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番外編 美属性軍隊

第1話

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 うちは、力瑚《りこ》。
 中学三年生。
 女の子で名前に「力」という漢字が使われるのは珍しいかも。
 しかも、子どもの「子」という漢字ではないけど、この名前は嫌いじゃない。

 今はや、受験シーズン。
 どうしようかな、中卒で働くか、高校に行くか、進路が決まりそうにはない。

 可愛い制服はいっぱいあるし、私服もある。恋もしたいしなあ。
 うちは中学で恋をしたことがないから、高校で彼氏作りを考えていた。
 恋愛対象になるようなかっこいい男の子は同級生にはいないからね。
 何故同級生に限定するかって?
 うちは中三だし、先輩はこの学校にいなくて、みんな後輩。
 年下となんて考えられない。

 一番好きな色は赤。
 二番目に好きな色は白。
 三番目に好きな色はピンク。

 だから、色を選ぶ時は優先的に赤で、その次は白、それで、ピンク。
 問題は、ピンクも白も赤もないときに迷うよね。

 私がいいかなって思う高校はリボンとかスカーフとかネクタイがあったりするけど色が、青だったり、黄色、茶 色、黒、緑だったらするの。
 どの高校にするか決まんないね。

 夏休みを利用して、高校見学に行った方がいいかな?
 もちろん、友達と。

 家に帰れば、またママが男の人を連れて来ていた。
「おかえり」
「はじめまして」
 「はじめまして」
 挨拶されたからうちも挨拶した。
 今回は礼儀ある方かも‥‥。

「この人は、彼氏よ」
「彼氏って‥‥?」
「今日できたの」
 付き合ってその日に家に招くのも、ママらしい。

 うちは自分の部屋で勉強にとりかかる。
だけど、体が疲れているのか寝てしまった。

 不思議な夢を見る。
「お願い、守って」
「守るって何を?」
「やつらから」
 主語も述語もはっきりしてない。
何をどうしてほしいかも伝わってこない。
「奴らの狙いは‥‥」

 うちは夢から覚めた。
 どうゆうわけかわからないけど、続きが気になる。

 キンキン キンキン
 何か音がする‥‥。何の音だろう?
 ベッドから起き上がり、カーテンの隙間からそっと覗いてみた。
 夜だから、暗くてよく見えない。
 影と影が戦っている?まさかね。
 警察ならまだわかるけど、パトカーの音もしないし、きっと気のせいだ。
 うちはベッドに戻り、布団の中に潜った。

 とにかく、何も見てない。
 何も見てないんだ。
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