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番外編 山賊に愛されて

第7話

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  僕は、水の中でも苦しくなかった。息もできる。

 やっぱり、僕は異世界出身なのかもしれない。



 氷狩に殺された人々が僕の夢に出てきた。

 だい巨の兄、千羽だいら。

 るら水の従姉妹、炎《えん》か。

 炎道ほのめ。

 空賊専門退治屋たち。

 海賊専門退治屋たち。

 僕の実の父さん。(何で、浮気なんかしたんだと怒りが涌き出てくる)

 ヤンス、タンパニー、ザイコスキー。



 氷狩、僕、だい巨、だいら、四人とも誕生日は違うけど、同い年のきょうだいだった。



 だいらとだい巨の母は、人間世界出身だった。

 つまり、ハーフということになる。



 僕は、夢から覚めた。



 ここから抜け出して、街の人々やだい巨を守らないと‥‥。

 どうしたって、氷狩の方が強い気がするけど‥‥。



 僕が泳いで、陸に上がった。

 寒い。服も髪も濡れている。



 雪、雪、どこも雪。



「遅かったんですのね」

 後ろに

「氷狩‥‥」

「街や、山賊専門退治屋も、だい巨も、だい巨の両親も殺しましたわ。

ただ、全員この街にいなかったのが、タイミングが悪かったですが‥‥」

「いつまでやるの?」

「もう、目的も果たしましたし、世界も三つ占領しましたし、土地が広くても使いきれませんし、やることがなくなりましたわね。

異世界はまだありますが、これ以上欲しくないですわね。

山賊専門退治屋、空賊専門退治屋、海賊専門退治屋、みんなやってしまいましたし、雑魚《ざこ》職業をなくそうとか思えませんから。

同じ浮気相手の子ども、つまり、あたくしの異母姉弟も近くにいますし、らい様を手にいれましたわ」

「君の物にならない。

僕は、ヤンスだけを愛するから」

「嫌ですわ。死んだ方を愛するのは、亡霊を愛しているようなものですわよ。

ですけど、あたくしから逃げきれるんですか?

それとも戦うのですか?」

「言うまでのことでもないよね‥‥」

 僕は、雷を放出させた。

 いつの間にかこんな技を使えると、自分でも驚いたけど。

 だけど、氷狩は避けてしまった。

「いつの間にか覚醒してしまったのですわね。

してしまったのは、しょうがないですわ」



 氷狩が僕を凍らそうとしたけど、雷の力で氷が砕けた。



「あたくしは、氷と炎のハーフですわよ。

その意味はおわかりですか?」

「わからない‥‥」

 氷狩の全身から炎が出た。

「氷ですが、炎の対抗もできてしまいますし、無敵なんですのよ」

 僕は全身が暑くなるくらい燃えた。

 僕、死ぬのかな?

 まだ若いのに。

「雷では、炎に対抗できませんわよね?」

 だけど、僕から氷が出て、火傷を追うことなく炎を消し去った。

「氷もつかえるんですのね。

ですが、解決になってませんわ。

氷は、氷でも強い炎であれば‥‥」

「待つんだね」

 声のした方を向くと、るら水だった。

「るら水様」

「従姉妹をよくも‥‥」

「殺す理由も目的も存在しませんわね。

るら水様、あなたの体がほしいんですのよ」

「何を言って‥‥」

「まず、魂を抜き取らせていただきますわね」

 るら水の体と氷狩の体が一瞬でくっついて、氷狩がるら水の姿に変わっていった。

「この体を欲しかったんですわ。

水の使い手にもなれましたし、Aの65という貧乳になれましたし、体も142、9センチと小柄になれましたわ。

この体がずっと欲しかったんですわ。

あたくしの理想の体を手にいれましたわ」

 るら水の姿で、氷狩と同じことを話す。

「13歳という若い体も手にいれましたわ」

「るら水は‥‥?」

「魂だけにしか抜き取って、体だけ残して手に入れましたわ。

るら水様は死んだも同然ですわね」

 僕は、こわくなった。

「この体は見た目的に10歳前後ですわね。

人間世界で悪さもできますわね」

 僕は死に物狂いで逃げた。

 だけど、水の中に?シャボン玉の中にいた。

「雷も、氷も、シャボン玉の中にいると不利ですわね。

るら水様の技を使わせていただきましたわ」

「僕をどうするつもり?」

「警戒しすぎですわ。

禁断の罪なる近親恋愛をしたいんですわよ」

「冗談がきつい‥‥」

「あたくしは、ご冗談なんて申しませんわ。

らい様、やっと見つけましたわよ。

ずっとそばにいましょう」

 嫌だ。

 だけど、氷狩がこわくて何か言えそうになくなった。
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