上 下
310 / 393
番外編 恋のライバルはいちえちゃん

第2話

しおりを挟む
 市江ちゃんはどうして、モテる女ベスト5になるのか。
 クラスにモテる女は、あたしと市江ちゃん含めて5人いる。

 モテる女ベスト5の中で、市江ちゃんは一番小柄だし、私は1番背が高い。

 モテる女4位
 身長は159センチ。
 痩せすぎ。


 モテる女3位
 身長157センチ。
 痩せぎみ。

 モテる女2位
 身長155センチ。
 標準。

 そう言えば、あたしは太りぎみだし、市江ちゃんはいちごのように太りすぎ。
 
 何であたしが太ってしまったか。
 いちごの食べ過ぎ?
 ママの手料理がおいしすぎて、食べ過ぎてしまうんだよね。

 そして、パパがかなりの肥満体質。
 例えるなら、モルモット。
 ハムスターのように食べるし、ママとは今も恋人かのように仲良し。
 町を歩けば、新婚夫婦やラブラブのカップルに間違われて恥ずかしい…。

 あたしは、市江ちゃんなんかいなくならないかと、仲良しの友達ながら嫉妬とか覚えるようになった。
 あたしが一番になれないのは、市江ちゃんが元凶かもしれない。
 気持ちの整理がつかないあたしがいた。

 あたしに好きな人がいたとしても、きっと市江ちゃんにとられてしまうだろうし、市江ちゃんになんか勝てやしないんだ。

 市江ちゃんに勝てる方法がほしい。
 どんな手段でもいい。
 市江ちゃんと出会う前の時間に戻って、あたしがトップに立つとかさ。

 小学生の頃のあたしは、そんなんじゃなかった。
 市江ちゃんなんかに負けない。負けたくない。
 あたしらしくなくなってしまうから。
 あたしらしさがなんなのかは説明なんてできないけど、あたしが一番に立てないとかいやなの。

 あたしの心はいつしか複雑に絡み合うようになった。

 一期一会なんて言葉があるけど、あたしはそんなのあてにしない。
 あたしは市江ちゃんに勝ってみせる。
 
 市江ちゃんの敗北こそがあたしの勝利。

 そんなんじゃない。
 あたしの本当はやりたいことは…。

 あたしの考えていることは、いじめっ子に確実に近付いていた。
 そんなことしなくても、努力で勝てるはずって思いたいけど、そんなに甘くない。
 何故、現実なんか見せてしまうの?


 中学卒業まで確実に近付いている。
 受験もあるし、中学卒業したくないな。
 中学生活やり直したいな。
 今の中学生活に満足なんてしてないから。

 中学一年生に戻れた。
 あたしは12歳になれた。
 
 どうしてこうなったかはわからない。
 ただ念じたら、戻れたの。
 
 高校受験とか今はしなくていい。
 
 市江ちゃんはいない。
 あたしの身長は低くなっている。

 太りぎみから標準体型に戻っている。
 いちごの食べ過ぎで、太っていたもんね。

 
 いちご離れとかして、
 市江ちゃんと仲良くならずに、
 友達とか作るもん。

 だけど、中学になれば女はグループとか作るから、厄介なんだよな。

 あたしは、市江ちゃんと友達になんかなりたくない。
 あんなに仲良くしてたのにって思った?
 
 女の友情は深いようでいて、実は冷酷。
 信用してはいけないの。

 
 あたしは友達とかできたけど、市江ちゃんとは仲良くならなかった。
 市江ちゃんと一緒にならないように、手芸部に所属しなかったもん。
 
 そんな時、うさぎなのか猫なのかわからないような小動物が話しかけてきた。
 その時は、友達と一緒に帰って別れた瞬間だったの。
「素質があるね。念じただけで、時間を二年前までに巻き戻せるとは」

 何を言っているんだ?
 変なことに巻き込まれたくないので、無視することにした。
 無視というか、見えていないふり、聞こえてないふり、関わりたくないもんね。

「こっちにも考えがあるからな」
 
 動物が指をパチンと鳴らせば、あたしは変身を始めた。
 えー!
 驚きを隠せないでいた。

 魔法少女?
 カワイーっ!
 衣装がどうなっているか眺めていたい。
 だけど、その前に…。

 あたしは、動物を撃退しなくては。
 あたしは、動物を倒さなきゃ。
 ステッキでぼこぼこにする始末。

「やめてくれ」
 
 あんな奴の思い通りになんかならない。
しおりを挟む

処理中です...