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番外編 山賊暮らし

第6話

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 僕、ヤマト。小学四年生。10歳。
 15歳のガナークに愛されて、どうしていいのかわからない状態にある。
 
 山賊に愛されたら、普通に女の子と恋愛したい気持ちがないわけではない。
 ガナークなんてどこからどう見ても男だし、年に不相応な幼稚さがあるし、一緒に暮らしたくなくなる。
 
 自分の気持ちをごまかせそうにない。
 恋なんて、同居と共になくなる。
 ハーレムなんて夢のまた夢。
 性格なんてほとんど一致してない。
 しかも、僕がそうしたいと決めたわけではないから、責任感なんてほぼない。
 家に帰りたいわけではないけど、ガナークと暮らすのも嫌になってきた。

「もう、ガナークとやっていけないよ‥‥」
 「何故なのですか?」
「飽きたんだ」
「飽きたって?」
「ガナークと一緒にいたいとか、思えない」
「いやなのです。
おらは、飽きてないのです」
「そうゆうところが、一緒に暮らすには、不向きっていうか‥‥。
考えたんだけどさ、山賊の生活とか向いてない気がして‥‥」
「向いてるの問題ではないのです」
「僕と別れて 」
「別れさせないのです。
ガナークのこと、まだ好きですよね?」
「嫌いになったから、別れて」
「ヤマトが嫌いなら‥‥別れるしかないのです‥‥」
 
 その一言だった。
 その一言が僕のその後を変えた。

 僕は女の子としか恋愛をしないことに決めたし、めんどくさくても大抵はなんとかなる。
 何故なら、困ったらだれかに相談できるし、男友達が何よりの支えになる。
 男同士で恋愛すれば、男友達なんてできない。
 
 数年後になって、子供ができた。

 婿養子のため、山田ヤマトではなく、
 寺内ヤマトに名字が変わった。

 小学三年生の息子が「大きくなったら、山賊になりたい」と言い出すものだから、
「山賊は大変だよ」

 山賊に憧れてほしくない。
 山賊なんていいものじゃない。
 山賊なんて大嫌いだ。

「もしかして、パパは山賊が嫌いなの?」
 山賊は嫌いだ。
 だけど、子供の夢を壊したくない気持ちもある。
 
「そんなことはないよ」
「本当に?
パパ、過去に山賊暮らししたからじゃなくて?」
 何故、知っているんだ?
 異世界?で、山賊暮らししたことなんか、妻にも話したことがないのに。
「パパはガナークのことが嫌いって別れたんだよね」
「何故、ガナークのことを?」
 流石におかしい。
 何故、ガナークのことを知っているんだ?
「前世の記憶だから‥‥。
ガナークは山賊を辞めちゃって、その後どうしていたかわからないけど‥‥」
 聞きたくない。
「ボクは、パパを愛していたんだ」

 僕と妻はその後、夫婦喧嘩が原因で離婚した。
 息子の親権は元妻に、娘の親権は僕になった。

 一人息子とお別れができてよかった。
 息子からも愛されるとか思わなかった。
 男なんて受け付けない。
 これからは、二人の娘と新しい妻を愛することにするよ。

 上の娘が孫娘を産み、
 下の娘が孫息子を産んだら、
 孫娘の方が何故か可愛かった。

 前の妻や息子とは離婚して以来、会っていない。
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