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番外編 ガーネット編集部

第8話

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 おれにはできなくて、炎にはできる。
 おれは、大好きな炎に妬みを覚えるようになった。

 炎が妬ましくて、仕方なかった。
 炎が許せない。ガーネット編集部が許せない。
 ガーネット編集部が、おれをここまでおいつめた。

 アクアマリンでさえも、妬ましかった。
 他の雑誌なんてなければ、ガーネットがつぶれることなんてなかった。

 実家に帰りたくない。
 おれは、家に引きこもるようになった。
 心療内科なんて行かないというプライドはあったけれど、炎の提案により、オンラインで受診することとなった。

 医師からいろいろな治療をすすめられた。
 犬や猫を飼うのはどうか。そんなのだれが世話をする。どうせ、おれの金で養っていけるじゃないんだ。
 実家に帰るのはどうか。実家なんて、帰りたくない。

 おれは、何も食べる気力もないし、服なんて二日も同じ服を着ても、気にしなくなっていた。
 おれは、何もかもが嫌い。

 時間が戻ればいいのに。
 そんなこと願っても、天使が現れない。

 おれは、過去に戻れない。
 なぜ、戻らない?
 都合が悪くなれば、過去に戻れるんじゃないのか?

 ダエに言って、過去に戻ってやる。
 そういえば、ずっとダエの姿を見ない。

「君は、かなりの自己中だね」

 ダエが現れた。

「過去に戻りたい」
 おれは、真っ先に口走る。

「それは、無理だよ」
「なぜ?」
「君はなんだかんだ理由をつけて、どうするのか決断しないし、恋人を大事にしないし、自分の名誉を守ることばかり考えてる。
君がうまくいかないのは、君自身のせいさ」
「おれのせい・・・」
「だよ。炎の気持ちを考えたか?」
「炎の気持ち?」
「だよ。君は、居心地いいと理由をつけていたけれど、本当は別れるこわさというか、決断するこわさから、ずるずると何年もひきずる。
だから、恋人と長続きする。 本当は嫌われることがこわい」
「そんなことない」
「そんなことある。 あるから、こうなってる。
実家に帰ってもいいし、炎に頼っていい。
君はどれも跳ね飛ばすってことは、自分のことしか考えていない。
なにか、決断をすることが起きたら、決断しなくてもいい道を作る。
そんな奴が過去に戻っても、同じ。
付き合う人を変えることはできても、君自身が変わらないから、同じことを繰り返す。
なぜ、ガーネットにこだわる?
転職する道も、部署異動の道もある。
それは、君が怖いし、自分の名誉を守りたいから。だけど、それは自己満足でしかない」

 何を偉そうに。
 おれの気持ちなんて、わかっていないくせに。

「君の性格は、過去戻りなんてしたところで、変わりそうにないね」
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