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番外編 天罰を受けた者たち
第9話
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タシミ、いつ頃どうしてるのだろう?
俺はそんなタシミが気になったて、探してしまう。 身元不明のタシミを、だけど情報が一切ないのに探してどうする?
まるでストーカーになったような気分だった。
今すぐ謝って‥‥だけど、タシミ怒ってるかな?
いろんな顔のタシミを想像してしまう。
泣くのかな?怒るのかな?受け入れてくれるのかな?
タシミ‥‥タシミ‥‥俺は心の中でそう呟き続けた。
失恋も耐えられないけど、遠距離恋愛も耐えられない。
タシミは俺に内緒で浮気しているんじゃないかって不安になってくる。
俺がタシミの前からいなくなってどのくらいたったのだろう?
とにかく今はタシミを探して見つけるんだ!
いた!タシミ‥‥!タシミ‥‥?
間違いない。あの異常なくらい背が高くて、黒人のように肌がくろいのはタシミだ。
だけど、タシミは泣いていた。
意気地なしだ。
泣いているタシミを励まそうとか思わないのか?
思っていても、自分からタシミに話しかける勇気がなかった。
今すぐ飛び出して抱きしめたいよ。
「カルキ‥‥」
タシミ? なぜ、俺がいることにきずけた?
「カルキだね」
タシミは嬉しそうに俺に飛びついてきて、俺はバランスを崩して、タシミを上にしてあお向けに転んだ。
「会いたかった‥‥今までどこに行ってたの?」
「迷子で‥‥」
俺はなんてことを‥‥!
天罰の件はどうした?
だけど、俺の特異体質の件をタシミに話す勇気はなかった。
誰にも語ったことがない特異体質。
俺の体がどうなっているか、ラストリー、ユウヅキ以外は知らない。
俺は隠しているんだ。
そしてあの二人も多分まわりに隠している。
俺たち三人は性格も違うし、考え方も違う。
ただ三人の共通点があるとしたら、秘密主義。
その性格のせいで、まわりに情報を共有したがらない。
俺も秘密を持ってる。
天罰によって水を飲まれた結果どうなったか‥‥
なぜ天罰を受けることになったのか、誰に天罰を与えられたか、語らなきゃいけない。
語らなきゃいけないのに、口は動かない。
天罰に口封じとかもないし、喋ろうと思えばいくらでも喋れるはず、だけど、こわい。
秘密を知られてしまうのがむしょうにこわい。
「カルキ‥‥?」
タシミが不思議そうな顔をしていた。
「タシミ‥‥」
誤魔化したい。
そうだ、何か喋ろうとしたらキスをすればいい。
キスをして何も喋らせなければいい。
だけど、タシミを上にのせての仰向けの俺はキスなんて難しい状況を作られていた。
「ごめんな、今まで心配をかけて‥‥」
「カルキ、何か隠してるね」
‥‥!
タシミ、もしかしてきずいた?それともきずいてるの?
「カルキ、僕たち恋人同士なら本当の子とを言ってよ」
その様子だときずいてないようだね。
なら、適当に誤魔化せばいいや。
「隠すことなんてあると思う?」
「ある。カルキ、隠し事あると自分から現れないから」
そうだっけ?
「しばらく迷子で帰ってこないから、タシミ怒ってるかな?って」
「嘘つき」
何でわかるの?
「カルキ、そんなわかるような嘘ついちゃだめだよ」
「‥‥‥‥‥‥」
もう本当のこと言うしかない。
どんな反応がこようと知るもんか。
「俺は天罰を受けた者の一人だ」
「天罰?どうして天罰なんか?」
「儀式に参加したから‥‥」
「儀式?」
「天罰をくだす儀式があってな、水を飲まされたんだ」
「水を飲んだくらいで天罰になるの?」
「天罰のための濁ったまずい水を用意されるんだよ。断る勇気もなく、それを飲んだ‥‥」
「どうなったの?」
「二回目だからな。一回目はタシミと付き合う前の話で、二回目はここ最近」
「どうして二回も?」
「実験だよ。俺は親に売られたんだ。儀式っていうのは親の許可が必要だ。一回目が父親で、二回目が母親。俺は両方から騙されていたということになる」
「水を飲んでその後は‥‥?」
「水と一体化する体質になった。つまり、お風呂とか一緒に入れない。ずっと水ってわけではないから、戻るけどな」
「それだけ?」
「他にあるとしたら、もう三回目はない。三回目からは人に被害をもたらすようになる」
「そんな‥‥!どうして、早く言ってくれなかったの?」
タシミは泣きながら俺にキスをした。
俺も泣きたかったけど、もうすでに泣くことができないから、涙を流さない上で悲しむしかなかった。
俺はどんなに悲しくても一緒に泣くことはできない。
水の天罰は涙を奪ってしまう。
俺にも泣ける日がくるのかな?
一回目の天罰以来俺は泣いてない。
つまり、タシミと付き合ってる間、タシミの前で一回も泣いたことがないということになる。
俺はそんなタシミが気になったて、探してしまう。 身元不明のタシミを、だけど情報が一切ないのに探してどうする?
まるでストーカーになったような気分だった。
今すぐ謝って‥‥だけど、タシミ怒ってるかな?
いろんな顔のタシミを想像してしまう。
泣くのかな?怒るのかな?受け入れてくれるのかな?
タシミ‥‥タシミ‥‥俺は心の中でそう呟き続けた。
失恋も耐えられないけど、遠距離恋愛も耐えられない。
タシミは俺に内緒で浮気しているんじゃないかって不安になってくる。
俺がタシミの前からいなくなってどのくらいたったのだろう?
とにかく今はタシミを探して見つけるんだ!
いた!タシミ‥‥!タシミ‥‥?
間違いない。あの異常なくらい背が高くて、黒人のように肌がくろいのはタシミだ。
だけど、タシミは泣いていた。
意気地なしだ。
泣いているタシミを励まそうとか思わないのか?
思っていても、自分からタシミに話しかける勇気がなかった。
今すぐ飛び出して抱きしめたいよ。
「カルキ‥‥」
タシミ? なぜ、俺がいることにきずけた?
「カルキだね」
タシミは嬉しそうに俺に飛びついてきて、俺はバランスを崩して、タシミを上にしてあお向けに転んだ。
「会いたかった‥‥今までどこに行ってたの?」
「迷子で‥‥」
俺はなんてことを‥‥!
天罰の件はどうした?
だけど、俺の特異体質の件をタシミに話す勇気はなかった。
誰にも語ったことがない特異体質。
俺の体がどうなっているか、ラストリー、ユウヅキ以外は知らない。
俺は隠しているんだ。
そしてあの二人も多分まわりに隠している。
俺たち三人は性格も違うし、考え方も違う。
ただ三人の共通点があるとしたら、秘密主義。
その性格のせいで、まわりに情報を共有したがらない。
俺も秘密を持ってる。
天罰によって水を飲まれた結果どうなったか‥‥
なぜ天罰を受けることになったのか、誰に天罰を与えられたか、語らなきゃいけない。
語らなきゃいけないのに、口は動かない。
天罰に口封じとかもないし、喋ろうと思えばいくらでも喋れるはず、だけど、こわい。
秘密を知られてしまうのがむしょうにこわい。
「カルキ‥‥?」
タシミが不思議そうな顔をしていた。
「タシミ‥‥」
誤魔化したい。
そうだ、何か喋ろうとしたらキスをすればいい。
キスをして何も喋らせなければいい。
だけど、タシミを上にのせての仰向けの俺はキスなんて難しい状況を作られていた。
「ごめんな、今まで心配をかけて‥‥」
「カルキ、何か隠してるね」
‥‥!
タシミ、もしかしてきずいた?それともきずいてるの?
「カルキ、僕たち恋人同士なら本当の子とを言ってよ」
その様子だときずいてないようだね。
なら、適当に誤魔化せばいいや。
「隠すことなんてあると思う?」
「ある。カルキ、隠し事あると自分から現れないから」
そうだっけ?
「しばらく迷子で帰ってこないから、タシミ怒ってるかな?って」
「嘘つき」
何でわかるの?
「カルキ、そんなわかるような嘘ついちゃだめだよ」
「‥‥‥‥‥‥」
もう本当のこと言うしかない。
どんな反応がこようと知るもんか。
「俺は天罰を受けた者の一人だ」
「天罰?どうして天罰なんか?」
「儀式に参加したから‥‥」
「儀式?」
「天罰をくだす儀式があってな、水を飲まされたんだ」
「水を飲んだくらいで天罰になるの?」
「天罰のための濁ったまずい水を用意されるんだよ。断る勇気もなく、それを飲んだ‥‥」
「どうなったの?」
「二回目だからな。一回目はタシミと付き合う前の話で、二回目はここ最近」
「どうして二回も?」
「実験だよ。俺は親に売られたんだ。儀式っていうのは親の許可が必要だ。一回目が父親で、二回目が母親。俺は両方から騙されていたということになる」
「水を飲んでその後は‥‥?」
「水と一体化する体質になった。つまり、お風呂とか一緒に入れない。ずっと水ってわけではないから、戻るけどな」
「それだけ?」
「他にあるとしたら、もう三回目はない。三回目からは人に被害をもたらすようになる」
「そんな‥‥!どうして、早く言ってくれなかったの?」
タシミは泣きながら俺にキスをした。
俺も泣きたかったけど、もうすでに泣くことができないから、涙を流さない上で悲しむしかなかった。
俺はどんなに悲しくても一緒に泣くことはできない。
水の天罰は涙を奪ってしまう。
俺にも泣ける日がくるのかな?
一回目の天罰以来俺は泣いてない。
つまり、タシミと付き合ってる間、タシミの前で一回も泣いたことがないということになる。
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