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第2章 ツンデレ幼馴染みライハイツ君とお人好しな俺

第3話 君の能力は、死に寄せですよ

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「ごめんなさい、完全に人違いだったみたいです」

 俺としたことが、人違いだったとか、恥ずかしすぎる。
 だけど、緑髪の人なんて、異世界ならともかく、この世界にいるか?
 それとも、髪を染めているのか?

 だけど、緑髪なんて流行っていないし、染めるやつがいるかと、そいつの髪を眺めた。

「何を見ているのですか?」

「え?」

「あたしの顔に何かついていますか?」

「そうじゃなくて・・・。

知り合いによく似てるなーって思っていただけです。

俺、急いでいるからこの辺で」

 俺が、その場を去ろうとした瞬間に、右腕をつかまれた。

「待つのです」

「え?」

 女の子に触られたことなんてないから、俺は反応に戸惑った。

「どこに行くのですか?」

「行くって、人を捜しに」

「それって、ライハイツ様のことですか?」

「なぜ、ライハイツ君を知っているの?」

「やっぱり」

 ライハイツ君と、何か関係があるのかな?
 そう思って聞いてみることにした。

「君と同じような緑の髪を持つ、ライハイツ君を見なかったですか?

トイレに行くと行ったきり、帰ってこなくて」

「帰ってくるわけないじゃないですか。

ライハイツ様なんて、最初からいないのですから」

「いない?」

 緑髪の子は、俺の腕をそこで離してくれたけど、俺は逃げる気にならなかった。
 話の続きが気になってしょうがなかったから。

「あたしは、ライハイツのいとこである、ライハイトと申しますのです。

君は、パラレルループという、能力をお使いにならなかったですか?」

 ライハイツのいとこの、ライハイト?
 どこかで聞いたことあるような気がするけど、そんなことより、こいつが何者なのかを問い詰めよう。

「君は、何者なんだ?

なぜ、パラレルループのことを知っている?」

「そのような質問をするということは、魔女の存在がわかっていないのですね」

「君が何者なのかということと、ライハイツ君がどこに行ったかもちゃんと教えてほしいんだ。

君のことにかまっている時間はない」

 緑髪の子に警戒心が強まっていき、俺はだんだんきつくて、冷たく突き放すような口調になっていった。

「いないのですよ。

いない人を捜して、どうするのですか?

見つけられるわけないのですよ」

「いたよ!

俺はライハイツ君と一緒に学校も行ったし、こうして遊びに行ったんだ!」

「自身の能力を自覚していないのですね。

君の能力は、死に寄せですよ。

君のまわりにいる人は、自殺、事故死、他殺のどちらかの運命が待っているのですね。

別名は、歩く死神なのです。

君のまわりには、必ず事件が起こるのですよ」

 死に寄せ?
 歩く死神?

 俺は、緑髪の女の子の言うことを、何一つ理解していなかった。
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