異世界勇者~それぞれの物語~

野うさぎ

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番外編 兵士と騎士とメイドの幼なじみ

第1話

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悲劇は突然に襲ってきた。

私、せざる、らんせと三人で塔にいたら一人の少女が現れて「お兄さんを殺した盗賊め」と言い、いきなり炎を出して襲いかかってきた。

わけがわからない。

普段から鍛えてないないらんせはよけれるはずがなかった。
だから、らんせを守ったせざるは焼かれてしまった。
「せざるー」とらんせ。
だけど即死のせざるに返事はない。返事ができるはずない。

「これでお兄さんの仇は一人討てたわ」
「そんな‥‥せざる、あたしを守るために?」
私は突然のことに思考が追いつかなかった。死んだ?死んだのよね?
少女がメラメラとらんせを見つめて炎を出そうものだから、私は少女めがけて剣を投げた。だけど避けられてしまった。
「さすが盗賊ね」
「盗賊? 何のこと?」
「とぼけたって無駄よ」
少女がメラメラと私に向かって炎を投げた。

私はよけた。
「やめて!」
そう言い、らんせは私の投げた剣を拾い、少女をさした。 

そしたら少女は倒れてしまった。
「これ以上‥‥あたしの大切な人を‥‥奪わないで‥‥」
らんせは少女を剣でプスプスと刺す。


私は思考が追いつかなかった。

らんせがやったの?
「返してよ‥‥あたしの大切な‥‥せざるを返して‥‥」
泣いてる。泣いている上に怒ってる。
 
私はいつもと違うらんせに硬直していた。
これは夢なんだ。


きっとこわい夢を見てるにちがいない。

これが現実なわけない。

らんせはそんなことしない。
いつものらんせじゃない。

倒れてる少女はもう人の形をしてなくて、誰かが見つけた時にはらんせは「人殺し」と扱われ、死刑になった。


もしかしたららんせもせざるのことが好きだったのかな?
考えてみればあるかも。

私には入りきれない二人の仲があった。

私には内緒で付き合っているんじゃないかという不安がよぎった。
私は近くにいながら何もできなかった。

後で村の人に話を聞いてみれば兄を殺した敵討ちの旅に少女は出ていたらしい。
それで犯人がわからないうちに暴走したかもしれないと。
 
もういや。
こんなのが現実にあるなんて信じたくない。
信じられない。

お願い、誰か私をこわくて悪い夢から覚まさせて下さい。
らんせとせざるは天国で幸せに過ごしているかもしれないと思うと憎らしく思えてきた。

王様が「せざる、らんせ‥‥」とむせび泣いていた。
「その名前聞きたくない」
「どうしたのじゃ?」

せざるはらんせのことは庇っていた。
だけど、私のことは庇わなかった。

結局弱い方の味方なのね。
だけど、せざるのやることが普段はカッコいいのに‥‥らんせにするなんて‥‥今まで誤魔化していた、自分の気持ち。
らんせはライバルだった‥‥。

 
「前に進みましょう。
 今更どうすることもできないし、どうにもならない」 
傷を癒すために自分自身に向けての言葉。

これははじめから報われない恋だった。
この世界に叶わない恋なんてなければいいのに。
だけど、何でいつの時代にも叶わない恋が存在するのだろう?

恋が叶う瞬間はどんな瞬間なのか今となっては想像もつかない。
「王様、私はあなたを守るために戦います」
前に進むためにはお姫様と王様の護衛しかないと思った。
守りたいものを守るために強くなるしかないの。

私は一人で魔王を倒して、お城とか、王様、お姫様、元に戻した。
だけど、恋は報われない。
一年前の幼なじみと再開した。
「どうしたの?」
わたしより低くはないけど、小柄で失恋した名前も聞きたくないあの人とは正反対。
「私は‥‥」
そう、私は生きてる幼なじみと付き合うことにした。
一番好きな人と報われなかったけど、二番目に好きな人と報われた。
これでよかったのかな?
二番目から一番目になれる日がこれたら‥‥、あの失恋は懐かしい思い出になるよね?
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