上 下
10 / 393
読み切り 第1章

第4話

しおりを挟む
「どちらか一人でも、護衛をお願いしてもいいかい?」
「もちろんですとも。 ところで、どちらの護衛を?」
「好きな方を選んでいただいて、いいのです」

 僕の好みは、青髪の女の子。
 好きな色も、青。
 僕の心は決まっていた。
    キャソーさんに言われなくても、決まっていた。

「僕は、ゲントルちゃんにします」

 三人のお嬢様はそれぞれ別の理由で狙われているみたいだが、僕はゲントルちゃん以外に興味がなかった。
 冷たい話だと思うかもしれないけど、ゲントルちゃんの姉に当たる人がどんな理由で習われていようと関係のない話と感じると言うか。
 それがゲントルちゃんに結び付くというのなら、興味を持つかもしれないけど、三人とも狙われる理由は様々で、それぞれ別々の特殊能力があると聞いたけど、今の僕にはゲントルちゃんだけ、気にかけていればいいかなというのが正直なところだった。

 青髪のもう一人の謎の少女ともいうのも忘れられないけど、ゲントルちゃんのこともそれなりに大事だと思うから。

 僕は、初対面で何がわかるんだって突っ込みたくなるかもしれないけど、気持ちの盛り上がりを押さえられそうになかった。
 そして、一度こうと決めたらそれはだれにも止められないくらい、僕は猪突猛進で、無鉄砲なのは自分でもよくわかっていた。
 わかっているからと言っても、性格なんてそんな簡単に直せない。
 人生13年生きてわかることは、それくらいだった。
 
 キャソーさんは、ゲントルちゃんを連れてきてくれたけど、実際はイメージと違うように思えてきた。 
 お人形さんのような超絶美人を想像していたから。

「初めまして、メロディーアさん。
わたくし、ゲントルと言います。
そんな可愛い名前じゃないですわよね?
こんなわたくしですが、護衛を希望していただき、ありがとうございます。
 大変ご迷惑をおかけするかと思いますが、よろしくお願いしますわ」

 生意気なのか、控えめなのか、わからないような子だった。
 声は低くて、落ち着いていて、雰囲気は大人しそうだった。

 僕は考えるよりも先に、
「こちらこそよろしくね、ゲントルちゃん」

 僕が握手しようと手を出して、ゲントルちゃんは握り返してくれた。
 僕とゲントルちゃんは握手をした。

 そこからゲントルちゃんと城の外の方で、いろいろなお話をした。
 だけど、まだわからないことがあって、それはゲントルちゃん、本人でもわからないことだった。
 本当の親が誰なのかとか、どこで生まれてきたのかなどだった。
 僕は青い髪が好きだけど、ゲントルちゃんも、自分の青い髪が好きとのこと。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

殿下、婚約者の私より幼馴染の侯爵令嬢が大事だと言うなら、それはもはや浮気です。

和泉鷹央
恋愛
 子爵令嬢サラは困っていた。  婚約者の王太子ロイズは、年下で病弱な幼馴染の侯爵令嬢レイニーをいつも優先する。  会話は幼馴染の相談ばかり。  自分をもっと知って欲しいとサラが不満を漏らすと、しまいには逆ギレされる始末。  いい加減、サラもロイズが嫌になりかけていた。  そんなある日、王太子になった祝いをサラの実家でするという約束は、毎度のごとくレイニーを持ち出してすっぽかされてしまう。  お客様も呼んであるのに最悪だわ。  そうぼやくサラの愚痴を聞くのは、いつも幼馴染のアルナルドの役割だ。 「殿下は幼馴染のレイニー様が私より大事だって言われるし、でもこれって浮気じゃないかしら?」 「君さえよければ、僕が悪者になるよ、サラ?」  隣国の帝国皇太子であるアルナルドは、もうすぐ十年の留学期間が終わる。  君さえよければ僕の国に来ないかい?  そう誘うのだった。  他の投稿サイトにも掲載しております。    4/20 帝国編開始します。  9/07 完結しました。

異世界あるある早く言いたい。

野谷 海
ファンタジー
ベースは主人公成長型の異世界転生ファンタジー。 の筈なのに、異世界で出会うダークマター製造機の王女、訳ありメイド、ケモ耳妹、ツンデレ騎士、ポンコツエルフ等のあるあるだけど魅力的なキャラクターと繰り広げるドタバタコメディが物語の進行を全力で邪魔してくる!そんな作者泣かせのキャラクター達を愛でるも良し、主人公の成長を応援するも良し、たまに訪れるバトルアクションに手に汗握るも良しの『愛情、努力、勝利』の王道異世界ファンタジー! ⭐︎各話2枚以上の挿絵を取り入れており、モブ以外の登場キャラクターには一人ひとりAIイラストにてキャラクターデザインを施しています。 ※表紙絵、挿絵はAI作成です。 AIイラストの為、登場人物の服装や見た目に差異有り。 ※本作品はフィクションであり登場する人物、団体等は全て架空です。

剣聖の娘はのんびりと後宮暮らしを楽しむ

O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。 それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。 ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。 彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。 剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。 そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……

処理中です...