異世界勇者～それぞれの物語～

番外編 アクアマリン編集部

第8話

 これは、滴舟さんと出会う前の話。
 
 はたからしたら、平凡かもしれない。
 だけど、オレは加害者の孫。
 父と母は、結婚の籍を入れてないため、オレは加害者の孫というレッテルを張られないですんだ。
 だけど、身元を隠すだけで精一杯だった。
 加害者の息子の子供、つまり加害者の孫とか、母さんなら加害者の息子の元交際相手とバレたら、一巻の終わりだからだ。
 そう、オレは父親を戸籍で認知されてない母子家庭で育った。

 オレの祖父は、殺人を犯して逮捕された。
 殺したのは、幼なじみ。
 動機は、喧嘩によるもの。

  オレは元々沖縄に住んでた人だったけど、保育園から幼稚園に入園するという理由で、北海道に引っ越した。
 後は、沖縄で母さんの働いていたスーパーがつぶれたということもある。
 こうしてオレは、沖縄の保育園から北海道の幼稚園にうつった。
 
 幼稚園の友達には、知られたくなかった。
 オレが、殺人犯の孫ということ。
 オレが、幼稚園に入園する前は保育園に通っていたことも隠した。言ったら、幼稚園の友達やママ友たちに理由を聞かれそうだったから。
 
 母さんは、殺人犯の息子の元交際相手ということも隠していた。
 何故結婚しなかったかと言うと、父さんが早生まれのために高校三年生の17歳だったから。
 出会いは、同じ高校で、クラスメートだったからとのこと。
 高校を卒業しても、結婚の籍を入れるつもりはなかったらしい。結局、高校を卒業したら疎遠になった。

 ある時、どうゆう経緯かわからないけど、母さんが殺人犯の息子の元交際相手と知られることとなった。
 オレが幼稚園を卒園して、小学校の入学を控えていた時だった。
 そして、オレはわずか6歳で、誰かわからない両親の元へ養子に出された。

 幼稚園とか、保育園のことも言いたくなくなった。
 血の繋がらない両親に育てられるのは、複雑な気持ちだった。
 しかも、正当な取り引きではなく、誘拐と認識していいくらいの不正な取り引きだった。
 母さんの許可はあったみたいだけど…。

  オレは、偽名でやっていくことになる。
 殺人犯の孫であるために、出自を隠さなくてはならないから。

 愛されたい。本当の家族のような温かさや愛がほしい。
 
 オレの両親は、実の父さんが一人っ子だったため、殺人犯の曾孫を産み出さないためにも、女の子との接触を禁じた。
 オレと女の子の間に生まれる子供は、殺人犯の曾孫になるから、殺人犯の血が流れているから。
 だから、小学から男子校に通うこととなった。
 小学、中学、高校、大学、就職先まで両親が決めていた。殺人犯の曾孫を産み出さないために、男しかいない世界へ隔離しようと話し合いで決まってしまった。