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番外編 美属性兵隊

第7話

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 磨店が悪いよね。磨店が工夫してやりくりすればいい。
 貯金とかお金の管理なんて簡単でしょ?

 そこで、ピンポーンというチャイムが鳴った。
「美属性兵隊でーす」
 そこで、玄関を開けると、磨店が倒れた。

「動くな、この女のようになりたくなかったらな」

 何なの?この人たちは。

 そして、ウチも意識を失った。
 ウチも、撃たれたのだ。

 そっか、ウチは死んじゃったのかもしれない。
 あっけない人生だったね。
 磨店にもっと感謝しておけばよかった。

 磨店、ごめんね。

 こんなところで、人生終わらしたくない。

 そう、うちは見知らぬ場所で目覚めた。
「がうーーーー」

 ウチは、人間とは思えないような唸り声をあげるようになっていた。
 ウチは、人間ではないのかもしれない。

 人間であった頃の記憶が蘇る。
 ウチは、人間じゃない。

「起きたぞ、美属性兵隊だ」

 まわりにいる人たちが次々と騒ぐ。
 美属性兵隊が何なのか、ウチにはわからないけれど、
 憎しみがわいてきた。
 この世界を呪ってやりたい、壊していやりたいと思うようになっていた。

 ウチは、次々に人を襲った。

 ウチが、いるのは、多分、異世界だと思う。
 ウチは、強い力を持つ美属性兵隊となった。

 異世界で恐れられた。
 本当は人間世界を襲いたくても、人間世界に行く手段なんて知らないのだから、
 異世界にいる人を、八つ当たりだけど、襲うしかなくなる。

 磨店は、どうなったのかな?

 そこで、磨店の墓とお葬式を見つける。
 そう、ウチは美属性兵隊として生きているけれど、磨店は・・・・・。

 復讐するどころか、一番復讐したい相手がいないことに気づく。
 大嫌いで、大好きだった自分のママ。
 いざ、いなくなってみると、悲しい。
 あんなに嫌いでも、憎らしくても、ウチのママだった。

 なんで、こんな幼くして、ウチを産んだという思いがあったけれど、
 こんなに幼くても、ウチを育ててくれた。
 文句も何も言わなかった。
 文句を言っていたのは、ウチの方だったかもしれない。

 ウチは、泣いた。

 そこで、起きた。
「どうでしたか、美属性兵隊の夢は?」
「夢?」
「この夢を再現できるんです」

 そうか、夢。

「なら、ママは・・・・」
「すいません」
「え?」

 磨店が、心臓発作で倒れていたらしい。
 後で聞かされた話だけど、磨店は持病があり、もともと長く生きられない体質だったらしい。

 そう、ママは戻ってこない。
 最後に「ママ」と呼んでおけばよかった。

 若くして、ウチを産んだのは、長く生きられないとわかっていて、
 それでも、母親をやりたかったかららしい。

 ウチは、祖父母と暮らすことになった。

 実は、ママは美属性兵隊で、世界の平和のために戦っていて、
 美属性兵隊は長生きできないらしい。
 そんなの知らなかった。

 ママはいない。
 だから、別の人が美属性兵隊として、世界の平和を守っていくらしい。
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