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番外編 盗賊に愛されて 第2章

第4話

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 俺と炎かは、彼氏と彼女の間になった。



 炎かのことなら、何でも知ってる。

 星座 さそり座

 血液型 AA型

 年齢 13歳

 体重は、言わないでおこう。



 炎かと、俺はキスを交わすようにもなった。

 デートスポットはというと、炎かの好きな所。

 水着を着て、温泉だ。

 だけど、こんなに上手くいくなんて‥‥



「我のことを忘れたのか?」

 また、タンパニーだ。

「俺、付き合っている人がいるんで」

「なら、奪い返すまでだ」

「諦めが悪いよ、タンパニー。

炎かとだいちゃんは付き合っているの」

 炎かは付き合ってから「だいちゃん」と呼ぶようになった。



「あら、奪い合い? いいね」

 声のした方を向くと、雷光。

「あのときは、よくもしてくれたね。

空賊専門退治屋なんて必要がないようにパワーアップしたよ」

 一瞬で稲光が走り、眩しくて目が開けられなかった。

「口封じに、この街の人にはみんな死んでもらうよ。

ただ、炎火がいないことが残念だけど、これは今すぐにでなくても良さそうかな」

  眩しくて、目が開けられない中、雷に打たれ、俺は気絶した。

  夢の中で思うことがあった。

 その場に炎火がいないことが、運がいいことだ。

 炎火だけではない。

 用事があってこの街を出た空賊専門退治屋は、みんな助かったということになる。

 炎の使い手はいなくなったのかな?

 山賊専門退治屋に、炎の使い手はいるのか?

 

 俺と炎かは、結婚ができなかった。

 お互い結婚できる年齢になったら、すぐにでもしようと思っていたのに。



 俺は、こんなに上手くいっていいのかな?と思ったら、本当にその通りだった。



 俺の家族はどうしたんだろう?

 津波が起こったって本当なのかな?

 今となっては、もう確認しようがない‥‥。

  気がつくと、炎かと俺は同じ牢屋の中にいた。
 雷光にさらわれたことだけは、憶えていた。
 だけど、どうやってここまで来たかとかの、細かい経緯は意識が朦朧としていたため、記憶がはっきりしていなかった。

 他の奴が、どうなったかは正直に言うと、わからない。
 ここは牢屋みたいだけど、どこの牢屋かもわからない。

 二人で、どう脱出すればいいのか戸惑っていたところに、牢屋の鉄格子が燃えた。

「え?」
 炎かと、俺は当然のことに驚いていた。

「助けに来たよ」

目の前に現れたのは、炎火だった。

 俺と恋人の炎かと、炎火は、牢屋から抜け出し、外に出た。
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