異最強騎士

野うさぎ

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第1章 幼少期

番外編 結氷の魔女裁判

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 私は、ギアッチョ。
 氷の魔法を使い、事件の謎を探している、個人で活動している名探偵のようなもの。

 私は、インドでスクイアットロと一緒に生活をしている。

 ある時、家の前にフードを被った人が現れた。

「そなたが、結氷なのですね?」

「結氷の魔女?

それは否定も肯定もできません。

私は何もやってませんから」

「質問の答えになっとらん」

「そなたには、結氷の魔女と名乗る権利があります」

「え?

私が名乗っていいの?」

「許します。

そなたに、権利を与えます。

ただし、それは選べません。

そなたが魔女として、歴史に受け継ぐのです。

スクイアットロから報告を受けました。

ですので、そなたは今日から、魔女です」

 スクイアットロは、どうしてそんなことをしたんだろう?

「私が、結氷の魔女・・・?」

 私は、いまいち実感がなかった。
 ただ、氷の魔法を使えるだけで、どうして結氷の魔女になるのか理解できなかった。

「そうです。

受け入れられないかもしれませんが、納得してください。

英雄は、自分の使命を選べません。

それと同じです」

 ここから、私は事件の首謀者を見つけるための冒険が始まった。
 どの事件にも必ず犯人というものがあって、そいつが裏で操っていることがお決まりだから。

 最強の敵なら、今の魔法ではきっと勝てない。
 下級だったら、私の力で倒せそうだった。
 少しずつ、強くなっていけばいいと、そんな気楽に考えていた。
 
 何もこわくない。
 あとは、もうひとつの強大と言われる力を目覚めさせるだけだった。

 
 冒険をしていたところに私は、怪物と出会う。

「ほほう・・・。

下級しか倒せない、魔女か?」

 私は、見下されたような気がして、むっときてしまった。

「失礼な。

これでもくらえ」

 怪物に氷を浴びせてもだめだった。 
 諦めるしかないかもしれないけど、諦めたくないのが私。

「敵を倒すことが正義だと思うか?」

「それって、どういうこと?」

 スクイアットロは今、私の近くにはいないので、わからないことを質問できない。
 なぜかいつも姿を消すけれど、一体どこに行っているのだろう?
 
「怪物がすべての悪行をこなしていたと思うのか?

大部分は、人間が行っている。

この世界に人間がいる限り、何度でも事件は起こる。

それがわからないか?」

「わかる・・・ような、わからないような」

「自身のやっていることが、無駄だと気付かないのか。

なら、世界を滅ぼす以外に、人間を滅亡させる方法はない」

「世界を滅亡・・・?」

 言われてみると、そんな気がした。
 世界を守り切れないし、敵を倒しても、人間がいる限りは平和にならない。

 ここで、私は呟く。

「そうだよね。

人間がいる、この世界なんてなくなってしまえばいいかも」

 こうして、私は世界を、地球を魔法を使い、一瞬で氷漬けにした。

 寒い、寒い。
 冷たい、冷たい。

 私は、今、氷の中にいる。
 どうして、この中にいるのかわからない。
 事の経緯を憶えていないから。

 動けないし、話すこともできない。
 私は、自分が誰なのか知らない。

 目の前で空飛ぶリスが現れたかと思うと、氷がとけた。

「あれ?

君は、誰?」

「おいらは、スクイアットロ。

上司からの命令で、いやいや助けることになった」

「私のこと、知ってるの?」

「もちろんだ。

結氷の魔女。

たった今、氷の卵から生まれたばかりで」
 
「氷の卵?」

「そうだ。

お主は転生を果たし、氷の卵から生まれた赤ちゃんだ」

 私は生まれてすぐに話せる、歩ける幼い赤ちゃんとして生まれた。
 年齢は0歳で、名前はまだない。

「あのさ、私は君と前に出会ったことある?」

 スクイアットロに問いかけた。

「そこまで、教えられん」

「どうして、私には過去の記憶がないの?」

「転生も果たしたからだろ?」

「転生?」

「何回も、同じ説明をさせるな。

自分で答えを導き出すことはしないのか?」

「そんなこと、私はできない。

君の言う、私ってなんなの?」

「さあな。

どうせ教えても、また忘れる」

「忘れるって、私はそんなに忘れん坊?」

「そうゆうわけではないんだが、お主の魔力は計り知れない。

世界を、地球を、全平行世界を、氷にしてしまったからな」

 私には、何のことだかさっぱりわからなかった。
 何の話をされているのだろうか?

 転生だの、氷漬けになっている理由など、過去の記憶がない以上、何もわかりやしない。

「氷じゃない世界ってあるの?」

「異世界転移したり、宇宙に飛びだったりしない限りないな。

この地球そのものが氷の世界だからな。

宇宙人も来て、驚いていたぞ」

「宇宙人なんて、いるの?」

「話せば質問ばかりだな。

とにかく、お主が要注意人物だということは、会議でも証明されておる。

これから、お主を牢にぶちこむ。

それなりの罰を受けてもらうぞ」

 いきなり、何を言っているのか頭がついていかなかった。

「罰なんて、私、何のことだかわからないよ。

それに私は過去の記憶がないのだから、自分が何の罪を犯したとかわかんないよ」

 どういうことだ・・・?
 なぜ、こうなっている?
 何がどうなっている?

 私は、裁判にかけられていた。
 
 こんなの、どう考えても常識外れだ。
 何の裁判を行っているのかわからないし、私はこれからどうなるのだろうか?

 有罪?
 無罪?

 どちらにしても、私は何かしたということになる。
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