私の幼馴染は、世界一無敵な騎士

野うさぎ

文字の大きさ
上 下
7 / 23
第1章 親友と同じ人を好きになってしまって

第6話 パラレルループは小学生時代から

しおりを挟む
 井藤君には、相談できなかった。
 まさか、私がデスゲームみたいな約束を引き受けてしまったこと。
 正しく言えば、引き受けてしまったんじゃなくて、強制的に参加させられたと表現した方が正しいかもしれない。

 私は井藤君の家に来ていた。

「井藤君、唄さんのことを聞かせて。

もしかしたら、言いたくないかもしれない。

だけど、君のことを狙っている以上、私に関係のない話って言い難いから」

「唄は、人の幸せを妬む女性になってしまったけれど、やっぱり今回も失敗だったかな?」

「井藤君?」

「もっかい、やり直そう。

青葉がいた頃に戻りたいんだ」

「井藤君、急にどうしたの?」

「時間はいくらでも、どうにでもなるんだ」

 私は、ここで目が覚めた。
 夢?

 私は小学校に入学して、井藤誠君、東海《とうかい》青葉《あおは》ちゃん、北島《きたじま》緑《りょく》ちゃん、南《みなみ》紫帆《しほ》ちゃんと仲良くなり、いつも五人で行動した。
 井藤君と青葉ちゃんは、初対面のはずだけど、前にも会ったことある気がした。

 緑ちゃんは、髪が緑色の女の子。
 一人称は「うち」。

 紫帆ちゃんは、紫髪の女の子。
 一人称は、名前呼び。
 
 みんな、私の大切な友達。
 井藤君のことは最初は上の苗字で呼んでいたけれど、今は「誠君」と下の名前を言うことも抵抗がなくなってきた。

 ある時、二人の時にこの話を持ち出してみた。

「誠君、私ね、パラレルワールドの夢を入学前に見ててね、青葉ちゃんが唄さんって人に殺されて、誠君が時間を戻した夢を見たことがあるの」

「この話は、誰にも言わないでくれる?」

「え?」

 誠君は、こわい表情をしていた。

「俺がパラレルループしたことを、誰にも言っていないよな?」

「パラレルループ?

何それ?」

「それより、他の人に言ったか言ってないかってことを聞きたいの」

「言っていない。

だけど、誠君、急にどうしたの?」

「俺は、パラレルワールドの状態で過去に戻れるんだ。

そのことは、パラレルループって言うんだけど、どうやら記憶が残っているみたいだね」

「どうする気なの?

記憶消すの?」

「ファンタジーの読みすぎじゃない?

実際は、そんなことできないから」


「じゃあ、どうするの?」

「どうもしない。

とにかく、誰にも言ってなければそれでいいよ。

この時間では俺は幼稚園の年長の頃に、発達障害ってことがわかってしまって、親が離婚して、幼稚園を卒園式の日に転園ってことになっているみたいだね」

「うん、誠君がこの日に転園生としてきたことは驚いたけど、来てくれて嬉しいって気持ちもあったよ」

「そっか、ありがとう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

続・上司に恋していいですか?

茜色
恋愛
営業課長、成瀬省吾(なるせ しょうご)が部下の椎名澪(しいな みお)と恋人同士になって早や半年。 会社ではコンビを組んで仕事に励み、休日はふたりきりで甘いひとときを過ごす。そんな充実した日々を送っているのだが、近ごろ澪の様子が少しおかしい。何も話そうとしない恋人の様子が気にかかる省吾だったが、そんな彼にも仕事上で大きな転機が訪れようとしていて・・・。 ☆『上司に恋していいですか?』の続編です。全6話です。前作ラストから半年後を描いた後日談となります。今回は男性側、省吾の視点となっています。 「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

処理中です...