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番外編 クーデレラクエスト

第5話

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 この人は何かおかしいです。
 でもあの黒いマントを羽織った男の人が嘘をついているようには自然と思えませんでした。
 だけど、根拠がないので肯定することも否定することもできないし、タイトの言うことに意見することも難しかったです。
 タイトは好奇心で質問をしているかもしれないけど、俺はなぜと疑わしいので何も言わないことにしました。
 まずクーデレラなんてもの俺も聞いたこともないですから。
 俺は3人が逃げたショッピングモールへと歩きました。
 タイトは黒マントと話が長くなりそうなので、おいていきました。
 ショッピングモールは人が多いし、おいかけることはあってもさすがにおかしな発言はしないでしょう。 俺は3人を見ても女3人いればやかましいと言うので、ウィンドウショッピングに来たことにして商品を見ながら3人の様子を見ることにしますか。
「あのおじさん、絶対中2病よね」と咲声。
 そうですか、咲声はすぐ中2病にしたがるのですね。なんだかくぼもそう言いそうなかんじはしますよね。
「違うわ、変態よ」とおばの慶小。
 慶小は男は体目当てとか顔目当てとかすぐ言うけど、慶小は年収の高い男、5センチヒールをはいても自分より背が高い男、自分好みのイケメン、そして年下好きが厄介なんですよね。
 慶小はまだ19なんだから自分より年下で年収が高い結婚願望のある男なんているわけないでしょう。
 だけど身長149センチという小柄なところや褐色肌だけど美人で家事もできるし、甘え上手なため男を魅力させてしまうんです。
 だけど慶小が付き合ったとしても1ヶ月以上も続かない原因は、自己主張が激しく末っ子のため我慢できないところや、相手に高い理想を求める、付き合うのは大体高校生とかが多いからすぐ別れてしまんですね。
 今度は中学生と付き合うことを考えているらしいけど、今度こそうまくいくかどうか。
 俺はどうこうするつもりはないし、おばに似てなくてよかったと思っています。
 俺はどちらかといえば母親似だし、身長は160センチ超えしてるし、父さんは褐色肌で母さんは白い肌だけど俺は母さんに似てるため肌が白いんです。
 無口なところとか恋愛に無頓着なところとか性格も母親に似てるらしいです。
「とにかく警察呼ぶ?」と颯奏。
「うん、そうしましょう」と2人。
 警察を呼ぶところまで来てしまいましたか。
 ここまで来れば俺はストーカー扱いされますね。
 だから俺は3人がショッピングモールを出たところを確認してからしばらくして、俺もショッピングモールを出てから時間帯考えて、タイトがいるところに向かうか、家に帰るかどちらかにしましょう。
 3人は一緒にショッピングモールを出ました。その時
「あなたは慄胡ちゃんじゃないの」
「久しぶり」
 クラスメートの亜咲 百合あざき ももかだ。俺はクラスメートの前では一人称を「私」にして敬語も先輩じゃない限りあまり使わないようにしてます。時々「俺」とか敬語は出ますが。
「どうしてここへ?」
 普段無口と言われる俺もクラスメートの前では自然と口数が増えるんですね。
「憧れの先輩に誕生日プレゼント買いにきたの」
「先輩って‥‥?」
 百合には好きな先輩が2人いて、1人は高校3年生の生徒会副会長、1人は高校2年生で百合の所属する部活の先輩らしいです。
「んもう、生徒会副会長よ」
「ごめん、誕生日なんていちいち覚えてないから」
 百合は好きな人のこととなると血液型、身長、誕生日、家族構成などいろいろ知っていたりするかもしれませんが、俺は知らないんです。
「明日、副会長が誕生日だから届けたいの」
「明日って日曜日よね? 学校やってるの?」
「んもう、何言ってるのよ? 副会長の家に届けるのよ」
「家!?ということは家を知ってるの?」
「もちろんよ。 先輩のことなら何でも知ってるわ、じゃあ、今日はここまでね」
 俺は百合に手を振って別れました。
 話も長くなったことだし、そろそろショッピングモール出ましょう。
 百合、時間稼ぎありがとう。


 あのひげのある黒マントのおじさんはタイトがたくさん質問しただけなのに「いつまで続くんだっ」と瞬間移動のごとく消え去った。
 とにかくタイトがおじさんから聞けた情報は、クーデレラは古代ヨーロッパや古代日本、古代エジプトとかの時代の頃は人間世界や異世界を行ったり来たりしていたらしい。
 だけど扉が閉ざされ、人間世界に来ていたクーデレラは帰れなくなったため人間世界に住み、人間との間に子どもを作り、そしてその子孫と言われるのがタイトのお姉ちゃん颯奏お姉ちゃんと咲声、慶小らしい。
 だけどその血縁関係のあるおれたちはどうかって言われると覚醒遺伝とかによるものだし、劣性遺伝みたいなものだから、覚醒しない子孫の方が多いらしい。
 覚醒してても自身の能力にきずかない人も多いからそれを見つけるのがおじさんの役目らしい。
 そしておじさんは咲声、慶小、颯奏お姉ちゃんを見つけることに成功したとのこと。
 クーデレラは女しかなれないらしい。
 その理由を聞こうとしたらおじさんはそれ以上答えてくれなくなってしまった。
 タイトは気になるから聞いただけなのに、おじさんも頑固だなあ。
 タイトはおじさんがいなくなってからはくぼの家に来ていた。
「だーかーらー、おじさんお姉ちゃんたち狙ってるらしいの」
 タイトがいくら話してもくぼは信じてくれようともしなかった。くぼは頑固だなあ。
「ただの作り話だろ、第一本当かっていう根拠あるのか?」
「根拠はなくても面白そうじゃない?」
 嘘でもいい。
 作り話だろうと何だろうとタイトがお姉ちゃんたちを守って、世界を救うなんてヒーローになりたかった。
 ヒーローになりたいんだよ、タイトは。
「窓から見てたけどさ、あれ、ただの中2病の一種だろ?」
「くぼなんか知らないっ」
 タイトはくぼのそうゆうところが好きになれなかった。
 いくら話しても信じてくれそうにないし、だからタイトは慄胡ちゃんのところに向かうよ。
 くぼとこれ以上言っても無駄と最近になってようやくわかるようになってきた。
 くぼは現実主義者で融通もきかない。
「そうゆうことなら、今日はこれで、じゃあね」
 タイトはくぼの家から出た。
 向かう先は慄胡ちゃんのところだから、慄胡ちゃんに電話をかけてみた。
「あっ、慄胡ちゃん?」
「タイト?ちょうどよかったですよ。大事な話があるんです。俺の家に来てくれますんか?」
「慶小いるでしょ?」
「いないです。救急車に運ばれましたから」
「え?」
「慶小、颯奏、咲声はみんな警察と一緒に救急車に運ばれました。命に別状はないみたいです。一応くぼにもメールを入れておきますから」
 と言われ、慄胡ちゃんにしては珍しく、一方的に電話を切られた。
 そしてタイトは早足で慄胡ちゃんの家へ向かい、インターホーンを押した。
 そしたらすぐに慄胡ちゃんが出てきた。
「タイト」
 慄胡ちゃんはタイトを家に招き入れた。
 リビングでちゃぶ台を用意してくれ、タイトにもオレンジジュースを入れてくれた。
「ありがとう」
「おかわりはありますから」
 そしてタイトはおじさんの言うクーデレラの話を慄胡ちゃんにした。
「あの黒マント、本気のようですね」
「信じてくれたの?」
「ごめんなさい。だけど、警察も一緒に襲うなんて何かあると思いまして」
「信じてくれないの?」
「今はそんなこと重要ではないんです。 警察も颯奏、咲声、慶小、みんな呼吸器をつけていて、命に別状はないと言っても意識もないからいつどうなるかもわからない状態で、犯人も捕まってないらしいし、目撃証言によると背が高い黒マントでひげのはえてる男が襲ったそうです」
「やっぱり‥‥!」
「とにかく意識を取り戻すまで待ちましょう」
「意識がこのまま戻らなかったら?」
「その時ばかりはどうしようもできないです」
 タイトはどうして言い逃れわからなくなった。颯奏お姉ちゃんは活発でお転婆で体育や中学の部活とかでもほとんど怪我をすることがなかったし、男嫌いなところがあっていつも喧嘩は強かった。
 まさか颯奏お姉ちゃんが意識を失うところまで襲われるなんて想像もできない。
 これは何かの間違いだと思いたい。
 ううん、そんなわけない。
 慶小だって可愛いし、可愛い娘に手をあげる男がいると思う?
 咲声だって、慶小や颯奏お姉ちゃんと比べて控えめなところはあるけれど、襲いたい人かのように思えない。
 やっぱりクーデレラが関係してるのかな?
 あれはお遊びというレベルじゃなかった。
 あのおじさんが許せなくなってくる。
 だけど本当におじさんの仕業かもわからない。
 タイトはこれからどうしたらいいの?
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