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番外編 ガーネット編集部

第2話

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 やることが大胆すぎるよな。
 夕陽を何故連れて行こうと思った?まず親子のことなんて、おれ達に関係あるかな?
 おれ達を巻き込まないでくれが本音だ。
  
 最近、暁さんの顔に皺ができたような気がするし、腰が痛いとか膝が痛いと言い出した。
「介護に若者の力は必要じゃな」
 介護してほしいのかな?
「暁さん、介護してもらおうとか考えてるんじゃないですよね?」
「わははは」
 笑ってごかそうとしてるな。
 
 暁さんの症状がひどくなるばかりだから、病院に行かせたら、胃がんが判明してしまった。
「じいちゃん、びょうきになってばっかだね」
「まあ、54だからね」
 もう年齢的にいつ、どんな病気にかかろうと不思議ではない。

 暁さんは薬の副作用により、はげてしまった。
 おれは、それでも暁さんを愛してる。
 いつか、病気は治るはず。
 おれの願いもむなしく、暁さんは治ることなく、症状が悪化した。
 治るんだ。信じよう。今までどんな困難でも一緒にいれたし、今回もそうだ。
 まだ54歳だし、そんな年齢ならこれからまだ生きてるよ。
「じいちゃん、死んじゃうの?」
 夕陽め、人が精神を落ち着かせようとしているところを、本当に起こりそうなことを言って不安にさせるんじゃない。

「暁さんら今、何歳か知ってる?」
「100歳」
 「54歳だよ。これからまだ生きていけるよ」
「えー、53歳で、死んじゃう人もいるんだよ」
 ませガキと呼びたくなった。
 本当にそうかもしれないけど、言ってほしくなかったし、きづかないふりをしてほしかった。
  夕陽はどんな教育を受けてる?何故、こんなにも思ったことを述べる?
 母親との喧嘩も思ったことを発言したことが原因で起こった言い合いではないのか?
 子供のやることはどうも未知なる世界だ。
 倦怠期を迎えなくてすみそうだ。
 
  そして、暁さんは亡くなってしまったと言う知らせが医者から来た‥‥。
  いくら何でも早すぎじゃないか?
  おれは呆然としていた。
 あるわけない。医者の言うことは本当なのか?
 
 暁さんのお葬式が行われた。
 暁さんの親戚や息子さんやその家族、娘さんも来ていた。
 暁さん‥‥。
 おれは、この時本当に暁さんが好きと自覚したけど、もう遅い。暁さんはいない。

 夕陽は暁さんの息子さんの所に戻り、おれは引っ越し、暁さんのお墓で一人で毎日拝むようになった。
 失ったものは、もう戻らない。
 来世へ転生できるのなら、もう一度暁さんと一緒になりたい。
 暁さんとは違う性別で生まれることができるなら、結婚して子供がほしい。
 何で神様はおれ達を同じ性別で、生を受けさせたのだろう?
 暁さんが生き返るとか叶うわけないよな。
 
 次に進まなくては。
 暁さんばかり引きずるわけにはいかない。
 もう30代なんだし、次の恋に踏み切らなくては。
 二度と男同士で恋なんかするものか。
 女性と恋をして、結婚して子供だ。
 おれは迷いを振り払って‥‥振り払わなくては‥‥暁さんの思いを立ちきらなくては‥‥。
 暁さんのお墓とかに向かえばまた思い出す。あんな黒歴史は消してしまいたい。

 30代入ると彼女を作ることが難しくなった。
 おれは明らかにおじさん。
 暁さんと付き合う前の若い頃に戻りたいよ。
 この18年間には何の意味があった?人生を無駄にしたかのようにしか思えなくなってきた。考え直す時間なんかいくらでもあったし、別れることもできたはず。
 おれは両親が好きになれなくて、家出するための口実が暁さんだった。
 実家に戻りたくない。だけど、一人暮らしをするくらいの経済力は明らかになかった。
 
 おれは思春期に入り、反抗期を迎えた。なのに、親は私立の小学に行かされた上に私立の中学に行けと押された。
 私立の中学になんか行きたくないし、勉強が好きではなかった。
 私立の幼稚園に行かされたのを、当時のおれは鮮明に憶えていた。
 おれが両親を嫌いになり始めたのは小学六年生の頃で、両親と顔を合わせては喧嘩ばかりしていた。
 両親は大学時代のサークルで出会った先輩と後輩で、母親の方が父親よりも年上だ。 
 大学まで卒業できたが、父親は大学院に試験で落ちたし、母親は受かったものの三年生に進級した頃に、おれを妊娠したために中退した。そのため、おれを父親が落ちた大学院であり、母親が中退した大学院に入学して、卒業させようとおれが小学に入学する前から、躍起になっている。
 もういやだ、こんな生活。
 ここで、おれは父親の紹介により、高校時代の同級生と言う暁さんに出会う。
 おれの一歳年下の弟が再来年に私立の中学、私立の高校、優秀な大学、両親の目指す大学院に入学することになった。
 おれはその時から暁さんと暮らすようになった。
 おれは小学五年生の時から、年上には敬語で話すことや「さん」付けで呼ぶことは教わっていた。
 暁さんと付き合い始めたのも小学六年生の頃で、告白したのはおれだった。当時のおれは男も女も関係なく好きだった。
 そして、公立の中学、公立の高校、大学を卒業したら就職した。

 おれは18年間誰も好きになったことがない。小学六年生の頃からずっと暁さん一筋だった。
 暁さんとずっと暮らしていくんだぐらいだったから。
 明らかにおれは間違った人生を送っている。もし戻れるなら小学五年生の頃に戻りたい。暁さんと出会う前に。
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