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番外編 白の教団

第4話

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 亜熊の正体を今日こそ、突き止めるんだ。
 亜熊なんて歴史上には存在しない未知なる生物だから。

 なら、白の教団も何なんだって、話にもなってくる?
 だって、僕も自分が何者でさえもわかっていないし、本当の両親でさえもよくわかっていないのなら、自分の出自ですらわかっていないとなる。

 僕は、実の両親を探していた。 曖昧なかすかに残る記憶を頼りにしながら。

「本当の親は、ここだよ」
 亜熊が目の前に現れて、僕に囁いた。
 亜熊が喋った。そんな話、聞いたことないな。
 僕が亜熊の生態とか興味ないから、知らないだけなのかも。

 いつもなら亜熊と戦っているところだけど、暇だし、面白そうだから、話だけはしてやることにした。
「君は自分の親が亜熊の研究者と、亜熊だって知っているか?」
「知らない」
「君は、夕期気合だよね?」
「そうだよ」
「確か、本当の両親と双子の弟の試合を探していると風の噂で聞いた」
「うん。探しているから。
僕は5歳で親から離されて、幼稚園の年中に幼稚園を受験させられたんだ。
だから、それまでは本当の親と弟といて、5歳から母親の妹とやらと暮らすことになったんだよ。
あの家に行ってから、苗字が夕期に変わった。
でもね、小学一年生の時からずっと、わずかな記憶を頼りに本当の家族を探しているんだ」
「5歳の記憶なんて、曖昧だよ。
それが本当の記憶かもわからないし」
「うん、知ってる。だから、見つからないのかも」
「君の母親は人間で、亜熊の研究を行っていた。
そこで、君の父親は亜熊でね、まわりの反対を押し切って、子供を作った。
名前は、気合と試合。
当然、母親の妹は、亜熊とのハーフなんて、気持ち悪いさ」
「ってことは、君は誰?」
「わしは、伯父の、君の父親の兄でね。亜熊と人間から呼ばれているから、得に名前はないよ」
「じゃあ、伯父さんでいいのかな?」
「そうゆうことにはなるね」
「伯父さんは、どうしてそんな話をしてくれるの?」
「白の教団は科学が進んでなくてね、亜熊と人間のハーフだって知られたら、君に命が危ないかなと思って」
「僕を守るってこと?」
「守れやしないけれど、忠告かな」
「君は本当に母親似だね。生きていれば、弟にも顔を見せてやりたいよ。きっと喜ぶよ」
「生きていればって、死んでるってこと?」
「申し訳ないけれど、君が5歳の頃にはすでに」

 衝撃的なことを聞かされた。

「じゃあ、母と弟は?」
「亜熊の研究者に囚われているし、弟は亜熊を操る存在だ」
「亜熊を操る?」
「そう、人間に害を与える存在ではないけれど、君の弟がやっている」
「なぜ、試合が?」
「実は、試合は身よりがなくて、児童養護施設で育ってね、気合は人間の遺伝子の法が強かったけれど、試合に関しては、亜熊の遺伝子の方が強くて、それが原因かはわからないけれど、人間でありながら、亜熊と会話をして、亜熊を操る黒幕的な存在となったんだ」
「試合も、母もどこにいるのか知ってるの?」
「それは、わしの想定の範囲の話になるが、母親は亜熊の研究所にいると想像してる。
試合に関しては、想像が難しい。どこにでもいそうな感じはする」
「伯父さんにもよくわかってないということ?」
「そうゆうことにはなりますな」
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