私の幼馴染は、世界一無敵な騎士

野うさぎ

文字の大きさ
上 下
11 / 23
第1章 親友と同じ人を好きになってしまって

第10話 井藤誠の欠点

しおりを挟む
 私は、青葉ちゃんのためにパラレルループをしないと安堵してしまった。
 確かに紫帆ちゃんも殺されて、緑ちゃんは私たちを騙すためだけに近づいて、青葉ちゃんは二度も唄さんに狙われる。
 それに、私はまだ誠君が好きだけど、誠君は青葉ちゃんが好き。
 親友だけど、ライバル心が捨てきれない自分がいた。

 私は誠君が退院するまで、何回も誠君のいる病院に向かった。
 
「誠君、今日も来たよ」

「ありがとう。

あれから、数か月たつけど、青葉は大丈夫なのかな?」

「悔しいことだけど、今は助けに行けないよね」

「俺も怪我が少しずつだけど、治ってきているから、退院が認められたら、青葉を助けに行くよ」

「そうだね。

青葉ちゃん、無事だといいんだけど」

「唄のことだから、こればっかりは保証できないな。

もしかしたら、生きてないんじゃないかって不安が押し寄せてくるんだ」

「大丈夫。

きっと、大丈夫。

そう思うことにしようよ」

「だよね。

わからないことに、不安を感じてもしょうがない。

早く怪我を治すことだけ、今は考えなくちゃ」

 誠君はしばらくしたら、怪我が治り、退院することになった。

 こうして、私と誠君で青葉ちゃんを助けに行くことにしたけれど、居場所がわからなかった。

 そんなところで、緑ちゃんが現れた。

「緑ちゃん?」

「やっと、退院したのか。

退屈しちゃったよ。

でも、まあ、青葉のおかげでいい暇つぶしになったよ」

「緑?

どうして、そんなことを?

青葉に何をした?」

「そう焦るなって。

今から、唄さんの居場所を教えるから、これで落ち着くんだ」

「質問に答えてない。

どうして俺たちを騙すことをしたのかということと、青葉に何をしたか答えて」

「やんなるなあ。

誠の障害は、一度気になることがあると、頭から離れなくなるかあ。

数年も耐えられた自分に尊敬するわあ。

どうして、うちが誠たちを騙すことになったとか、青葉がどうなったのか自分の目で確かめに行けばいいじゃん。

敵であるうちが、どうして詳細とやらを教えなきゃいけない?

うちはあんたが嫌いなんだし、関わりたくないんだよ。

それくらい、わかってほしい。

って、あんたに行っても無駄か。

とにかく、居場所だけ教えておくから、そこ向かえ。

うちは、後のことは知らん」

「緑・・・・」

 緑ちゃんは私に居場所だけつたえたら「じゃあな」と一言で去っていった。

「居場所を簡単に教えるとか、明らかに罠だよ」

「そんなことは関係ない。

青葉のことを一刻も早く助けなきゃ」

「無謀すぎるって」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

寡黙な貴方は今も彼女を想う

MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。 ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。 シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。 言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。 ※設定はゆるいです。 ※溺愛タグ追加しました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

続・上司に恋していいですか?

茜色
恋愛
営業課長、成瀬省吾(なるせ しょうご)が部下の椎名澪(しいな みお)と恋人同士になって早や半年。 会社ではコンビを組んで仕事に励み、休日はふたりきりで甘いひとときを過ごす。そんな充実した日々を送っているのだが、近ごろ澪の様子が少しおかしい。何も話そうとしない恋人の様子が気にかかる省吾だったが、そんな彼にも仕事上で大きな転機が訪れようとしていて・・・。 ☆『上司に恋していいですか?』の続編です。全6話です。前作ラストから半年後を描いた後日談となります。今回は男性側、省吾の視点となっています。 「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...