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番外編 ベッドの上の花婿

第3話

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  俺は、李《り》 守羽《しゅばね》。

  炎トを誘拐し、
  雷呼をおびき寄せ、
  殺してから、
  顔コレクションにしようと思っていた。

  二人とも呆気なく、息が止まった。  
  首で脈を確認しても、感じなかった。

  いつから、僕は狂ってしまってんだろう?

  俺の過去の話をしてもいいけど、その代わり覚悟はできてるかい?
   今度は自分の番だってさ。

  俺は父親が中国人で、母親が日本人だった。
  そして、親父は何人もの女性と肉体関係を持ち、
  その中の一人が、僕のおふくろだった。

  親父に、おふくろのお腹に俺がいるという報告をして、次の日はどこかに姿を消した。

  それからは、僕をおろすことができずに、そのまま女手ひとつで育てることとなった。
   それまでは、いいというわけではないけど、そこまで悪くはなかった。

   2歳の頃に、おふくろに再婚相手ができた。
  おふくろは、妊娠していた。
  僕に妹か弟ができると楽しみにしていたところだけど、俺は邪魔だからと家を追い出されることになった。

  幼い僕は、ただひたすらに泣くことしかできなかった。

  おふくろとどんなふうに過ごしたとか、
  明確な記憶はないけれど、
  自分を捨てたということだけは忘れていない。
  
  なぜ、この記憶だけが残ったのかはわからない。

  次は親父に拾われた。
  拾われた経緯についてはよく憶えていないけど、
  僕が外で泣いているところを目撃して、
  拾った気がする。

  俺は6年もの間、鎌や銃、ハサミなどいくつもの武器を扱うヤクザの父親の元で育った。

  だから、小さい頃から武器を扱うことができる。

  だけど、僕は6年で素質がないと捨てられた。
  幼い僕は、体の大きい大人に勝つことすらできなかったから。

  そして、親父の正妻のお腹には、既に新しい命が宿っていた。
   お腹にいる赤ちゃんの性別はわからないけど、俺は用済みの扱いだった。
  

   僕は実の親から、人類の不老不死の成功のための実験を行う研究所に送られた。

 俺はその実験のせいで、何の種族かわからない人間になった。

 不老不死と言えば、バンパイア、ゾンビ、鬼の遺伝子を組み込むとか。

  エルフは寿命が長いとか、老化が遅いとかで、僕をエルフにするための実験もあった。

 実験に実験を重ね、俺は驚異的な力を得るようになり、研究所を破壊した。
 もちろん、研究所の人間も殺した。

 同じ実験対象にされている人間は、暇つぶしに殺した。
 僕は幼い頃から、人を殺していく大人を見ているせいか、人殺しには躊躇がなかった。
  
  顔コレクションにはまったのは、研究所を抜け出して、青い髪の女の子に一目惚れしたことがきっかけだった。
  青い髪と青い瞳の女の子は、殺し屋の娘で、人を殺して、顔だけを集めた顔コレクションと少女漫画集めを趣味としていた。
  彼女の部屋にはいくつか、顔コレクションと少女漫画があった。

 その子は父親が殺し屋一族で、母親が少女漫画家だった。
  青い髪の少女と付き合い、婚約まで行きつけたのだが、その前に病気で亡くなってしまった。

  だけど、俺は死んだあの子のために、一流の顔コレクションを集める殺し屋と、少女漫画を目指すよ。

 これは、いい思い出だな。

 そんな思い出に浸っていると、どこからか沢山の警察が家に来た。

  そんな僕もどうしてだがわからないけど、警察に捕まり、今は死刑になった。
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