269 / 393
番外編 盗賊に愛されて 第1章
第3話
しおりを挟む
ほのめは、とうとうザイコスキーと手を繋いで歩くとか、ザイコスキーにお姫様抱っこされるところにまできついてしまった。
男のしてのプライドは最初から持っているつもりはなかったけど、そこまでされてしまうと、本当に女の子かのようになった気分だった。
「勇石神ちゃん」
俺は最近、姉さんのことを名前で呼ぶようにしてる。
海賊たちは、ほのめのことは呼んでくれても、姉さんのことは「何なのかわからない」「近付いたら感染するかも」「襲われるかも」という理由で避けていくので、誰も姉さんの名前を呼びやしない。
勇石神ちゃんは首を縦にふる。
最近、勇石神ちゃんは上手く喋れないと自分でもわかって以来、ジェスチャーが増えた。その代わり、あまり言葉を発したりはしなくなった。
「来たぞー、海賊専門退治屋だー」
海賊たちが騒ぎ始めた。
「まずいわ、ほのめちゃん、逃げてちょーだい」
「何が起こって‥‥」
「海賊専門の退治屋よ。
説明している時間はないの」
「船長、逃げ場はどこにもありません」
「そんなことないわ」
「あるんです!
水が凍ってしまいました」
船の外を見ると本来、水のところは氷になっていた。
「氷になるってことは、まずいのが来たわね」
「アイスブロック」と言う声が聞こえたかと思うと、ザイコスキー船長や海賊たちは一瞬で氷になった。
助かったのは、ほのめと勇石神ちゃんだけ。
「危ないところでしたわね」
声がした方を見ると、見知らぬ女の子がいた。
「誰?」
「誰とは失礼ね。
あたくしは海賊専門の退治屋の氷狩《ひかり》と申しますわ」
「海賊専門退治屋?」
「有名な職業なんですのよ?」
「知らない‥‥」
「とにかく、海賊から逃げますわ」
「どうやって?」
「氷の上を渡るのよ」
「渡れるの?」
ほのめは実は、深海恐怖症で、例え氷だとしても水上はこわい。
「こわいなら、おぶりましょうか?」
女の子におぶられるくらいなら‥‥
「自分で歩くよ」
船から降りて、氷の上を歩くとか割れる音がするので怖かったけど、陸まで来ればあっけないものだった。
「さあて、任務の報告ですわ」
「任務?」
「当たり前よ。これは仕事でやっているんですわ」
氷狩、勇石神、俺の三人で街へ向かった。
海賊の生活から離れられそうだけど、次は何が待っているんだろう?
男のしてのプライドは最初から持っているつもりはなかったけど、そこまでされてしまうと、本当に女の子かのようになった気分だった。
「勇石神ちゃん」
俺は最近、姉さんのことを名前で呼ぶようにしてる。
海賊たちは、ほのめのことは呼んでくれても、姉さんのことは「何なのかわからない」「近付いたら感染するかも」「襲われるかも」という理由で避けていくので、誰も姉さんの名前を呼びやしない。
勇石神ちゃんは首を縦にふる。
最近、勇石神ちゃんは上手く喋れないと自分でもわかって以来、ジェスチャーが増えた。その代わり、あまり言葉を発したりはしなくなった。
「来たぞー、海賊専門退治屋だー」
海賊たちが騒ぎ始めた。
「まずいわ、ほのめちゃん、逃げてちょーだい」
「何が起こって‥‥」
「海賊専門の退治屋よ。
説明している時間はないの」
「船長、逃げ場はどこにもありません」
「そんなことないわ」
「あるんです!
水が凍ってしまいました」
船の外を見ると本来、水のところは氷になっていた。
「氷になるってことは、まずいのが来たわね」
「アイスブロック」と言う声が聞こえたかと思うと、ザイコスキー船長や海賊たちは一瞬で氷になった。
助かったのは、ほのめと勇石神ちゃんだけ。
「危ないところでしたわね」
声がした方を見ると、見知らぬ女の子がいた。
「誰?」
「誰とは失礼ね。
あたくしは海賊専門の退治屋の氷狩《ひかり》と申しますわ」
「海賊専門退治屋?」
「有名な職業なんですのよ?」
「知らない‥‥」
「とにかく、海賊から逃げますわ」
「どうやって?」
「氷の上を渡るのよ」
「渡れるの?」
ほのめは実は、深海恐怖症で、例え氷だとしても水上はこわい。
「こわいなら、おぶりましょうか?」
女の子におぶられるくらいなら‥‥
「自分で歩くよ」
船から降りて、氷の上を歩くとか割れる音がするので怖かったけど、陸まで来ればあっけないものだった。
「さあて、任務の報告ですわ」
「任務?」
「当たり前よ。これは仕事でやっているんですわ」
氷狩、勇石神、俺の三人で街へ向かった。
海賊の生活から離れられそうだけど、次は何が待っているんだろう?
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる