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番外編 戦うサファイア

第11話

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 あたしは、友達を一人失った。
 なんで?

「サファイア」という紙切れしかなかったとう話は聞いていた。
 サファイアがどうだが知らないけど、
 友達を返してよ。

 犯人がわかってないので、親戚だけを集めた小さなお葬式となったらしい。
 友達の一人は、児童養護施設の子なので、施設の子供や職員も被害にあったらしい。
 友達は、父親がだれだかわからず、母親は浮気を繰り返す人で、
 子供を置いて遊びに行くこともあったらしい。
 高校は言っていない。中学三年生の時に生まれた子供だから。
 友達の呼び名はしーちゃん。

 しーちゃんは、社交的で明るいけれど、どこか悩みを抱え込んでしまう女の子。
 施設ではおなか一杯に食べることが難しいため、低身長だった。
 成長ホルモン注射を打たなくてはいけないほど、背は低くくなかったけれど、
 注射を打たなくてはならなくらいの基準はぎりぎりだった。

 どんなことしたって、今のあたしには、どうすることもできない。
 あたしは、しーちゃんを救えない。
 救えないものは、救えないの。


 あたしにできることなんて、サファイアを恨むことだと思う。

 そういえば、古本屋で、「戦うサファイア」という題名の漫画や本も見た気がする。
 たしか、映画化やアニメ化、ドラマ化もしたと聞いた気もする。

 来週からは、戦うサファイアが再放送するって、テレビのCMでやっていたな。
 あたしは、戦うサファイアを見るようになり、はまった。

 クラスでも、戦うサファイアが流行るようになっていた。
 女の子でも、男の子でも、楽しめる内容だった。

 戦うサファイアの人気が復活して、
 戦うサファイアのグッズも販売されるようになった。

 あたしの誕生石は、サファイアだった。
 だけど、サファイアと聞くと、友達のしーちゃんを思い出す。
 今、考えれば、本当にサファイアがやるとは考えにくい。
 自分の本名を名乗りたくないから、サファイアのせいにしたいとしかおもえなかった。


 あたしは、友達と泊まるようになって、
 友達の家は、家中が、サファイアなんてこともあった。
「親が、サファイア好きなの」

 友達のさーちゃんは、家がお金持ちだった。
 だから、宝石とかも買うことができる。
 父親が専業主夫で、母がバリバリのキャリアウーマン。

 祖父母も働いているので、さーちゃんは裕福でいられるし、
 さーちゃんは末っ子で、
 お兄ちゃんは大手企業の社長で、
 お姉ちゃんは世界的にも有名なファッションデザイナー、
 だから、さーちゃんは一生働かなくてもいいし、
 私立の小学校も行かせられるけれど、
 さーちゃんが勉強が好きでないため、塾にも行ってないし、公立の小学にしているとのこと。
 だから、さーちゃんが公立の高校受験が落ちた時に、
 私立の高校に行けるようにしようという話になっていると聞いた。
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