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番外編 海賊に愛されて

第5話

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 そろそろ決着をつけないと。

 海賊専門退治屋が終結する。

「手加減するつもりはありませんわ」

 氷狩さんが剣を構えた。

「あの‥‥氷狩さん」

「何かしら?」

「氷狩さんって好きな人いるんですか?」

「そうゆうことを聞くってことは、あたくしのことが好きなんですのね」

「いや、そうゆうわけじゃなくて‥‥」

「そうゆうわけってわかってしまうのよ。

誤魔化すならもっと上手に誤魔化してほしいですわ。

子どものすることは、どうしてこんなにわかりやすいのかしら?」

「氷狩さん‥‥」

「あたくしも、ほのめ様が今まで出会った男の人の中で一番いいと思っていましたわ」

「それってつまり‥‥」

「お子さまにはわかりにくい表現をさせて下さい。

あたくしはあなた様とあなた様の家族を救いたいと思いますわ。

死んだ方を生き返らすことはできませんが。

ザイコスキー様がどんなにあなた様を奪おうとしても、あたくしは奪い返しますわ。

あたくしにはほのめ様しかいないと思いましたから。

だから、世の海賊みんな排除しますわ。

海賊なんていなくなればいいんですの。

あなた様とあたくし、未来の子どもさえいればいいんですのよ」

 勇石神ちゃんが構える姿勢で現れた。

「勇石神ちゃん」

「勇石神様には申し訳ありませんわ。

勇石神様の体を調べさせてもらいましたわよ」

「調べたの?」

「遺伝でしたわね」

「遺伝?」

「つまり、誰か家族に異世界出身者がいるんですのよ」

「誰が?」

「それはわかりませんわね。

つまり、勇石神様は人間とのハーフですわよ。

あなた様がハーフのうち人間になりましたわね。

あなた様は双子ですか?」

 勇石神ちゃんが人間とのハーフ?

 勇石神ちゃんは人間だったはず、両親も普通で。

「双子だけど、誕生日が違う」

「双子によくあるんですのよ。

片方は人間になりますの。

ちなみに、あなた様と勇石神様血液型は?

ご両親でAB型はいらっしゃらなかったですか?」

「母がAB型で、俺がB型、勇石神ちゃんがA型」

「やっぱりですわ。

A型かB型、どちらかが人間で、やはり母が異世界出身者なのかもしれませんわね」

「そんなことは‥‥」

「現に起きていますわ。

ちなみに勇石神様の身長は?」

「140センチだけど‥‥」

「141センチ未満ですか?

140てん、いくつですか?」

「低くて140、8で、高くても140、9」

「ギリギリ当てはまるかもしれませんわね。

そうゆう種族は150センチ未満ですのよ。

人間世界で言う低身長症です。

母の身長は?」

「高くても140、7センチ」

「異世界出身者なら、ともかく人間世界でこれだけ低いのは問題ですわね。

ちなみに年齢は?」

「母がわかんなくて、勇石神ちゃんが12歳だけど中学一年で」

「女性で141センチ以上越えてないと危険ですわ。

今、12歳何ヵ月でしょうか?」

「12歳11ヶ月で」

「13歳の誕生日迎えたら病院行きですわ。

異世界でもそのくらいなら、何か病気や遺伝子問題を疑いますわよ。

141センチがギリギリ大丈夫のところなのに」

「そうなの?」

「それも知らないとなると‥‥。

まず、ここまでくると人間じゃないですわ。

この世界に鬼族という種族がいましてね、鬼族の女性は141センチ未満ですの」

「ということは‥‥?」

「鬼族と人間のハーフですわ。

戦いが終わったら、鬼族の村に帰さないと」

 そうしている間に、海賊たちが来た。

「来ましたわね。

鬼族と海賊は歴史上戦い続けましたわ。

鬼族と海賊、鬼族の方が強くて、海賊を食べたんですのよ。

海賊専門食肉家とも言われましたわ」

「とすると‥‥?」

「海賊を食べますわね。

海賊が減っているのはそれが原因ですわね」

 信じたくない。

 信じたら、今までの勇石神ちゃんは何なんだ?

 だとしたら‥‥

「誰が両親を殺したんだ?」

「海賊に聞きましょう」

「海賊に?」

「あなた様の家を案内できるってことは、もしかしたら‥‥」

 氷狩さんはこれ以上のことは言わなかった。

 今日こそ海賊たちに聞くんだ。

 両親を殺したのは誰なのか、どうしてほのめをさらったのか、聞きたいことがいっぱいある。
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