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番外編 ムーンストーン編集部

第5話

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 僕は、ほっしーと旅行に行くことにした。

 もちろん、有給にしてもらったよ。



 アメリカ旅行だ。

「わーい」

 こどもみたいなほっしー。



「アメリカなんて、行ったことない」

 それは僕も同じだ。



「新鮮な空気を吸っている気がする」

 ここは、地球だけど?

 新鮮な空気って、ここ、空気よかったけ?

 人口の多い地域だから、逆に空気が悪い気がするんだから、

 本人がそれで喜んでいるんだから、黙っておこう。



「つっきー、どこ行きたい?

火山?

病院?

老人ホーム?」

「どこも、デート場としては、ありえないから」



 ほっしーは、天然だな。

 まず、二人でデートしようという話なら、まともなデート場所を提案してほしい。

 例えば、カフェとかならまだわかる。



「じゃあね、どこかホテルとか泊まろうよ」

「そうだな。どんなホテルがいいか?」

「うーん、ピンクのレースで囲まれたホテル」

「どんなホテルだよ」

 そんなホテル聞いたことないし、ネットで調べても載ってない。



「せめて、どんな値段がいいとか」

「じゃあ、1円で」

「そんなホテルがあるか」



「わかった。きちんと提案しなかった僕が悪かった。

どんな設備が用意されているとか、具体性のあるものを」

「ドール人形が設置されているホテル」

「逆にこわいわ、夜中に呪われそう」



 事前にホテル、決めておけばよかったな。

 ほっしーの「向こうに行ってから、決めればいいんじゃない?という言葉を信じた僕がばかだった。



「もういい、僕が決める」

「だめだよ、恋人なんだし、二人で決めようよ」



 まともな提案をしないから、こうなってるんだよ。

 それくらい、わかってくれ。

 だけど、わかってほしいことは言葉にしないと伝わらないのがほっしーだ。



「僕が何を思っているのかわかる?」なんて聞いた際には、

 とんでもな勘違いをする。



 ほっしーは、真面目だが、勘違いが激しい天然だ。

 付き合いが浅い人にはふざけているように見えるかもしれないが、

 本人はいつも真剣で、

 天然発言をしている自覚はない。



「お腹すいてきたな」

「そうだな」



 そいえば、僕もお腹すいてきたな。



「アメリカの思い出作りに和食を食べに行こうよ」



 ここは、思い出作りするなら、洋食とかアメリカらしいものを食べるのでは?



「さっそく、13時閉店のお店を探すとしよう」

「逆だろ、13時開店のお店だよ。

これから食べに行くのに、閉店するところに行って、どうする気なんだ」



 なんで、そんな発想になった?



「お寿司100個食べようね」

「食べきれないよ」

「全部、ピンクの卵焼きで」

「気持ち悪いよ。というか、そんな卵焼きあるのか」

「お寿司には、猫が乗ってくれたら、おいしくなるだろうな」

「おいしくならないだろ。逆に食べれなくなりそう」



 ほっしーの天然に、振り回される僕だった。
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