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第1章 幼少期
第14話 カンツウォーネの正体
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スクアーロは、じっくりと説明を始めた。
「サイコキラー。
殺人だけを楽しむ愉快犯だ。
歩き方が気に入らないとか、
楽しそうに笑っているとかでさえも、
殺人の動機に変えてしまう種族だ。
そして、カンツウォーネの父親は、佐藤夫妻と何の血の繋がりがないことも血液検査で明らかにされた」
「どういうこと・・・?」
俺は、何がなんだかわからなかった。
そんな俺にお構いなく、スクアーロは話を続けた。
「カンツウォーネは、サイコキラーと人間のハーフだ。
そして、彼女の父親は記憶を捻じ曲げう能力を持っていた。
ということは、カンツウォーネがいつまでたっても、警察に捕まらないことにも説明がつくんだ」
サイコキラーという種族については、俺もよくわからない。
カンツウォーネの出自も、父親のことも説明されても、いまいち理解できない。
だけど、記憶を捩じ曲げる能力と聞いて、ぞっとした。
俺の記憶も、改ざんされてしまうのか?という不安が襲ってきた。
確かに、今まで警察に捕まらない理由なんて、考えたことがなかった。
カンツウォーネはこれだけの殺人を犯して、有名になってもいいはず。
そして、どれだけ待っても助けは未だに来ていない。
「まさか・・・・」
「はん。
やっと気づいたのね。
ボケナス」
今まで恐怖に憶えた表情をしていたカンツウォーネが不敵な笑みを始めた。
「あたしは、サイコキラーの能力を半分引き継いでるということは、記憶の半分を改造できてしまうのよ。
警察に捕まらないように、
あたしが殺人犯として、有名にならないようにとか。
今まで、そんなことも誰一人として疑問に思わなかったのね。
みんな、ボケナス。
人類なんて、記憶だけを頼りに生きているのだから、
それさえコントロールしてしまえば、
警察なんて敵じゃないの。
殺人の記憶は残ってしまうかもしれないけれど、
誰が殺したかなんて、憶えていられない。
謎を解明しようがないわね」
俺は、悔しそうに呟いた。
「なんて、姑息な・・・!」
記憶を半分もコントロールされてしまったら、カンツウォーネを逮捕なんてできるのか?
殺人の記憶は残るみたいだけど、誰が犯人かを憶えていられない。
警察に連絡するという行為自体が、無駄だったかもしれない。
ここで疑問に残るとしたら、メモとして残すことはどうなのだろうか?
ここは、あえて言葉にしないでおこう。
「推理力だけは、ほめてあげるわ。
だけど、推理ぐらいで真実にたどり着けるのかしら?
君達の記憶も、消すけどね」
「消すと言っても、全部ではないんだろう?」
俺は、問いかけた。
「ええ。
でも、半分だけの記憶では、どうしようもできないわよね」
「できるさ」
「半分は、改ざんされていくのに?」
「誰が犯人かは憶えてなくても、事件があったことは気づくことができる」
「殺人事件が起きたことは、改ざんできないけれど、
だからって、これで真相なんかに行き着くためのヒントになりはしないわ。
人間は、記憶だけが全てなのよ」
「どっちが本当のボケナスが勝負しようよ」
俺は、カンツウォーネを挑発した。
どっちにしても、負ける気がしない。
そんな中、スクアーロは焦っていた。
「アーネスト、やめるんだ。
おいらの記憶まで改ざんされたら、どうするんだ?
誰も事件の真実がわからなくなる。
間違った人物を、犯人と仕立て上げてしまいかねない」
「俺を信じるんだ。
負けっぱなしは嫌なんだ。
カンツウォーネ、記憶を捩じ曲げられるなら曲げて見るんだな。
できないだろうけど」
ここで、スクアーロは首をかしげていた。
「できないって、どういうこと?」
俺の考えが正しければ、勝算はある。
今まで、様々な人が記憶をはっきりと持っていなかったかもしれない。
だけど、俺だけが記憶を保持できる理由・・・。
俺だけじゃないかもしれない。
カンツウォーネは、高笑いしていた。
多分、俺達を嘲っている。
「はん。
ただのボケナスだったのね。
まあいいわ。
永遠に、真実とはおさらばね。
記憶よ 消えろ《メモリーア スコンパリーレ》」
この呪文と同時に、俺は小声で呟いた。
「炎よ、燃え上がれ・・・」
俺の剣から炎が湧き出てきた。
ここで、カンツウォーネの呪文を跳ね返し、カンツウォーネはその場で倒れ込んだ。
「カンツウォーネさん!」
緑は、カンツウォーネの所に駆けつけた。
「アーネスト、一体何をしたのだ?」
「さあな。
俺が炎の聖女の息子だということは間違いなかったな」
「・・・?」
スクアーロは、理解していない様子だった。
これは、完全に賭けだったけれど、俺は炎を使うことができた。
呪文は知らないから、適当に言えば発動するかなというそんな感じだった。
母親の名前がカンナだということは前々から知っていたことだけど、炎の聖女候補だということはスクアーロから聞かされて初めて知った。
だけど、もし、この話が本当なら俺は炎の使い手かもしれないと予想した。
カンツウォーネに記憶をコントロールされない理由を、考えてみた。
それはあえてしなかったか、それとも無効化されていたかの二択のはずだ。
あえてしないとしたら、それはカンツウォーネに何かしらの理由があるだろうし、
無効化されるというなら、俺に何かの特殊能力が備わっているということになる。
「サイコキラー。
殺人だけを楽しむ愉快犯だ。
歩き方が気に入らないとか、
楽しそうに笑っているとかでさえも、
殺人の動機に変えてしまう種族だ。
そして、カンツウォーネの父親は、佐藤夫妻と何の血の繋がりがないことも血液検査で明らかにされた」
「どういうこと・・・?」
俺は、何がなんだかわからなかった。
そんな俺にお構いなく、スクアーロは話を続けた。
「カンツウォーネは、サイコキラーと人間のハーフだ。
そして、彼女の父親は記憶を捻じ曲げう能力を持っていた。
ということは、カンツウォーネがいつまでたっても、警察に捕まらないことにも説明がつくんだ」
サイコキラーという種族については、俺もよくわからない。
カンツウォーネの出自も、父親のことも説明されても、いまいち理解できない。
だけど、記憶を捩じ曲げる能力と聞いて、ぞっとした。
俺の記憶も、改ざんされてしまうのか?という不安が襲ってきた。
確かに、今まで警察に捕まらない理由なんて、考えたことがなかった。
カンツウォーネはこれだけの殺人を犯して、有名になってもいいはず。
そして、どれだけ待っても助けは未だに来ていない。
「まさか・・・・」
「はん。
やっと気づいたのね。
ボケナス」
今まで恐怖に憶えた表情をしていたカンツウォーネが不敵な笑みを始めた。
「あたしは、サイコキラーの能力を半分引き継いでるということは、記憶の半分を改造できてしまうのよ。
警察に捕まらないように、
あたしが殺人犯として、有名にならないようにとか。
今まで、そんなことも誰一人として疑問に思わなかったのね。
みんな、ボケナス。
人類なんて、記憶だけを頼りに生きているのだから、
それさえコントロールしてしまえば、
警察なんて敵じゃないの。
殺人の記憶は残ってしまうかもしれないけれど、
誰が殺したかなんて、憶えていられない。
謎を解明しようがないわね」
俺は、悔しそうに呟いた。
「なんて、姑息な・・・!」
記憶を半分もコントロールされてしまったら、カンツウォーネを逮捕なんてできるのか?
殺人の記憶は残るみたいだけど、誰が犯人かを憶えていられない。
警察に連絡するという行為自体が、無駄だったかもしれない。
ここで疑問に残るとしたら、メモとして残すことはどうなのだろうか?
ここは、あえて言葉にしないでおこう。
「推理力だけは、ほめてあげるわ。
だけど、推理ぐらいで真実にたどり着けるのかしら?
君達の記憶も、消すけどね」
「消すと言っても、全部ではないんだろう?」
俺は、問いかけた。
「ええ。
でも、半分だけの記憶では、どうしようもできないわよね」
「できるさ」
「半分は、改ざんされていくのに?」
「誰が犯人かは憶えてなくても、事件があったことは気づくことができる」
「殺人事件が起きたことは、改ざんできないけれど、
だからって、これで真相なんかに行き着くためのヒントになりはしないわ。
人間は、記憶だけが全てなのよ」
「どっちが本当のボケナスが勝負しようよ」
俺は、カンツウォーネを挑発した。
どっちにしても、負ける気がしない。
そんな中、スクアーロは焦っていた。
「アーネスト、やめるんだ。
おいらの記憶まで改ざんされたら、どうするんだ?
誰も事件の真実がわからなくなる。
間違った人物を、犯人と仕立て上げてしまいかねない」
「俺を信じるんだ。
負けっぱなしは嫌なんだ。
カンツウォーネ、記憶を捩じ曲げられるなら曲げて見るんだな。
できないだろうけど」
ここで、スクアーロは首をかしげていた。
「できないって、どういうこと?」
俺の考えが正しければ、勝算はある。
今まで、様々な人が記憶をはっきりと持っていなかったかもしれない。
だけど、俺だけが記憶を保持できる理由・・・。
俺だけじゃないかもしれない。
カンツウォーネは、高笑いしていた。
多分、俺達を嘲っている。
「はん。
ただのボケナスだったのね。
まあいいわ。
永遠に、真実とはおさらばね。
記憶よ 消えろ《メモリーア スコンパリーレ》」
この呪文と同時に、俺は小声で呟いた。
「炎よ、燃え上がれ・・・」
俺の剣から炎が湧き出てきた。
ここで、カンツウォーネの呪文を跳ね返し、カンツウォーネはその場で倒れ込んだ。
「カンツウォーネさん!」
緑は、カンツウォーネの所に駆けつけた。
「アーネスト、一体何をしたのだ?」
「さあな。
俺が炎の聖女の息子だということは間違いなかったな」
「・・・?」
スクアーロは、理解していない様子だった。
これは、完全に賭けだったけれど、俺は炎を使うことができた。
呪文は知らないから、適当に言えば発動するかなというそんな感じだった。
母親の名前がカンナだということは前々から知っていたことだけど、炎の聖女候補だということはスクアーロから聞かされて初めて知った。
だけど、もし、この話が本当なら俺は炎の使い手かもしれないと予想した。
カンツウォーネに記憶をコントロールされない理由を、考えてみた。
それはあえてしなかったか、それとも無効化されていたかの二択のはずだ。
あえてしないとしたら、それはカンツウォーネに何かしらの理由があるだろうし、
無効化されるというなら、俺に何かの特殊能力が備わっているということになる。
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