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番外編 白の教団

第6話

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 僕の目的は、本当の家族を見つけることだった。
 本当の家族さえいれば、白の教団にいなくていいということになる。
 小さい頃に経験した、家族の暖かさにもう一度包まれたい。

 伯父さんは、白の教団に入ってこなかった。
 僕は、白の教団に帰る。

 団長が迎えてくれた。
「ただいま」
「おかえり。随分、遅かったじゃないか」
「遊んでて、遅くなった」
「散歩じゃないの?」
「散歩は散歩でも、一人遊びなんだよ」

 団長は、いろいろと細かい。
 僕は、団長が苦手かもしれない。

「明日は血液検査の日だよ」
「そんな話、聞いていない」
「今日の夕方に決まった話だからね」

 血液検査か。
 僕は、そのまま自室のベットに潜り、寝た。
 夕飯なんていらない。 白の教団の出される料理は好きじゃないし、学校の給食だけ食べている。土日なんて二日も食べないから、他の子よりも僕は痩せている。
 給食はおいしいから、何回もおかわりをしているから、痩せの大食いとして有名だった。
 お風呂なんて入らない。 銭湯に行くだけさ。
 学校がある日は一日一回の銭湯で、休日は一日二回の銭湯だった。

 そして、翌日に白の教団で行われる血液検査。
 僕はというと、血液型がC型という聞いたこともない血液型の診断通知が来た。

「C型って、人外じゃないか」
 そう、僕は人間じゃないということになる。
 そして、人間と亜熊のクウォータ―と診断された。
 確か、伯父さんから、ハーフと聞かされたけど、クウォータ―とは思わなかった。
 四分の一亜熊で、四分の三が人間だと白の教団の医師から診断された。

 団長から聞かされた。
「君のお父さんか、お母さんのどちからが、亜熊とのハーフだったのではないか」
「そんな話は知らない。 聞かされてもいない」
「とにかく、君は要注意人物だ。
確か、亜熊と人間のハーフの女性もいてね。
もしかしたら、君の母親ではないかと思う。
人間と結婚して、子供ができただとか」

 伯父さんと名乗る亜熊の話と、団長の話、どちらが真実なんだ?
 どちらも、本当の話かのように思えてくる。

 こうして、僕は牢屋に閉じ込められた。
 白の教団の牢屋があると思わなかったし、そんな話も聞いていなかった。
 そんなことよりも、どうやって牢屋から脱獄する?

 僕は、牢屋から抜け出すために、どうすればいいのか考えた。
 そうだ、鉄格子、捻じ曲げればいい。
 だけど、そんな簡単に捻じ曲げることはできなかった。

 そうだ、何も脱獄方法が思いつかない。

 助けが来るのを待つか。
 だけど、団長に逆らえるやつはいないはず。
 そんな僕のためだけに、牢屋から出してくれる人はいないと思った方がいいと思う。

 僕は諦めるしかないのか。
 僕の判決がどうなるのか、よくも悪くも、運命は白の教団にゆだねられている。
 僕は、白の教団が嫌いから、大嫌いに変わった。
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