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番外編 美しい花よ

第2話

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 お姉ちゃんにちょっかい出すことを趣味としているわたし。
 
「結婚しないの?」
「うるさい」
「黙って」
「二階で寝ろ」
「部屋の主はわたし達なんだよ」
「うぜえ」
「あっそ」
「は?」
「あ?」

 よく、お姉ちゃんが過去に失敗したことを言う。
 
「あの人もうすでに結婚したらしいよ」
「あっそ、ならもうやめろ」

 お姉ちゃんのこと、なんか気になる。
 わたしは、どうしてこんなに素直になれないんだろう?

 お兄ちゃんもお姉ちゃんも、包丁を持たせてもらえるのに、わたしは持たしてもらえない。
 公園行くときは、お兄ちゃんと一緒。

 わたしも、料理したい。
 
 わたしも、みんなと同じことができるようになりたい。

 家族はなんやかんやで、わたしにとって大切なものだった。

 料理も、掃除もしてあげたい。
 雑音は控えてほしい。

 家族が困ったら助けてあげたい。
 家族がいるから、世界が広まる。家族を始めとして友達、先生などの世界がある。
 悩んだらいつも聞いてあげていた。

 好きなことや嫌いなことも覚えてる。
 得意料理がなんなのかわからなくなるくらいママは料理上手だった。

 猫はみんなの癒しを与えていた。
 美しいがいるだけで、心の支えとなった。
 美しいの存在に何度も救われた。
 
 わたしがこうして生きているのは、パパやママのおかげとも思えるから。

 夜はみんなと一緒に寝たいとか大人になりきれない自分がいた。
 今も、こうして一緒に寝てくれる。
 わたしは安心して夜を睡眠と共に過ごせる。

 お姉ちゃんがスマホなくなったとなれば、お兄ちゃんやわたしは一緒に探した。
 結局すぐ近くにあったけど(笑)。

 わたしは末っ子だから、妹や弟がいるのがどうゆうのかわからないけど、末っ子なりに苦労はある。
 末っ子の苦労は、末っ子にしかわからないのが悲しいけど。

 わたしも、ずっと一緒に過ごせないのはわかっている。
 いつまでも子どもではいられない。
 いつか自立した一人の大人を迎えなくてはならない。
 だけど、今はこうして甘えていたい。

 わたしは、この家族に生まれてきてよかったと思っている。
 
 最近、鮫のぬいぐるみが二匹自宅に届いたから、鮫のぬいぐるみに「シャーク」と名前をつけた。
 二匹ともシャークだが。
 お兄ちゃんとわたしは、シャークのぬいぐるみを抱いて横向きに寝ている。
 パパもシャークのぬいぐるみを抱いて寝ることもある。
 何故なら、パパが通販サイトの鮫のぬいぐるみに一目惚れして注文したものだから。

 ちなみに、シャークは触り心地抜群のふかふかなぬいぐるみで、すごく気持ちいい。
 中には、SNSにあげる人も多いらしい。

 我が家に三毛猫のぬいぐるみがあるが、大体放置されている。

 お姉ちゃんが何か嫌らしいものを見てないか、お兄ちゃんとわたしでチェックする。
 スマホを覗きこむこともあった。
 何か情報がわかり次第、急いでパパやママに報告していた。
 
 お姉ちゃんがホラーを動画で見ることがあれば、こわがりのわたしは怒る。

 今日も花は美しい。
 家族も爽やか。
 こんな日がずっと続けばいいな、なんて思っている。
 今日も明日も思う。

 わたしは、お姉ちゃんの猫背や食べ方を執拗に気にするし、
 給食で男子の食べ方も気にした。
 隣の席なら綺麗に食べてよ。
 わたしは、食べ方を異様に気にする。 
 ゆっくり食べれてるか、口を開けて食べてないか、クチャクチャ音は出てないかなど。

 ランドセルとさよならする日が来たら、制服を迎えることになるのかな?
 それはそれで楽しみ。

 わたしは、大人になれるのかな?
 大人になりたくないような、大人になりたいような。
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