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番外編 トルコ石編集部

第5話

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 さて、仕事だ。仕事。
 書類仕事がめんどくさかったし、
売上額とか、業績を知ることにはなるけど、
知っても落ち込む内容か、
仕事がまた増えると頭を悩ますかのどちらかしかない。

 それに、赤字でもなければ、黒字でもない。あの微妙なラインは何なんだ?

 パソコンで、文字をひたすら入力した。
めんどくさいな。さっきからそればかりしか思っていなかった。

 タイピングを打つのは早くないし、
 学生の頃もパソコンを専門としたものをやってなくて、
 いざ卒業してこの会社に入社したら、
 パソコンなどの事務作業に追われた新入社員の頃の記憶を鮮明に憶えている。

 嫌いな仕事ばからやらされている。
 湖の気持ちもわかるようになる。
 好きな道ばかりに歩めるはずもなかった。
 納得のいかないこともあるし、自分で選択できることはあまりにも少なかった。

 パソコンでの長時間作業をやる眠くなるのは、どうしてだろう?

  僕は、湖のことが気になった。
 めんどくさいという理由で、別れてよかったのだろうか?
 自分でも極度のめんどくさがりだとは思うけれど、
 自分の行動が無責任のように感じてきた。

 僕の行動は、責任があるように思えるのだろうか?
 昔から、「責任感がない」と言われ続けてきたような気もするが、
 なんのことが僕には、わからなかった。

 だけど、今ならわかる気がする。
 僕は、無責任そのものだということに。

 めんどくさい。その理由だけで、物事を放棄したくなる。
 めんどくさいから、親との同居をやめる。
 めんどくさいから、彼女と別れる。
 めんどくさいから、塾や習い事をやめる。
 めんどくさいから、結婚しない。
 めんどくさいから、子供を作らない。
 めんどくさいから、買い物しない。
 めんどくさいから、仕事したくない。

 僕は、自分の都合だけで、物事を放り投げた。

 僕に、残るものって何なんだろうか?
 仕事?
 お金?

 どちらにしても、僕にとって大切な人は残らない。

 仕事辞めたい。
 仕事辞めたら、僕は何もしなくなってくる気がする。
 在宅の仕事なんてしたら、僕なら途中で飽きて、全部放り投げてしまいそうだった。

 湖は、僕の前にはもういない。
 束縛されるのはいやだけど、暇なのもいやだった。

 また、合コンに行くか。
 束縛しないような人を選ぶとするか。

 合コンなんて、付き合っても、別れればいいような気がしてくる。

 合コンに向かった。
 いろんな男や、女がいた。
 僕は、珍しいタイプと付き合いたいと思っていた。

 ただ、食べ方がきたない人とは、付き合いたくないな。
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