狂い咲く花、散る木犀

伊藤納豆

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7章

107話 *転機

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琳太郎は晴柊の乳首に吸い付いた。先を硬く尖らせた舌先で、クリクリと転がしてみる。片方の手は晴柊の下着の中へと滑り込み、ゆるゆると勃ち始めているモノの裏筋を擦りあげるようにして上下に扱いた。


「ぁ、……っ、ぅ……ん……」


晴柊は正直琳太郎が心配である。自分を抱いている場合ではないのでは、と思うのだが、琳太郎自身がそれを望んでいるのなら断る理由は無かった。何故なら、晴柊も晴柊で琳太郎に触れられたいからである。たった数日、されど数日。


「留守番している間、一人でシてたのか?」

「ん…シてない……ぁ゛っ…!」


晴柊のモノの先端をぎゅぅっと抑える。少し強い力で敏感なところに触れられたせいで、晴柊は思わずビクンと大きく身体を震わせる。


「嘘つけ。ココ、柔らかい。」


琳太郎は晴柊の入り口の浅いところを弄っていた。数日、相手できてなかった割にはソコは柔らかい。琳太郎には全てお見通しである。


「んっ……ちょっと、触っただけっ……ぁ、ん…良いだろ、別に…!」

「別にダメなんて言ってない。寧ろ、気持ちいことが大好きになったみたいで嬉しいけどな。」


琳太郎は小さく笑うと晴柊のナカ奥深くに指を沈めた。


「琳太郎の指の方が、長いから……ん、きもちい……あっ…」


琳太郎の指は、的確に、晴柊の前立腺を押し上げてくれる。自分では届くのもギリギリだし、何より臆病になって容赦なく責め立てると言うことができないのだった。


「お前はイきそうになると前立腺がわかりやすく膨らむ。知ってたか?はは、ナカきゅんきゅんして、意識しちまったか?」


琳太郎が晴柊の前立腺を前後に擦った。


「あ゛っんん、…ぁ、う……イきそ、イぐっ、ぁ、ああ゛、んっ…!!」


琳太郎は晴柊の前立腺を2本の指で挟みこみ、もう片方の手で容赦なく陰茎を扱いた。晴柊はぴゅっと勢いよく射精し、肩で息をしながら余韻に浸っていた。まるで休むことは許さないと言うように、琳太郎のナカに入っていた指がクンっとナカで動く。それにつられるように、晴柊は腰を浮かせた。


「あ゛っん、イッたばっか、だから……ぁ、ん……や…ちょっと、あ゛っ!!」


琳太郎は晴柊の制止を無視して責め続けた。イッたばかりで感覚がおかしくなっている晴柊をよそに、ナカをむしろ先ほどより激しく動かされる。ぐちゃぐちゃとした水音が晴柊の焦燥感を煽っていく。


「むり、むりだって、ぁ、んん゛っ、あ゛~~~!!」

「逃げるな。」


晴柊は快感を逃がそうと腰を引こうとしてくる。琳太郎はそんな晴柊の腰を抑えつけるようにして固定し、それを許さない。晴柊の肌に汗が滲み、顔には期待とこれから来るであろう驚愕的な快感に恐れも交じっていた。


「まだイ゛ぐっ、ん、ぁ…ああああ゛っ!!♡」


晴柊は一段と甘い声を上げると、何も出さないままドライでイッてみせた。閉じることを忘れたかのような口からは唾液が漏れ、目からはじんわりと涙が滲む。


抱くのは1回だけと決めたが故、前戯に多少時間を掛けたかったとでもいいたげなほど、挿入までの段階が粘着質であった。


「1人で留守番できて偉かったな。ご褒美だ。」

「ひ、ぁ゛ん…あ゛っ~~!!♡」


晴柊のナカに琳太郎のモノが入り込んだ。何度体験しても、こればかりは慣れないのだ。そもそも、本来出口であるところから入れているのである。そう簡単には10年以上の当たり前が覆ることは無い。


「りんたろ、だって……ご褒美のくせにっ…ん、っ…」

「はは。お前はこれだから良いなっ……最初から、その根性が好きだった…見た目は貧弱そうなのに。」


琳太郎は晴柊に身体を重ねるようにして、腰をゆっくり揺さぶった。生意気な反骨精神。恐怖を押しのけるほどの己の強さ。どんな男よりも男らしい。晴柊の薄い身体をぎゅっと抱きしめる。


「はぁ、ぁっ……ん、ぅ˝、……そんなアンタは、一言余計だっ、ばか、ぁ゛ん…!!!」


琳太郎が晴柊の奥に入れ込む。晴柊が喉をのけ反らし喘いだ。自分に反論の余地は無いということを思い知らされる。今日は何時ものように抱き潰すことはできないと約束した手前、琳太郎は丁寧に丁寧に晴柊を抱いた。



帰宅早々晴柊を抱きにいった琳太郎が、篠ケ谷のいるリビングに姿を現したのはあれから1時間後のこと。晴柊を抱え風呂場へと直行していた。たった数日離れていただけだっていうのに、琳太郎の機嫌は日に日に悪くなっていたのを篠ケ谷は目の当たりにしていた。しかし、寝室から出てきた琳太郎の顔はスッキリしたようである。先代の急な死去。組員たちの中でも一番衝撃をくらったのは琳太郎である。琳太郎の心身状態に、篠ケ谷は内心安堵していた。


これから、さらに不安定な環境が、彼を取り巻くことを、篠ケ谷含む側近たちは危惧しているのだ。


風呂からあがり、頬をわずかに上気させた2人がリビングへと来る。晴柊はシルバの専用のお皿にご飯を乗せていた。高級志向のドックフードである。


「晴柊、こっちに座ってくれ。」


むしゃむしゃと食べるシルバを見つめていた晴柊に、琳太郎が声を掛ける。そういえば、大事な話があると言っていた。晴柊は先ほどの寝室での会話を思い出し、大人しく椅子に座る。篠ケ谷は、晴柊の向かいに座る琳太郎の一歩後ろで立っていた。彼は何の話なのか知っている目だな、晴柊は一目で理解した。


「大事な話?」

「そうだ。」


晴柊は琳太郎をじっと見つめた。琳太郎は一呼吸おいて話し始めた。


「引っ越そうと思う。本家…というか、実家に。」

「俺も?」

「ああ。お前にも、ついてきて欲しい、晴柊。」
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