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番外編 狙われし者~恋する乙女な団長を助けるために~

第2話

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 幼馴染は、私の部屋にあがりこんでは、私の本を読む。
「面白そうだな」
「ちょっと、許可ぐらいとってよ」
「いいじゃん、そのくらい」

 ルイタは、私に対して、昔から遠慮がなかった。
 今もそう。本は勝手に読むし、読まないのは恋愛小説くらいかな。
 本にしおりを挟んでいても、ルイタは気にせずに本を開くから、これでしおりがとれて、どこのページまで読んだかわからなくなったら、どうするつもりなのだろうか。
 
 大人になった今も、ルイタとの仲は続いている。
 私としては、その方がいいのだけども、ルイタは私を幼馴染としか見てくれないのが少しさびしいというか、悲しい感じがした。
 もしかしたら、ルイタはそのうち、私のことを意識するんじゃないかと待ってみても、一向にその様子がなかった。
 
 私は好きでも、ルイタが意識してくれることはなかった。

 ルイタは両親がいなくて、母方の祖父に育てられたらしいけど、
 私は両親がいなくて、父方の祖父に育てられた。
 この共通点もあってか、最初は自分の祖父の話で盛り上がった。

 私は本当の両親のことを知らないし、記憶にもなかった。
 私が5歳の頃に、両親は姿を消したらしいけど、両親がいたことは憶えていたけれど、どうゆう人かまでは憶えていなかった。
 
「その本、返してよ。私、まだ読んでいる途中なの」
「えー、僕もまだ読んでる」
 これが部下だったら、今頃本気で怒っていただろうけど、幼馴染に対しては甘い私だった。
 何でも許せてしまうし、こうゆう人なんだなってわかりきってしまっているから。
 
 11年前から、何も変わっていない気がする。
 
 ルイタは、今は母方の祖母と暮らしているらしい。 
 どうゆう経緯でそうなったかは、幼馴染の私でさえも知らない。
 ルイタの母方の祖父母は、数十年前に離婚しているらしい。
 理由はルイタも聞かされていないため、私も知らないとなる。
 別に、人の家庭事情なんて知ったところで、どうしようもできないけれど。

 幼馴染だからって、何でも知っているわけではなくて、知らないことも多かった。
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