狂い咲く花、散る木犀

伊藤納豆

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4章 花ひらく

54話 *新しい道具

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一度晴柊をイかせた琳太郎は、唾液や我慢汁で汚れた晴柊の股間に次はローションを垂らした。その冷たさに足をビクつかせるが、すぐに肌の体温になじむ。この感覚には慣れっこだった。琳太郎の指が滑り込むように中に入り込んでいく。晴柊の甘い声が一段と寝室に響く。


「俺がいない間、ココが疼いて仕方ないんだろ?いいもんやろうか。」


琳太郎がナカで指を擦るように動かしながら、悪そうな顔をした。この顔は碌なことをを考えていない顔である。琳太郎はまたどこからともなくアダルトグッズらしきものを取り出した。琳太郎はいつも四次元ポケットを持ち歩いているのかというくらいこういった道具をポンポンと出してくる。


晴柊がその琳太郎のいう「いいもん」を手に取った。もっとグロテスクな見た目の何かを想像していたが、そういった類ではない。寧ろ小ぶりで、凶器的な雰囲気は感じられなかった。ピンク色をしているということだけがそれをアダルトグッズの類だと主張する要素であった。



「な、ナニコレ…」

「エネマグラ。」

「エ、エネ…?」


晴柊の耳に聞きなれない単語が届いた。エネマグラというらしいソレを、琳太郎は晴柊の手から取ると、それを晴柊の入り口に当てがった。琳太郎のモノよりも明らかに小ぶりで、晴柊のモノと同じくらいだった。正直、今まで突っ込まれたあらゆる玩具に比べれば、怖いものではなかった。晴柊のそんなどこか油断している表情が、琳太郎を一層楽しませていた。


晴柊のナカにゆっくりと玩具が埋め込まれる。バイブレーションするわけでもなければ、ピストン運動を始めるでもない。ただナカに入っているという異物感だけがある。


そんな時だった。晴柊の弛緩しきっていた身体がぎゅぅっと硬直する快感が襲う。


「ひゃぁっ!?……あ、あ゛っ…!?だ、だめ、なに……は、ぁんっ!!!」


晴柊が驚いたように声をあげ、みるみると快楽に染まり切った表情になる。太くもなく、動きもしないそれが、完全に埋め込まれたとき、晴柊の前立腺に密着し、さらにはそこを押され続けるような快感が晴柊を突き抜けたのだった。一度そこに密着したソレは、まるで晴柊の穴を知り尽くして設計されたかのようにぴったりとハマりそこから動こうとしない。ただ目の前がチカチカとするほどの気持ちよさだけが常に襲ってくる状況であった。


晴柊のナカがうねり痙攣しようとも、挿入部分ではない変わった形をした取っ手部分が、見事にエネマグラを晴柊のナカに固定させ動こうとはしなかった。


「ぁ˝、っ…お˝っ……コレ、ぁあ゛~~っ、と、て!!…ぁん、い˝や˝ぁ、ああ゛!」


晴柊はさっきイッたばかりなのに、もうすでにイきそうな快感になっていた。でも、射精感はない。この感覚には覚えがあった。尻でイかされるドライの感覚は、晴柊にとって脅威的なほどであるのをわかっているのだ。まずい、というように晴柊はエネマグラを抜こうと手を伸ばすが、琳太郎に簡単に一纏めにされて阻まれてしまう。


「はは、すっげぇ声。みっともなくメスイキしちまえ。ほら。」


「ぃくっ…ぁん、あ゛っ…っ˝~~~~!!♡♡♡」


琳太郎がとどめを刺すようにトンっとエネマグラを小突いた。晴柊は声にならない声を出し喉元をのけぞる様にして顎を上にあげ射精しないままイッた。晴柊の身体が痙攣したように震える。晴柊の目から快感による涙が零れ、開いた口から唾液が零れる。まるで犬が呼吸するように、舌を出してはふはふと吐息が漏れ出ていた。


「気に入ったか?これから1人の時はコレで遊べばいい。」

「はぁっ……ぁ、うっ……」


晴柊は声も出せないでいた。余韻が思考力まで鈍らせる。琳太郎がエネマグラを抜くと、蕩けた琳太郎の頬にぺちぺちと叩くようにして見せる。晴柊は自分をめちゃくちゃにしたソレを愛おしそうに見た。


「りんたろぉっ……いれて、ぇっ………♡」


理性が飛びかかった晴柊が、甘ったるい声で琳太郎に強請った。今日も奉仕の勉強をさせようと思っていた琳太郎だったが、あまりにも晴柊がヘトヘトなので諦めることにした。琳太郎のモノはいつも通り、触れられてもいないのに晴柊の痴態を見ただけでしっかりと反応していた。晴柊の手が解放され、琳太郎が自らのズボンをずらす。晴柊はじっとそれを見ると、急かすように足で琳太郎の腰当たりをぐっと押した。


「足癖が悪いな。…早くコレが欲しくてたまらないって顔してる。」


琳太郎がその晴柊の足首を掴むと、自分の前に持ってくる。そしてべろっと晴柊の脚に舌を這わせた。親指を丁寧にしゃぶるように、口元に含む。晴柊の入り口に、下着越しの自分の固くなったモノを擦りつけた。早く入れてほしいと晴柊の欲情しきった目が琳太郎を捉えた。



「……晴柊、好きだ。」

「ぁ、っ………、っ˝ぁあん…!!」


琳太郎が、小さな声で、でもしっかりと晴柊に届く声で呟いた。晴柊は一瞬驚いたが、自分の心が満たされていくのが分かった。俺もだ。俺も好きだ、琳太郎。そう答える前に、琳太郎のモノが晴柊のナカを貫いた。晴柊の声からは嬌声が漏れ出たが、頭の中では琳太郎に答えていた。


同時に、その言葉を俺以外には言わないで、俺だけに言って欲しい、と晴柊の独占欲がまた顔を出す。こんなことを琳太郎に伝えてはいけない。それのせいで飽きられたくはないから。



「ぅ˝っ、ん…ぁ、ぅうっ…あっ…お、れも…すき…っ…ぁんっ!」


やっと言えた、というように晴柊が僅かに口角を上げた。琳太郎は自分の肩に晴柊の片足を乗せるようにして腰を動かしていた。晴柊の結合部分含む全身が丸見えの状態で、晴柊を見下ろした。無茶をして晴柊に辛い思いをさせたいわけではないが、加減ができるか心配になる琳太郎だった。
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