ふと、この最近はしんどく感じない事に気がついた。
昔を思い出しているはずなのに。

「クリスティーナのお陰かもな」

自然と笑みが溢れた。




門でクリスティーナを待っている。

「本当に急ですが、この学校の門はとても煌びやかですよね」
「ああ、そうだが」
「では、目に厳しい色合いの王子がいると煌びやかを通り越してしまうと思いません?」

何故か、5分前に私の目の前で豪勢な馬車が止まったかと思ったら、クソ野郎が降りて来た。そこまでは良かった。「あ、クソや…王子だ」くらいで済む。
しかし、何を思ったのか私の目の前に来て急にジロジロと私を見始めたのだ。最悪…

何とかしようと当たり障りのない言葉でここに来て私を眺める理由を聞こうとしたが、一つも聞けない。こいつ、頭が馬鹿すぎる。遠回しに言っても何も伝わらない。

「そうだな。確かに私は美しい方だろう」

あぁぁぁぁ……チガウ
ずっとこの繰り返しである。

「して、聞きたい事があるのだが」
「はい…何でしょうか」

一旦今までの5分強は何だったのか。

「名は何というかのだ?」
「リンです」
「へぇ、君は平民なんだ。美しい名前だな」

何故か帰ってきた口説き文句に鳥肌がたつ。

「君のような花は、このような隅で咲いているのは似合わない。一緒にお茶でもどうかな?」

あぁ、キラキラの薔薇が咲くエフェクトが背景に見える。何だこれ?茶番?

「あー、えっと、友人と待ち合わせているので…」
「そうか…麗しい少女に無理強いをするのもよくないな…では、また誘うとしよう」

そう言って、王子はキレッキレなターンを披露して馬車に帰って行った。

「あれ、かっこいいと思ってんだ…。でも、私達はまだ15歳だしそういう時でもおかしくないのか…?」

と言うか、王子は私に気づいていない?お前が男だと言い放った相手だぞ?
何だそれ…

「訳わからん」

ゲームの強制力かもしれない。そうだとしたら、私がキュンッと一つもなっていないのは幸いだ。

「リンーーー!!」

学園からクリスティーナとウメが走ってやって来た。大人しそうに見えてお転婆な感じも可愛い。

「ごめんなさい、待たせてしまいましたわね」
「ごめん」
「いえいえ、大丈夫ですよ。では、早速ですが行きましょうか」


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