上 下
347 / 393
番外編 パラレルラブ

エピローグ 龍神姫の物語

しおりを挟む
  わたくしは、龍神姫だ。
 
 わたくしの母はかつて弟を産んですぐに亡くなられた。
 まさか、二人目の出産で命を落とすなどどなたが想像するだろうか。
 母は、男と女両方産んで育てたかったようだ。
 娘を育てることは叶って、息子を産むことはできても育てることまで叶わなかったということになる。

 時は流れ、わたくしは母となり、一人目を、娘を授かる。
 息子がほしいと思った矢先、二人目に恵まれることなく、現在に至る。

 娘を育て、娘の成長を見ることはできた。
 だが、息子を産むことも、育てることも、成長を見ることがないため、息子がいたらどうなるかと想像してしまう。

 二人目を授かれん理由は不明。
 わたくしが16歳のままの肉体を持つ不老のため、老化現象はない‥‥。

 若くして、子に恵まれん者も周囲にはおる。
 だが、理由は一人としてわからん。

 老いてから、子宝に恵まれた者もおる。
 結局わからんのだ。

 時々不安となる。
 わたくしも、かつての母のように二人目を産んだ瞬間に命を落とすのでは、と‥‥。
しおりを挟む

処理中です...