私の幼馴染は、世界一無敵な騎士

野うさぎ

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第1章 親友と同じ人を好きになってしまって

第17話 変化

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 私は正直に言うと、誠君に気づいてほしかった。
 異性として意識していること。

「それなら、私が代わりに告白してあげようか?」

「いいの?」

「うん、ずっと言い続ける。

だから、西園寺さんは安心して、高校受験に挑んでいいよ」

「ありがとう。

あんまり、期待はしてないけど」

「傷つくなあ。

でも、いいよ」

 こうして、華ちゃんと分かれた。

 私と誠君は同じ高校を目指し、受験をした。
 そうしたら、誠君も私も受かった。

「これで、高校でも一緒だね、赤音」

「うん。

私も、すっごく嬉しい」

「俺、青葉のことを忘れての高校生になる」

「あれ?

青葉ちゃんを見返すんじゃなかったの?」

「そうだった。

そうだったの。

だけど、赤音の大親友の華って人に言われたんだ」

 大親友って、わけじゃないんだけどね。
 あの子、余計なことしかしないし、表面上だけ仲良くしていたんだけど、それを誠君は大親友ってとるのか。

「過去の恋を乗り越えるには、新しい恋。

初恋を引きずっても、かっこ悪いだけ。

それに、赤音は鯉が好きって華さんから聞いたから、高校に入ったら、鯉を一緒に見ようね」

「え?

どういうこと?」

 私は、鯉は好きでもなければ、嫌いでもない。

 それに、誠君は完全に、華ちゃんの言いたいことを勘違いしている。

「華さんから、いろいろ話は聞いたんだ。

青葉を気にするより、目の前の人に目を向けるようにって言われたから、それはきっと、高校に入ってから、新しい恋をするようにって意味だと思う」

「誠君、華ちゃんから何を聞いたの?」

「たくさん、聞いた。

いろんなことを、聞かされた。

どれも、素晴らしい内容だった。

俺、新しい恋をして、素晴らしい人と付き合って、その人も、赤音を守れる騎士になることと、赤音に鯉を見せることを目標として、前に進んでいくよ」

 だめだ、こりゃあ・・・・。

 きっと、私が何を言っても無理なんだ・・・。

「それに、赤音は俺のことを蕎麦として支えているって」

「蕎麦?」

「だから、蕎麦食べようね?

蕎麦が好きなんでしょう?」

「誠君?」

 受験合格発表日は、これで終わった。
 
 後で、華ちゃんに電話で聞いてみた。

「・・・ってことがあったけど、華ちゃんは何を言ったら、そうなったの?」

「ごめーん。

井藤君、そこまでトンチンカンだとは思わなかった。

西園寺さんは、よく一緒にいられるね」

「詳しい話はわからないけど、これでわかったでしょ?

誠君は、私がどんなにアプローチしても、気づかないの」

「たしか、井藤君は発達障害があるんだっけ?」
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