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番外編 アクアマリン編集部

第14話

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 あの時のオレは、傷ついている老元を慰める手段として付き合うことを選んだ。
 だけど、飽きたんだ。
 病院で入院しているオレは、付き合ったことを後悔していた。

 あざは、時間と共に治るみたいだ。
 両親から、転職や引っ越しをすすめられたけれど、
 オレは滴舟さんという、一人の男から離れたくないという思いから、断った。

 断った?
 このオレが?
 両親の言いなりのオレが?

 両親の反応はこわかった。
 だけど、
「本人がそういうなら、仕方ない。
だが、身の危険を感じるようなら、いつでも言ってくれ。
こうゆう女は、付きまといとか考えられるからな。
少しでも、助けになれればなと思っているが、そのくらいのことでしかできなくて、申し訳ないと思ってる」
「そうよ。困ったときはいつでも言ってほしいの。
子供を守るというのが、親の役目だと思うから」

 両親は、オレの言うことに反対している様子はなかった。
 この両親はオレをどうしたいのか真偽をつかめないでいた。
 オレを束縛したいのか、守りたいのか。

 親って、世の中そうゆうものなのだろうかとさえ感じるようになっていた。
 
 両親は心配だという理由で、マンションかアパートに引っ越して、
 住所を変えようという話をしたいた。

 オレたちの家は、賃貸なので、引っ越すことは難しくなかった。

 オレは、滴舟さんの近所を考えていたけれど、
 あそこは開きがなかったとのこと。

 結局、賃貸のマンションに引っ越すこととなり、
 オレが四階に住み、両親は三階に住んだ。

「そろそろ、一人暮らししてもいいんじゃないかしら?
 家事とか、お金の使い方とか、いまのうちに慣れた方が、老後は楽になるわ」

 オレの新生活は始まった。
 引っ越しの手続きは両親がしてくれて、
 オレは退院後に、その家に住むことになっていた。

 オレはなんとか病院を退院できたけれど、
 両親の後遺症が心配という理由で、定期的に接骨院や整形系外科に通うことをすすめられた。

 最初はオレも、家事なんて何をどうするのかわからなくて、
 よくアドバイスを親からもらっていた。

 料理なんてどうするのかわからなくて、
 スーパーやコンビニでお惣菜を買ってきたほうが早いように感じたけれど、
 そこは両親に反対され、
 失敗しながらも、料理とかを頑張ってみた。

 卵の割り方でさえも、知らなかった。
 ピーマンの中に種があることも、知らなかった。

 一人暮らしは、想像しているよりも大変だった。
 まず、仕事帰りに家事をすませる形となってしまう。

 掃除なんて、どうすればいいのわからなかった。
 母親は、よくやっていたけれど、慣れていないオレができるとは思えなかった。
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