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番外編 白の教団

第2話

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 虹村さんと、僕は二人で亜熊と戦う。
 今回の亜熊は、そんなに強くないから、ほぼ数回の攻撃で倒せた。

 そのまま、任務終了だった。
「お疲れ様」
 と言われれば、「お疲れ様」と返事を返すことにした。

 白の教団には、白の犬が一匹いて、名前も「シロ」だった。
 シロを可愛がることは、僕の日課だった。
 シロは嗅覚がいいから、亜熊の存在を見抜けるらしい。
 犬全般、嗅覚がいいかもしれないけれど、亜熊の匂いって、どんな匂いなのだろう?

 僕は、小学五年生だ。
 身長は、この年齢にしては高い方だと思う。
 好きな女の子もいるけど、告白できていないし、
 親友と好きな人が被ったため、親友を傷つけたくないという思いから、告白できていない。
 小学四年生のころからの大切な親友なのだ。
 人を好きになるのは自然な感情だけど、好きな人が被るのは、複雑な気持ちだった。
 親友の名前は、太田《ふとだ》。

 あいつが悪いんだ。
 めちゃくちゃ優しくするから、好きになったんだ。

 僕には友達が何人かいるけれど、恋に悩む友達は珍しくなかった。

 友達の星は、好きな女の子がいる。
 もちろん、片思いで、好きな子が親友と被っている。
 小学五年生になる前から、いつからなのかはわからないけれど、
 その子のことがずっと好きでいて、捨てきれない。

 小学生は恋をしないと思うかもしれないけれど、
 小学生なりに恋をして、悩んだりするんだよ。

 星が付き合うことに踏み切れない理由が、いくつもあって、
 好きな人より身長が低いことだった。 身長にコンプレックスを持っていて、
 好きな人より低いということは、彼のプライドを傷つけることとなる。

 好きな人の父親が大手企業で、年収が高く、身長も高いという、
 ハイスペックな父親なので、手を出すことが難しいという話も聞いた。
 付き合って、結婚も夢見る彼からしてみれば、父親の存在はかなり痛いだろう。

 それに星は気が強くて、正義感が強くて、短気なため、
 どこで、その性格が出てくるのかわからない。
 ただ、星は誰が相手だろうと、決して暴力を振るわないし、
 振るわれても、やり返さない忍耐強さと優しさを持つ。

 星はかわいい物が苦手なため、
 好きな人はかわいいものが大好き。
 好みが正反対だけど、やっていけるかどうか自信もなくなってくるのも、無理はない。

 虹村とは、教団は一緒でも、学校は違った。
 虹村は、隣の学校に通っているらしい。
 他校との交流会とかない限りは、会わない。

 星とは、教団も一緒で、クラスは違うけれど、学校は同じだった。
 太田は、白の教団のメンバーではないため、亜熊の存在を知らない。
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