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番外編 ベッドの上の花婿

第2話

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 僕は、ベッドに縛り付けられていた。
 鎖で、手足を縛りつけられていたんだ。

 布の猿轡も、噛まされていた。
 これは、舌を噛まないための対策なのだろう。

 布の色は、確認できないな。

 部屋には何もないし、窓もない。
 だけど、この少ない情報だけで、なんとなく察したんだ。

 僕は「ベッドの上の花婿」に選ばれたんだ、と。
 この村では、誰がベッドの上の花婿に選ばれるのか、わからない。
 
 雷呼が助けに来てくれるのを、待つしかないかもしれない。
 本人は自覚があるのかどうかはわからないけど、かなりの怪力の持ち主だから。
 
 僕の予想が正しければ、あの後に死神が現れるはずだ。
 囚われていても、別に命に別状はないとは思っている。
 だけど、これは正確な情報ではなく、噂でしかない。
 
 しかも、僕の推測が正しいという根拠はない。
 本当に強盗なら、口封じに殺されるということも考えられる。

 そんなことを考えているうちに、足音がしてきた。
 うまく表現はできないけど、今まで聞いたことのないような足音だった。

「大好きな炎トちゃん」
 死神のような格好をしていて、フードで顔を隠している。
 だけど、耳からは鈴の耳飾りが見えた。

 声は、静かな男の人の声だった。

「お兄ちゃん」
  この声は、雷呼!?

  雷呼が、僕のところにかけつけようとしたが、死神が鎌で刺そうとした。
 だけど、雷呼は鎌を素手で壊した。

   ほっとしたのも束の間、これで終わりではなかった。
   死神が銃で雷呼のことを何発も撃ったんだ。

   雷呼は、その場に倒れ込んだ。
   倒れ込んだまま、動かなかった。

「これで、顔コレクションができあがるね」

  何をしようとしているんだ?
  僕には、予測がつかなった。

  雷呼の悲しみよりも、今ここにいることの恐怖の方が強かった。
 
   次の瞬間、僕は鎌で腹を刺されて、意識を失った。
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