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番外編 海賊に愛されて

第6話

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 次の瞬間、氷狩さんは、勇石神ちゃんに命じて、海賊たちやザイコスキーも含めて、勇石神ちゃんは食べた。

 海賊がいなくなったことに喜ぶ人もいれば、勇石神ちゃんをこわがる人もいた。 

 俺はこわがる方だった。



 氷狩さんは恐ろしいものになった。

 勇石神を鬼族の村に連れていかせ、鬼族の数を繁殖させた。

 海賊嫌いの人を集め、海賊専門退治屋を強化して、海賊が生きづらい世の中になった。

 海賊を死刑にする法律までできた。

 つまり、見つかったら死刑になる。

 鬼族を日常的に飼う人が増えてきた。

 そしたら誰も海賊になりたくはないだろう。



 ほのめは氷狩と結婚させられ、沢山の子どもを産んだ。

 氷狩は体が丈夫なので、子どもを沢山産んでも大丈夫らしい。

 当然、鬼族と人間のクォーターになるので、鬼族で生まれた子どもを鬼族の村に住ませ、数を繁殖させた。

 人間で生まれた子どもには、おばのところ(母の姉)のところに連れていき、王女や王子にしたり、おじ(父の弟)のところに連れていき、お坊っちゃまやお嬢様にした。

 こうして、人間よりも鬼族が多い世の中になった。

 この場所は、時間の流れが早いとか、遅いとか聞いたことがある気がする。どっちなんだか。

「ずっと一緒にいましょうね」

「ここから出してよ」

 ほのめは監禁されている。

 檻から出られない。

「あなた様はあたくしだけのものなのよ。

あたくししか見えないようにしましたわ」

「子どもはあとどのくらい作るの?」

「死ぬまでよ」

 どうしてここまで海賊を嫌うの?

「運命の人を見つけましたわ。

あたくしはほのめ様が大人になるところを見たいんですの」



 世の中、鬼族と人間の混血が増えた。

 残酷だ。

 氷狩は何者なんだろう?

 氷狩は家族とは絶縁をしているらしいし、氷狩は嘘をつくから、どこまでか本当かわからなくなった。

 この世界は救えない。 

 もし、他に異世界があるなら、こんな残酷な世界を作らないでくれ。

 どんなに美人で巨乳でも、氷狩みたいなやつがいるかもしれない。

 俺は、自分の名前も氷狩の名前も言わないことにした。

 その名前は、氷狩を喜ばせるから。

 

 氷狩は氷の力で、この世界と海を凍らせた。

「これで、この世界はあたくしだけのものですわ」

 氷狩は異世界をひとつ征服した。

 海賊が誰かを探っては凍らせてコレクションにする、鬼族に食べさせるなどをした。

 鬼族は数が多いため、つねにお腹を空かせている。

 これなら、海賊に愛されていた方がまた良かった。 

 願いが叶うならどうか、誰か氷狩を止めてください。
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