異最強騎士

野うさぎ

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第1章 幼少期

第7話 突然の別れ

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「私は、真君か好き。

恋愛感情として」

 真君は、驚いていた。
 
 やっと、言えた。
 私は安堵したその瞬間、

「それじゃあ、俺たちは友達でいられないし、俺はもうすでに好きな人いるから」

 真君は冷たく答えた。

「ーっ!」

「俺は、華ちゃんのことが好きなの」

「さっき、振られたばかりじゃん?」

「たった今、華ちゃんのことが好きになったの。

君の親友という人」

 こうして、真君は去っていった。

 嘘、振られた・・・・?
 やっとの思いで、告白したのに?

 家に帰ってから、華ちゃんから電話がかかってきた。

「赤音に謝らなくちゃいけないことがあって」

「なあに?」

「私ね、井藤君に告白されて、付き合うことになったの。

ごめんね」

 こうして、一方的に電話を切られた。

 こんなことになるなら、告白しなければよかった。

 私は一人で泣いた。
 自分の部屋で、誰にも聞こえないように静かに泣いた。

 私は小学2年生になり、誠君と違うクラスになり、華ちゃんとも違うクラスだった。

 だけど、失恋の傷からは立ち直れていない。

 華ちゃんと真君は学校で有名なカップルとなった。
 だけど、華ちゃんはしばらくしたら、亡くなっていた。
 殺人事件に巻き込まれたらしい。
 多分、犯人は決まっていて、カンツォーネさんだと推測ができる。

 ここから、私は真君からアプローチをされるようになった。

「赤音、もし俺のことをまだ好きなら、付き合ってくれないか?」

 ここで、私は真君が嫌いになる。

「自分から振っておいて、何なの?」

「赤音が必要だって、今になって気づいたんだ。

俺たち、やり直そう」

「華ちゃんのこと、好きなんでしょ?」

「あいつは、故人だから・・・・」

「私と真君が付き合ったら、どうなると思う?」

「それは大切にするし、守るよ」

「有言実行なんて、本当にするの?」

「え?」

 私は、腹が立ってくる。
 真君が好きなうちはこれも含めて、許せたけれど、恋愛感情がなくなった今は、これが苛立ちしか感じなくなってくる。

「私は、とっくに真君に対する気持ちがないの。

それに、私と真君がカップルになったら、カンツォーネさんに狙われるし、命を落としたくない」

「俺が守るよ」

「守りきれてない」

「俺のこと、好きなんだろう?

だから、告白したんだ。

あれは、罰ゲームだったのかい?」

「罰ゲームでもないけど、あの時は本気で好きだったから、告白した。

だけど、それはその時限定の気持ちなの。

今は、真君に対する気持ちがない」

 冷たく言う私に、真君は叫んだ。

「嘘だよ!

赤音は、本気だった!

認めない、認めないよ!」

 これは、今となっては鬱陶しい言葉でしかない。
 真君は泣いていたけど、同情なんてしない。
 今にもストーカーに走りそうな気がして、それが嫌で嫌で仕方なかった。

「虫が良すぎると思わないの?」

「え・・・?」

「告白をして、受け入れなかったのは誰?

他に好きな人がいると、その人と付き合うことを選んだのは、他の誰でもない。

それでいて、どうしようもできなくなったら、私に頼る。

おかしくない?

私は幼馴染であっても、君のお母さんでもないし、先生でもない。

都合よく、何でも手を差し伸べられる存在じゃないの。

それに、小学2年生にもなって、自分のことが自分でできないなんて、そんなことあるの?」

「それは・・・・」

 真君は、戸惑っている様子だった。
 だけど、私は続けた。

「保育園の頃の腐れ縁だから、いろんなことを我慢してきた。

だけど、私も自分の人生を歩みたいの。

本当は私立の難関小学校に行きたかったけれど、それですらも真君のためだけに我慢してきたけど、私もやっぱりそのことを諦められてないの。

保育園の頃も、辛かった。

紫帆ちゃんが事件に巻にき込まれたせいで、その保育園が事件が起きたとして、有名になったの。

私は、世間から被害者の友達として見られたの。

幼稚園に行けば、そのことから開放されると思っていた。

だけど、波乱万丈な人生はここで終わらせてくれなかった。

青葉ちゃんにも避けられるようになって、緑ちゃんは裏切りの状態で、真君さえ信じれば何でもなると思っていた。

だけど、今ので確信したよ。

真君といる限り、幸せになれないって」

 私も、限界だった。
 これ以上、誰のことも犠牲になんてしたくない。

「そっか・・・・。

辛かったんだね・・・・。

ごめん、これも俺のせいなのか。

なら、無理強いはしない。

俺たち、友達になれないの?」

 真君の目には、涙で溢れていた。

「なれない。

多分、これからもなることはないと思ってる」

 真君は何も言わずに、その場を去っていた。
 これでいいんだ・・・。
 これで・・・・。

 次の日からは、朝のホームルームで、担任の先生から驚きの発言を言われた。

「皆さん、聞いてください。

井藤真君は、今日から転校することになりました」

 え?
 転校するの、早くない?
 今日までいたのに、明日から転校なんてことできるの?

「先生からのお知らせは、以上になります。

皆さん、さびしいかもしれませんが、楽しい学校生活を送るようにしましょう」
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